連結会社間取引の相殺消去 仕訳問題(2026年度) 第1問〜第3問

問1

P社はS社の発行済株式の80%を保有している。当期中にP社はS社へ商品800,000円を販売し、S社はそのすべてを企業集団の外部へ販売している。

内部取引高の相殺に関する連結修正仕訳を示しなさい。

使用可能勘定科目

売上/売上原価/売掛金/買掛金/受取手形/支払手形/貸倒引当金/貸倒引当金繰入

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解答・解説

正答

借方 金額 貸方 金額
売上 800,000 売上原価 800,000

解説

P社の帳簿には売上800,000円が、S社の帳簿にはその仕入額が計上されています。企業集団として見れば、これは内部で商品が移動しただけであり、外部に対する売上ではありません。

そこで借方に売上800,000円を置いて売った側の売上高を減らし、貸方に売上原価800,000円を置いて買った側の売上原価を減らします。両方とも内部売上高と同額です。

この仕訳は連結財務諸表を作るための修正であり、P社・S社どちらの帳簿にも記帳しません。


問2

P社はS社の発行済株式の80%を保有している。当期末において、連結会社間に次の債権債務が未決済で残っている。

  • P社売掛金/S社買掛金:300,000円
  • P社受取手形/S社支払手形:200,000円

(1)売掛金と買掛金、(2)受取手形と支払手形について、それぞれ相殺の連結修正仕訳を示しなさい。

使用可能勘定科目

売上/売上原価/売掛金/買掛金/受取手形/支払手形/貸倒引当金/貸倒引当金繰入

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解答・解説

正答

(1) 売掛金と買掛金

借方 金額 貸方 金額
買掛金 300,000 売掛金 300,000

(2) 受取手形と支払手形

借方 金額 貸方 金額
支払手形 200,000 受取手形 200,000

解説

いずれも、債務を借方で減らし、債権を貸方で減らします。P社が持つ債権とS社が負う債務は同額で対応しているため、企業集団として見れば貸し借りは存在しません。

手形も相殺の対象です。 連結会社間で振り出された手形は、売掛金と買掛金と同じく内部で対応している債権債務だからです。

相殺後、連結貸借対照表には内部の売掛金・買掛金・受取手形・支払手形は残りません。残るのは企業集団の外部に対する債権債務だけです。


問3

P社はS社の発行済株式の80%を保有している。当期中にP社はS社へ商品800,000円を販売した。当期末において、連結会社間に次の債権債務が未決済で残っている。

  • P社売掛金/S社買掛金:300,000円
  • P社受取手形/S社支払手形:200,000円

P社はこれらの債権に対して2%の貸倒引当金を設定している。

貸倒引当金の修正に関する連結修正仕訳を示しなさい。

使用可能勘定科目

売上/売上原価/売掛金/買掛金/受取手形/支払手形/貸倒引当金/貸倒引当金繰入

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解答・解説

正答

借方 金額 貸方 金額
貸倒引当金 10,000 貸倒引当金繰入 10,000

解説

判断根拠:3つの判断を順に行います。

第1に、修正の対象です。相殺したのは売掛金300,000円と受取手形200,000円で、内部債権の合計は500,000円です。この債権に対して設定されていた引当金だけを減らします。外部に対する債権に設定された引当金には手を触れません。

第2に、金額です。500,000×2%=10,000円。率を掛ける相手は内部売上高800,000円ではなく、期末に残っている内部債権500,000円です。売上高のうち期末に未決済で残っている分だけが債権になっているため、両者は別の金額になります。

第3に、貸借の向きです。引当金を減らすので借方に貸倒引当金、相手勘定として貸方に貸倒引当金繰入を置きます。引当金を設定したときの仕訳と反対の向きです。

非支配株主への按分が不要である理由:この取引はP社からS社への販売であり、債権を持ち貸倒引当金を設定していたのは親会社であるP社です。引当金を減らして増える利益はP社のものであり、S社の利益ではありません。非支配株主が持分を持つのはS社の資本ですから、この修正による按分は生じません。按分の要否は、金額の大小ではなく、引当金を設定していたのがどちらの会社かで決まります。

検証

検証項目 計算 結果
内部債権の合計 300,000+200,000 500,000
修正額 500,000×2% 10,000
貸借の一致 10,000=10,000 一致
相殺後の内部債権残高 500,000-500,000 0

ただし、貸借の一致はこの設問では手がかりになりません。 借方と貸方が同じ金額になる形なので、金額を誤っても貸借は一致します。内部債権を漏れなく拾えているかを、期末残高の一覧に戻って確かめる必要があります。たとえば売掛金300,000円だけを見て手形を落とすと6,000円となりますが、この6,000円も「拾った債権×2%」の形にはなっているため、計算の形を見るだけでは気づけません。

想定される誤り:ひとつは内部債権を1種類だけ拾い、300,000×2%=6,000円としてしまうことです。ふたつめは率を掛ける相手を内部売上高とし、800,000×2%=16,000円としてしまうことです。三つめは貸借を逆にすることで、借方に貸倒引当金繰入を置くと引当金が増えてしまいます。


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