FP技能士3級 相続・事業承継 実技・事例問題 第1問〜第6問

重要度:A 論点:贈与と税金

第1問

【事例】

【頻度注記】EX-F-013は贈与・財産評価を具体例に適用する広い実技出題枠であり、上記頻度(3/3・100%・A)は枠全体の観測値です。暦年課税の課税価格計算という個別サブ論点が毎回出題されたことを意味しません。

【設問】

会社員の鵜飼はるかさん(32歳)は、2026年中に下記<資料>のとおり贈与を受けた。鵜飼さんの2026年分の贈与税の課税価格(暦年課税による基礎控除後の金額)として、正しいものはどれか。なお、鵜飼さんは相続時精算課税を選択しておらず、贈与税の非課税の特例の適用は受けないものとする。

<資料:鵜飼さんが2026年中に贈与を受けた財産> ・2026年5月 伯母から現金 2,400,000円 ・2026年10月 友人から現金 1,500,000円

※上記以外に2026年中に贈与を受けた財産はないものとする。 ※いずれも個人からの贈与である。

  1. 1,700,000円
  2. 2,800,000円
  3. 3,900,000円
【第1問:正解と解説】

正解:2(2,800,000円)

  1. 求めるもの:2026年分の贈与税の課税価格(基礎控除後の金額)
  2. 使用するルール:暦年課税では1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の価額を合計し、そこから基礎控除110万円を差し引く。基礎控除110万円は受贈者1人の年間合計に対する控除である。
  3. 贈与財産の合計:2,400,000円+1,500,000円=3,900,000円
  4. 基礎控除の適用:3,900,000円-1,100,000円=2,800,000円
  5. 結果:2,800,000円(端数は生じません)

間違いやすい点

・選択肢1(1,700,000円):贈与者ごとに基礎控除110万円を適用してしまった誤り(3,900,000円-1,100,000円×2=1,700,000円)。基礎控除は受贈者1人の年間合計に対して1回だけ適用します。 ・選択肢3(3,900,000円):贈与財産の合計額をそのまま課税価格としてしまい、基礎控除110万円を差し引かなかった誤りです。

暦年課税の基礎控除は、贈与者が何人いても受贈者から見て年間110万円が1回だけ差し引かれます。本問では伯母と友人という2人から贈与を受けていますが、控除できるのは合計に対する110万円のみです。なお伯母は直系尊属ではないため、本問の贈与はいずれも特例贈与財産には該当しません(本問では課税価格までを求めるため、税率の適用は行いません)。


重要度:A 論点:相続と法律

第2問

【事例】

【頻度注記】EX-F-011は相続関係図の読解を含む広い実技出題枠であり、上記頻度(3/3・100%・A)は枠全体の観測値です。代襲相続を含む法定相続分の判断という個別サブ論点が毎回出題されたことを意味しません。

【設問】

2026年5月に死亡した都築克彦さんの親族関係は下記<資料>のとおりである。都築さんの相続における法定相続人および法定相続分の組合せとして、正しいものはどれか。なお、相続の放棄をした者はおらず、記載のない事項は考慮しないものとする。

<資料:都築克彦さんの親族関係図>

・妻 都築千代さん(存命) ・長男 都築亮平さん(存命) ・長女 都築美和さん(2024年に死亡) └ 長女の子(都築さんの孫) 都築颯太さん(存命) └ 長女の子(都築さんの孫) 都築結衣さん(存命)

※都築克彦さんの直系尊属および兄弟姉妹については考慮しないものとする。 ※長男・長女はいずれも都築克彦さんと妻千代さんの実子である。

  1. 妻1/2、長男1/6、孫(颯太)1/6、孫(結衣)1/6
  2. 妻1/2、長男1/4、孫(颯太)1/8、孫(結衣)1/8
  3. 妻1/2、長男1/4、孫(颯太)1/4
【第2問:正解と解説】

正解:2(妻1/2、長男1/4、孫(颯太)1/8、孫(結衣)1/8)

  1. 何を判断するか:法定相続人と法定相続分
  2. 相続人の確定:妻千代さんは配偶者として常に相続人となる。血族相続人は第1順位の子。長男亮平さんは存命のため相続人。長女美和さんは相続開始前に死亡しているため、その子である孫の颯太さんと結衣さんが代襲相続する。
  3. 法定相続分の確定:配偶者と子が相続人であるから、妻1/2、子全体1/2。
  4. 子全体の分割:子は長男と長女(の代襲)の2名分であるから、それぞれ1/2÷2=1/4。
  5. 代襲分の分割:長女の1/4を、代襲する孫2人で均等に分けるため、孫1人あたり1/4÷2=1/8。
  6. 検算:1/2+1/4+1/8+1/8=1(全体と一致)
  7. 結論:妻1/2、長男1/4、孫1人あたり1/8

間違いやすい点

・選択肢1(妻1/2、長男1/6、孫各1/6):孫2人を長男と並ぶ独立した子として扱い、子全体の1/2を3人で均等に分けてしまった誤りです。孫は長女の相続分を代襲するのであり、子と同列に数えるものではありません。 ・選択肢3(妻1/2、長男1/4、孫1/4):代襲する孫が1人であるかのように扱い、長女の相続分1/4をそのまま1人の孫に割り当てた誤りです。代襲相続人が複数いる場合は、被代襲者の相続分を人数で均等に分けます。

代襲相続では、代襲する人が何人いても被代襲者の相続分の枠を超えることはありません。長女が受けるはずだった1/4を孫2人で分けるため、孫1人あたりは1/8となります。判断は「①配偶者の有無 → ②血族相続人の順位 → ③代襲の有無 → ④人数で均等割」の順に進め、最後に合計が1になるかを確認すると誤りに気づけます。


重要度:A 論点:相続と税金

第3問

【事例】

【頻度注記】EX-F-012は相続税の資料計算を含む広い実技出題枠であり、上記頻度(3/3・100%・A)は枠全体の観測値です。基礎控除額の計算という個別サブ論点が毎回出題されたことを意味しません。

【設問】

2026年6月に死亡した名倉光晴さんの親族関係は下記<資料>のとおりである。名倉さんの相続における相続税の遺産に係る基礎控除額として、正しいものはどれか。なお、記載のない事項は考慮しないものとする。

<資料:名倉光晴さんの親族関係図>

・妻 名倉琴音さん(存命) ・長男 名倉大地さん(存命・実子) ・二男 名倉悠真さん(存命・実子。相続の放棄をしている) ・養子 名倉さくらさん(存命・普通養子) ・養子 名倉朔矢さん(存命・普通養子)

※名倉光晴さんの直系尊属および兄弟姉妹については考慮しないものとする。 ※養子はいずれも民法上の普通養子であり、特別養子ではない。

  1. 48,000,000円
  2. 54,000,000円
  3. 60,000,000円
【第3問:正解と解説】

正解:2(54,000,000円)

  1. 求めるもの:相続税の遺産に係る基礎控除額
  2. 使用するルール:基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数。法定相続人の数を数える際、①相続放棄があってもなかったものとして数え、②普通養子は実子がいる場合1人まで算入する。
  3. 法定相続人の数の確定:
  • 妻(配偶者):1人
  • 実子(長男・二男):2人。二男は相続を放棄しているが、放棄がなかったものとして数えるため2人とも算入する。
  • 養子:2人いるが、実子がいるため算入できるのは1人まで
  • 合計:1+2+1=4人
  1. 基礎控除額の計算:3,000万円+600万円×4人=3,000万円+2,400万円=54,000,000円
  2. 結果:54,000,000円(端数は生じません)

間違いやすい点

・選択肢1(48,000,000円):相続を放棄した二男を法定相続人の数から除いて3人として計算した誤り(3,000万円+600万円×3人)。相続税の基礎控除等における法定相続人の数は、放棄がなかったものとして数えます。 ・選択肢3(60,000,000円):養子2人をいずれも算入して5人として計算した誤り(3,000万円+600万円×5人)。実子がいる場合、法定相続人の数に算入できる普通養子は1人までです。

本問は2つの特別な数え方が同時に問われる構成です。相続放棄は「なかったものとして数える」ため人数が減らず、養子は「実子ありなら1人まで」のため人数が増えません。どちらか一方だけを適用すると誤答の選択肢に至ります。民法上の相続人の判断と相続税法上の法定相続人の数は数え方が異なる場面がある点に注意してください。


重要度:A 論点:相続財産の評価(不動産)

第4問

【事例】

【頻度注記】EX-F-013の3/3・100・Aは、贈与税・宅地評価・小規模宅地等を具体資料から計算する広い実技能力枠全体の観測値であり、普通借地権評価だけが毎回出題されたという意味ではない。

森川さんは、第三者から建物所有目的で借りている土地について普通借地権を有している。

課税時期における資料は次のとおりである。

項目 金額・割合
土地の自用地としての価額 72,000,000円
借地権割合 70%

定期借地権ではなく、普通借地権として評価するものとする。他の補正や条件は考慮しない。

【設問】

この普通借地権の相続税評価額として、最も適切なものはどれか。

  1. 21,600,000円
  2. 50,400,000円
  3. 72,000,000円
【第4問:正解と解説】

正解:**2. 50,400,000円**

普通借地権の基本評価は、

自用地価額×借地権割合

である。

72,000,000×0.70 =50,400,000円。

したがって正解は2。


重要度:A 論点:不動産の相続対策

第5問

【事例】

【頻度注記】EX-F-013の3/3・100・Aは、贈与税・宅地評価・小規模宅地等を具体資料から計算する広い実技能力枠全体の観測値であり、特定居住用宅地等の330㎡・80%という個別サブ論点だけが毎回出題されたという意味ではない。

2026年に水野さんは父の相続により、父が居住していた宅地を取得した。

小規模宅地等の特例について必要な取得者要件その他の適用要件はすべて満たしているものとし、他の宅地等との併用は考慮しない。

項目 内容
宅地の面積 300㎡
特例適用前の相続税評価額 72,000,000円
特定居住用宅地等の限度面積 330㎡
減額割合 80%

【設問】

小規模宅地等の特例を適用した後の、この宅地の相続税評価額として最も適切なものはどれか。

  1. 14,400,000円
  2. 57,600,000円
  3. 72,000,000円
【第5問:正解と解説】

正解:**1. 14,400,000円**

300㎡は特定居住用宅地等の限度面積330㎡以内なので、全体が80%減額の対象となる。

72,000,000×(1-0.80) =72,000,000×0.20 =14,400,000円。

57,600,000円は「減額される金額」であり、「減額後の評価額」ではない。


重要度:A 論点:相続と保険の活用

第6問

【事例】

【頻度注記】EX-F-012の3/3・100・Aは、基礎控除・死亡保険金非課税・相続税総額等を具体資料から計算する広い実技能力枠全体の観測値であり、死亡保険金非課税限度額だけが毎回出題されたという意味ではない。

2026年に黒川さんが死亡した。法定相続人は次の4人である。

  • 配偶者
  • 長男
  • 長女
  • 次男

相続放棄・欠格・廃除・養子・代襲相続はなく、上記以外に法定相続人はいない。

黒川さんが保険料を負担していた生命保険契約について、相続人である配偶者が死亡保険金を受け取った。 死亡保険金の具体的受取額や各相続人への非課税額配分は考慮せず、非課税限度額だけを求めるものとする。

【設問】

相続人が取得する死亡保険金についての相続税の非課税限度額はいくらか。

  1. 5,000,000円
  2. 20,000,000円
  3. 30,000,000円
【第6問:正解と解説】

正解:**2. 20,000,000円**

法定相続人は4人。

死亡保険金の非課税限度額は、

5,000,000円×法定相続人の数

で求める。

5,000,000×4 =20,000,000円。

したがって正解は2。


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