FP技能士3級 ライフプランニングと資金計画 実技・事例問題 第1問〜第7問

重要度:A 論点:FPの役割と関連法規

第1問

【事例】

会社員の沢田香織さん(38歳)は、第2子の誕生をきっかけに生命保険の見直しを考え、独立系ファイナンシャル・プランナーの飯田さんに相談した。飯田さんはFP資格を有しているが、保険業法上の保険募集人としての登録等は受けていない。


MAT-01 相談の内容(沢田さんからの依頼事項)

項目 内容
相談者 沢田 香織(38歳・会社員)
相談のきっかけ 第2子誕生に伴う死亡保障の見直し
依頼事項1 生命保険の仕組みと、保障額をどのように考えればよいかを知りたい
依頼事項2 できれば、加入する保険の契約手続きまで任せたい
FP飯田さんの状況 FP資格あり。保険募集人の登録等は受けていない

【設問】

問1

保険募集人としての登録等を受けていないFPの飯田さんが、沢田さんの相談に対して行う対応として、最も適切なものはどれか。

  1. 生命保険の一般的な仕組みと、遺族の支出見込みから遺族の収入見込みを差し引いて必要保障額を考えるという一般的な考え方を説明した。
  2. 沢田さんに代わって特定の生命保険会社の商品の申込手続きを進め、保険契約の締結の媒介を行った。
  3. FP資格を有していれば保険募集人の登録等は不要であると説明し、保険契約の締結の代理を引き受けた。

【第1問:正解と解説】

正解:問1:1

問1

  1. 何を聞かれているか:保険募集人の登録等を受けていないFPが、保険相談の場面でどこまでの対応を行えるか(一般的な説明と、登録等が必要な保険募集行為の境界)を問う問題である。
  2. どの資料を見るか:MAT-01の「依頼事項1(仕組み・考え方を知りたい)」「依頼事項2(契約手続きまで任せたい)」と「保険募集人の登録等は受けていない」という条件を確認する。
  3. 使用する知識:保険契約の締結の代理または媒介にあたる行為を保険募集といい、保険募集を行うには保険業法上の登録等の要件を満たす必要がある。FP資格そのものは、保険募集人の登録等を代替しない。一方、保険の一般的な仕組みや必要保障額の一般的な考え方の説明は、保険募集にあたらずFPが行える。
  4. 判断:依頼事項1への対応(選択肢1)は一般的な説明であり適切に行える。依頼事項2への対応(選択肢2・3)は保険契約の締結の媒介・代理そのものであり、登録等のない飯田さんは行えない。
  5. 正解:1
  • 選択肢1:適切。一般的な仕組み・考え方の説明は保険募集にあたらない。
  • 選択肢2:不適切。特定商品の申込手続きを進める行為は保険契約の締結の媒介(保険募集)にあたり、登録等が必要である。
  • 選択肢3:不適切。FP資格は保険募集人の登録等を代替せず、説明の内容自体が誤りである。
  1. よくある誤り:「顧客から依頼されたのだから手続きを進めてもよい」と考えてしまう点。顧客の依頼があっても、登録等が必要な保険募集行為を無登録で行うことはできない。


重要度:A 論点:ライフプランニングの手法と家計の把握

第2問

【事例】

会社員の青木健太さん(41歳)は、妻の美咲さん(39歳)、長女の陽菜さん(8歳)との3人暮らしである。青木さん一家は、ファイナンシャル・プランナーに家計の見直しを相談し、下記のキャッシュフロー表(一部抜粋)の作成を依頼した。

<青木家のキャッシュフロー表(一部抜粋)>(単位:万円)

項目 2026年 2027年 2028年
収入合計 620 630 630
支出合計 545 570 555
年間収支 75 ( ア ) 75
金融資産残高(運用率1%) 800 ( イ )

※2028年の金融資産残高は本問では問わない。

(前提条件)

  • 年間収支は「収入合計-支出合計」により計算する。
  • 金融資産残高は「前年末の金融資産残高×(1+運用率)+当年の年間収支」により計算する。
  • 記載された数値は指示のない限りそのまま用い、計算過程で万円未満の端数は生じない。
  • 記載のない事項は考慮しない。

【設問】

キャッシュフロー表の空欄(ア)に入る数値として、最も適切なものはどれか。

  1. 60
  2. 75
  3. 85

キャッシュフロー表の空欄(イ)に入る数値として、最も適切なものはどれか。

  1. 860
  2. 868
  3. 876
【第2問:正解と解説】

正解:1/2

  1. 求めるもの:2027年の年間収支(ア)
  2. 使用する式:年間収支=収入合計-支出合計
  3. 数値代入:630万円-570万円
  4. 計算:630-570=60
  5. 単位確認:万円
  6. 正解:(ア)=60(万円)→ 肢1
  • 肢2の75は、2026年(前年)の年間収支をそのまま転記した誤り。
  • 肢3の85は、2027年の収入合計と2026年の支出合計(630-545)を組み合わせた誤り。必ず同一年の収入と支出で計算する。
  1. 求めるもの:2027年末の金融資産残高(イ)
  2. 使用する式:前年末の金融資産残高×(1+運用率)+当年の年間収支
  3. 数値代入:800万円×(1+0.01)+60万円
  4. 計算:800×1.01=808、808+60=868
  5. 単位確認:万円
  6. 正解:(イ)=868(万円)→ 肢2
  • 肢1の860は、前年末残高に運用率を掛け忘れた誤り(800+60)。
  • 肢3の876は、運用率を2年分掛けるなど過大に適用した誤り(800×1.02+60)。運用率は前年末残高に1年分だけ適用する。

間違いやすい点

空欄(ア)で求めた年間収支を(イ)の計算に用いる点を見落とし、前年の年間収支75万円を加えてしまう誤りが多い。空欄が連動する場合は、先に求めた値を確実に引き継ぐこと。



重要度:A 論点:ライフプランニングの手法と家計の把握

第3問

【事例】

会社員の田村昌宏さん(52歳)は、妻の恵子さん(50歳)と2人暮らしである。田村さん夫妻は、ファイナンシャル・プランナーに老後の資金計画を相談するにあたり、下記のとおり家計の資産と負債を整理した。

<田村家の資産・負債の状況(時価)>(単位:万円)

資産 金額 負債 金額
普通預金 350 住宅ローン 1,180
定期預金 400 自動車ローン 90
投資信託 280
生命保険(解約返戻金相当額) 220
自宅マンション 2,600

(前提条件)

  • 純資産は「資産合計-負債合計」により計算する。
  • 資産・負債はいずれも同一時点の時価による。
  • 記載のない事項は考慮しない。

【設問】

田村家の個人バランスシートにおける純資産の金額として、最も適切なものはどれか。

  1. 2,360万円
  2. 2,450万円
  3. 2,580万円
【第3問:正解と解説】

正解:3

  1. 求めるもの:純資産
  2. 使用する式:純資産=資産合計-負債合計
  3. 数値代入:資産合計=350+400+280+220+2,600=3,850万円、負債合計=1,180+90=1,270万円
  4. 計算:3,850-1,270=2,580
  5. 単位確認:万円
  6. 正解:2,580万円 → 肢3
  • 肢1の2,360万円は、生命保険(解約返戻金相当額220万円)を資産に含め忘れた誤り(3,630-1,270)。
  • 肢2の2,450万円は、生命保険を資産に含めず、さらに自動車ローン90万円を負債から漏らした誤り(3,630-1,180)。

間違いやすい点

生命保険は保険金額ではなく「解約返戻金相当額」で資産に計上する。また、住宅ローン以外の負債(自動車ローン等)の計上漏れに注意する。資産・負債は取得時の金額ではなく時価でそろえる点も重要である。



重要度:A 論点:ライフプランニングの手法と家計の把握

第4問

【事例】

山口大輔さん(58歳)は、退職金の一部である1,000万円を老後の生活費に充てるため、年利1.0%で複利運用しながら10年間にわたって毎年年末に一定額を取り崩したいと考え、ファイナンシャル・プランナーに毎年の受取額の試算を依頼した。

<係数表(年利1.0%・期間10年)>

係数 数値
終価係数 1.105
現価係数 0.905
年金終価係数 10.462
減債基金係数 0.0956
年金現価係数 9.471
資本回収係数 0.1056

(前提条件)

  • 上記の係数表のうち、目的に合致する係数を1つ選んで計算する。
  • 税金・手数料等は考慮しない。
  • 記載のない事項は考慮しない。

【設問】

山口さんが毎年年末に受け取ることができる金額として、最も適切なものはどれか。

  1. 956,000円
  2. 1,000,000円
  3. 1,056,000円
【第4問:正解と解説】

正解:3

  1. 求めるもの:元本を運用しながら取り崩す場合の毎年の受取額
  2. 使用する係数:現在の元本から毎年の受取額(取崩額)を求める → 資本回収係数
  3. 数値代入:1,000万円×0.1056
  4. 計算:10,000,000円×0.1056=1,056,000円
  5. 単位確認:円
  6. 正解:1,056,000円 → 肢3
  • 肢1の956,000円は、減債基金係数(0.0956)を誤って用いたもの。減債基金係数は将来の目標額に向けた毎年の積立額を求める係数であり、取崩しには用いない。
  • 肢2の1,000,000円は、運用益を考慮せずに元本1,000万円を期間10年で単純に割った誤り。運用しながら取り崩す場合は資本回収係数を用いる。

間違いやすい点

「毎年受け取る」という語感から年金現価係数を選びたくなるが、年金現価係数は受取額から現在必要な元本を求める係数であり、本問とは方向が逆である。元本→毎年の受取額の方向は資本回収係数を用いる。



重要度:A 論点:社会保険の基本

第5問

【事例】

会社員の三浦誠さん(45歳)は、勤務先を2026年11月30日に退職する予定であり、退職後の公的医療保険として、現在加入している全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の任意継続被保険者制度の利用を検討している。三浦さんは、ファイナンシャル・プランナーに任意継続被保険者制度の要件について質問した。

<三浦さんに関する条件>

  • 勤務先の健康保険の被保険者期間:2019年4月1日から退職日まで継続して加入
  • 退職日:2026年11月30日(健康保険の資格喪失日は2026年12月1日)
  • 退職後、再就職の予定は当面ない

(前提条件)

  • 記載のない事項は考慮しない。

【設問】

健康保険の任意継続被保険者制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 三浦さんは、資格喪失日である2026年12月1日から20日以内に申出をすることにより、任意継続被保険者となることができる。
  2. 三浦さんが任意継続被保険者として健康保険に加入することができる期間は、最長で4年間である。
  3. 任意継続被保険者となるためには、資格喪失日の前日まで継続して1年以上の被保険者期間が必要であるため、三浦さんは被保険者期間の要件を満たしていない。
【第5問:正解と解説】

正解:1

任意継続被保険者制度の要件は、①資格喪失日の前日まで継続して2か月以上の被保険者期間があること、②資格喪失日(通常は退職日の翌日)から20日以内に申出をすること、である。任意継続被保険者でいられる期間は、資格取得日から最長2年間である。

  • 肢1(適切):三浦さんは2019年4月1日から退職日まで7年以上継続して被保険者であり、「継続2か月以上」の要件を満たす。したがって、資格喪失日(2026年12月1日)から20日以内に申出をすれば、任意継続被保険者となることができる。
  • 肢2(不適切):任意継続被保険者として加入できる期間は最長2年間であり、4年間ではない。
  • 肢3(不適切):必要な被保険者期間は「資格喪失日の前日まで継続して2か月以上」であり、1年以上ではない。三浦さんはこの要件を満たしている。

間違いやすい点

任意継続の3つの数字「2か月(退職前の継続被保険者期間)・20日(申出期限)・2年(加入できる上限)」を取り違える誤りが典型である。また、申出期限の起算日は退職日ではなく資格喪失日(通常は退職日の翌日)である点にも注意する。



重要度:A 論点:公的年金の基本

第6問

【事例】

岡本清さん(64歳)は、来年65歳になるが、当面は自営業の仕事を続ける予定であるため、老齢基礎年金の受給開始を遅らせること(繰下げ受給)を検討しており、ファイナンシャル・プランナーに増額率の試算を依頼した。

<岡本さんに関する条件>

  • 老齢基礎年金の受給資格期間(10年以上)を満たしている。
  • 65歳0か月で老齢基礎年金の受給権を取得する見込みである。
  • 繰下げ受給の対象世代(66歳から75歳までの間で繰下げ可能)である。
  • 繰下げによる増額率は、65歳到達月から繰下げの申出をした月の前月までの月数1か月につき0.7%である。

(前提条件)

  • 記載のない事項は考慮しない。

【設問】

岡本さんが老齢基礎年金の受給開始を68歳0か月まで繰り下げた場合の増額率として、最も適切なものはどれか。

  1. 14.4%
  2. 21.0%
  3. 25.2%
【第6問:正解と解説】

正解:3

  1. 求めるもの:繰下げによる増額率
  2. 使用するルール:65歳到達月から繰下げ申出月の前月までの月数1か月につき0.7%増額
  3. 数値代入:65歳0か月から68歳0か月までの繰下げ月数=36か月、0.7%×36か月
  4. 計算:=25.2%
  5. 確認:増額された年金額は生涯継続する
  6. 正解:25.2% → 肢3
  • 肢1の14.4%は、繰上げの減額率0.4%/月を誤って用いたもの(0.4%×36か月)。繰下げの増額率は0.7%/月である。
  • 肢2の21.0%は、繰下げ月数を66歳から数えて30か月とした誤り(0.7%×30か月)。増額の計算は65歳到達月から起算する。

間違いやすい点

「繰下げは66歳以後に申出ができる」という申出可能時期と、「増額は65歳到達月から数える」という増額計算の起算点を混同しやすい。申出は66歳以後だが、月数のカウントは65歳到達月からである。また、0.4%(繰上げ減額率)と0.7%(繰下げ増額率)の取り違えにも注意する。



重要度:A 論点:公的年金の基本

第7問

【事例】

会社員の西村拓也さん(38歳)は、厚生年金保険の被保険者として勤務していたが、在職中に病気により死亡した。西村さんの遺族は、生計を維持されていた妻の彩さん(36歳)と長男の悠斗さん(5歳)である。彩さんは、自分が受給できる公的年金の遺族給付について、ファイナンシャル・プランナーに相談した。

<西村さんに関する条件>

  • 死亡当時、厚生年金保険の被保険者であった(国民年金の第2号被保険者)。
  • 遺族給付の保険料納付要件を満たしている。
  • 長男の悠斗さん(5歳)は、18歳到達年度の末日を経過しておらず、婚姻していない。
  • 彩さんと悠斗さんは、西村さんに生計を維持されていた。

(前提条件)

  • 記載のない事項は考慮しない。

【設問】

西村さんの死亡により、妻の彩さんが受給することができる公的年金の遺族給付の組合せとして、最も適切なものはどれか。

  1. 遺族基礎年金のみ
  2. 遺族基礎年金と遺族厚生年金
  3. 遺族厚生年金のみ
【第7問:正解と解説】

正解:2

  • 遺族基礎年金:受給できる遺族は「子のある配偶者または子」である。彩さんは、18歳到達年度の末日までの子(悠斗さん・5歳)のある配偶者に該当するため、遺族基礎年金を受給できる。
  • 遺族厚生年金:西村さんは死亡当時、厚生年金保険の被保険者であり、遺族厚生年金の受給順位は「子のある配偶者→子→子のない配偶者→父母→孫→祖父母」である。彩さんは最も順位の高い「子のある配偶者」に該当するため、遺族厚生年金も受給できる。

したがって、彩さんは遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受給することができ、肢2が最も適切である。

  • 肢1(不適切):西村さんは厚生年金保険の被保険者であったため、遺族基礎年金に加えて遺族厚生年金も支給対象となる。
  • 肢3(不適切):彩さんは「子のある配偶者」に該当するため、遺族基礎年金の受給対象でもある。

間違いやすい点

夫が会社員(第2号被保険者)の場合、「1階の遺族基礎年金(子のある配偶者または子)+2階の遺族厚生年金」という2階建て構造で判断する。「配偶者なら遺族基礎年金を必ず受給できる」という誤解(子のない配偶者は対象外)と、「厚生年金加入者の遺族は遺族厚生年金だけ」という誤解の両方に注意する。



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