この単元の標語:普通預金も当座預金も資産。増えれば借方、減れば貸方。銀行取引でも、動いた口座と、決済した債権債務を読み取れば仕訳は決まる。
① このページで学ぶこと
- 普通預金・当座預金がどちらも資産であることを説明できる
- 預入れ・引出しの仕訳が切れるようになる
- 売掛金の回収・買掛金の支払いを銀行口座で決済したときの仕訳が切れるようになる
- 普通預金と当座預金の間で資金を移したときの仕訳が切れるようになる
- 【2026年度受験の方】小切手を振り出したとき・自己振出小切手を受け取ったときの仕訳が切れるようになる
② 基礎概念
2つの預金は、どちらも資産
| 勘定科目 | 用途 | 5要素 | 利息 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 日常の入出金。振込・自動引落しの窓口 | 資産 | つく |
| 当座預金 | 事業の決済に使う口座 | 資産 | つかない(無利息) |
どちらも資産なので、
増加 → 借方 / 減少 → 貸方
です。現金と同じ向きで考えられます。
普通預金と当座預金は別の勘定科目
どちらも銀行預金ですが、簿記では別の勘定科目として管理します。
普通預金から当座預金へ ¥200,000 を振り替えたときは、
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 200,000 | 普通預金 | 200,000 |
となります。資産の総額は変わりませんが、資産の内訳が変わっています。
当座預金は無利息
利息がつくのは普通預金です。当座預金は決済に使う口座であり、利息はつきません。 細かい知識ですが、正誤問題で問われることがあります。
[関連単元] 預金利息そのものの処理(受取利息の計上)は C04-T04「定期預金と受取利息」で扱います。
③ 仕組み・理由
銀行取引でも、判断の手順は変わらない
「銀行振込だから特別な仕訳」と考える必要はありません。確認するのは次の2点だけです。
① どの口座が増えたか・減ったか ② 何の債権・債務を決済したのか
たとえば買掛金 ¥120,000 を普通預金から支払ったなら、買掛金(負債)の減少と普通預金(資産)の減少です。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 120,000 | 普通預金 | 120,000 |
決済のときに売上・仕入を計上し直さない
掛け売上のときに売掛金と同時に売上を計上している場合、その売掛金が入金されたときに売上を計上し直すことはありません。動くのは債権と預金だけです。
掛け仕入と買掛金の支払いも同じで、掛け仕入のときに仕入を計上しているなら、支払時に仕入を計上し直しません。
[なぜか] 売上・仕入は商品の引渡し・受入れという事実にもとづいて計上済みです。入金・支払いは、すでに計上された債権債務が預金に置き換わる手続きにすぎません。同じ売上を2回計上すれば、収益が実際の2倍になります。
当座預金の残高を超えて支払ったら
当座預金には、銀行と契約を結ぶことで残高を超えて支払える仕組みがあります。このときの処理は、期中と決算で扱いが分かれます。
[関連単元] この論点は C04-T03「当座借越」で扱います。本単元では、当座預金も資産であり、支払いによる減少は貸方という基本形を固めてください。
④ 基本例
青森商事株式会社の×1年4月の取引は次のとおりである。
- 4月5日 現金 ¥80,000 を普通預金口座へ預け入れた。
- 4月10日 普通預金から ¥50,000 を引き出し、現金として保有した。
- 4月18日 得意先に対する売掛金 ¥130,000 が当座預金口座へ振り込まれた。
- 4月25日 仕入先に対する買掛金 ¥90,000 を普通預金から振り込んで支払った。
- 4月28日 普通預金から当座預金へ ¥300,000 を振り替えた。
⑤ 仕訳例:思考の手順つき
場面1:現金を普通預金へ預け入れた(4月5日)
- 取引を読む:手元の現金を銀行口座へ移した。
- 勘定科目を決める:預けた先 → 普通預金/出ていったもの → 現金
- 5要素と増減を確認する:普通預金(資産)の増加/現金(資産)の減少
- 借方・貸方を決める:資産の増加は借方、資産の減少は貸方
- 金額を記入する:どちらも ¥80,000
- 貸借一致を確認する:借方 80,000 = 貸方 80,000
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 80,000 | 現金 | 80,000 |
資産どうしの移動です。 会社の資産の総額は変わりません。
場面2:普通預金から現金を引き出した(4月10日)
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 50,000 | 普通預金 | 50,000 |
場面1と向きが逆になるだけです。「どこから」が貸方、「どこへ」が借方と考えてください。
場面3:売掛金が当座預金へ入金された(4月18日)
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 130,000 | 売掛金 | 130,000 |
- 借方の理由:当座預金(資産)の増加
- 貸方の理由:売掛金(資産)の減少。回収したので権利が消える
- 売上を計上しない:本例では掛け売上の時点で売上を計上済みです
場面4:買掛金を普通預金から支払った(4月25日)
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 90,000 | 普通預金 | 90,000 |
- 借方の理由:買掛金(負債)の減少
- 貸方の理由:普通預金(資産)の減少
- 仕入を計上しない:本例では掛け仕入の時点で仕入を計上済みです
場面5:普通預金から当座預金へ振り替えた(4月28日)
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 300,000 | 普通預金 | 300,000 |
現金は登場しません。 口座から口座へ直接移しているためです。
【2026年度(~2027年3月)受験の方】
場面6:小切手を振り出して支払った
当座預金の支払手段のひとつに小切手があります。買掛金 ¥35,000 の支払いのため小切手を振り出して仕入先に渡したときは、
借方科目 金額 貸方科目 金額 買掛金 35,000 当座預金 35,000

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