重要度:A 論点:背信的悪意者からの転得者
問36:Aが甲土地をBに売却した後、さらにCにも売却し、Cが背信的悪意者に当たるにもかかわらず登記を備えた。その後、Cが甲土地をDに転売してDが登記を備えた場合に関する次の記述のうち、判例によれば、正しいものはどれか。
- A:Cが背信的悪意者である以上、その転得者Dは、善意悪意を問わず民法177条の第三者に当たらず、Bは登記なくして常にDに対抗できる。
- B:DがAB間の先行売買を知っていた場合には、それだけでDも背信的悪意者となり、Bは登記なくしてDに対抗できる。
- C:D自身が背信的悪意者と評価されない限り、Dは民法177条の第三者に当たり、登記を備えたDに対して未登記のBは所有権を対抗できない。
【第36問:正解と解説】
正解:C
【解説】
・A:誤り。背信的悪意者の排除は相対的であり、Cが背信的悪意者であることだけで、その転得者Dまで当然に第三者から排除されるわけではない。
・B:誤り。先行売買を知っている単なる悪意だけでは足りず、登記の欠缺を主張することが信義則に反する特段の事情が必要である。
・C:正しい。転得者Dが177条の第三者に当たるかはD自身について判断する。Dが背信的悪意者でなく登記を備えていれば、未登記のBはDに対抗できない。【試験対策】背信的悪意者からの転得者を絶対的に排除する構成ではない。
重要度:A 論点:共有物分割
問37:共有物の分割に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
- A:共有者は、10年を超えない期間であれば、共有物を分割しない旨の契約をすることができる。
- B:共有物を分割しない旨の契約は5年を超えない期間で定めることができ、更新する場合も更新時から5年を超えることができない。
- C:共有物分割の協議が調わない場合、裁判所は現物分割または競売だけを命ずることができ、一人の共有者に他の共有者の持分を取得させる方法を命ずることはできない。
【第37問:正解と解説】
正解:B
【解説】
・A:誤り。分割禁止契約の期間は5年を超えることができない(256条1項ただし書)。
・B:正しい。分割禁止契約は更新できるが、各更新期間も更新時から5年を超えることができない(256条2項)。
・C:誤り。裁判所は現物分割のほか、共有者に債務を負担させて他の共有者の持分の全部または一部を取得させる方法による分割も命ずることができる。これらができない場合等に競売を命ずる(258条)。
重要度:A 論点:取得時効完成後の再度の時効取得
問38:Aによる甲土地の取得時効が完成した後、Aが登記をしない間に、原所有者から抵当権の設定を受けたBが抵当権設定登記を備えた場合に関する次の記述のうち、判例によれば、正しいものはどれか。
- A:AがBの抵当権設定登記後も引き続き時効取得に必要な期間占有を継続したときは、Aが抵当権の存在を容認していたなどの特段の事情がない限り、Aは再度甲土地を時効取得し、その結果Bの抵当権が消滅することがある。
- B:最初の取得時効が完成している以上、Aは登記がなくても、時効完成後に登記を備えたBに対して直ちに抵当権の負担のない所有権を対抗できる。
- C:再度の取得時効の起算点は、Aが有利になるよう、Bの抵当権設定登記前の任意の日に遡らせることができる。
【第38問:正解と解説】
正解:A
【解説】
・A:正しい。時効完成後に第三者が抵当権設定登記を備えた場合でも、その登記後に占有者がさらに必要期間占有を継続すれば、特段の事情がない限り再度の取得時効が成立し、抵当権が消滅することがある(最判平成24年3月16日)。
・B:誤り。最初の時効完成後に抵当権設定登記を備えたBとの関係は対抗問題となり、Aは最初の時効取得を登記なくして対抗できない。
・C:誤り。再度の時効取得は、第三者の登記によって権利対立が生じた時を基準として進行し、占有者が任意に起算点を選択することはできない。
重要度:B 論点:隣地使用・相隣関係
問39:隣地の使用に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
- A:土地所有者は、境界付近の建物を修繕するため必要であれば、隣地上の住家にも居住者の承諾なく立ち入ることができる。
- B:隣地を使用する場合には、急迫の事情などにより事前通知が困難であっても、必ず使用開始前に隣地所有者および使用者へ通知しなければならない。
- C:隣地使用の日時、場所および方法は隣地所有者等にとって損害が最も少ないものを選び、事前通知が困難なときは使用開始後遅滞なく通知すれば足りる。また、隣地所有者等に損害が生じたときは償金を請求されることがある。
【第39問:正解と解説】
正解:C
【解説】
・A:誤り。隣地を必要な範囲で使用できる場合でも、住家については居住者の承諾がなければ立ち入ることができない(209条1項ただし書)。
・B:誤り。原則として事前通知が必要だが、事前通知が困難な場合には、使用開始後遅滞なく通知すれば足りる(209条3項ただし書)。
・C:正しい。隣地の使用は必要な範囲に限られ、日時・場所・方法は損害が最も少ないものを選ばなければならない。損害を受けた隣地所有者または使用者は償金を請求できる(209条2項~4項)。

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