貸倒れと貸倒損失 仕訳問題【全8問】

共通前提:問1〜問7は、実際の貸倒れまたはその清算に伴う処理を扱う。問8は、当期中に貸倒損失として処理した債権を同じ会計期間内に回収した場合を扱う。決算時の貸倒見積りは扱わない。

共通語群(各問、この中から勘定科目を選ぶこと)

現金 / 売掛金 / 電子記録債権 / 貸倒引当金 / 貸倒損失 / 貸倒引当金繰入 / 償却債権取立益

注意:語群には似た名前の科目が並んでいます。債権がいつ発生したかを問題文から必ず確認してください。


重要度:A/難易度:初級 論点:当期発生売掛金の貸倒れ(基本形)

問1(初級)

得意先が倒産し、同社に対する売掛金 ¥70,000(当期の販売により発生)が回収できなくなった。

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正解

借方科目 金額 貸方科目 金額
貸倒損失 70,000 売掛金 70,000

検算:借方 70,000 = 貸方 70,000 ✓

解説

  • 取引の読み取り:当期に発生した売掛金が、当期中に貸し倒れた。
  • 勘定科目の決定:実際の貸倒れであり、かつ当期発生の債権なので費用は貸倒損失。消える債権は売掛金。
  • 借方の理由:貸倒損失という費用が発生したため。
  • 貸方の理由:売掛金という資産が回収不能となり消滅したため。
  • 間違いやすい科目貸倒引当金繰入。決算での見積りに使う科目であり、実際の貸倒れには使いません。
  • 使用科目:貸倒損失/売掛金

重要度:A/難易度:初級 論点:電子記録債権の貸倒れ

問2(初級)

得意先が倒産し、同社に対する電子記録債権 ¥50,000(当期の取引により発生)が回収できなくなった。

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正解

借方科目 金額 貸方科目 金額
貸倒損失 50,000 電子記録債権 50,000

検算:借方 50,000 = 貸方 50,000 ✓

解説

  • 着眼点:貸し倒れたのが売掛金ではなく電子記録債権である点だけが問1と異なります。
  • 借方の理由:貸倒損失という費用の発生。借方は問1と同じです。
  • 貸方の理由:電子記録債権という資産の消滅。貸方は消える債権の名前どおりにします。
  • 間違いやすい科目売掛金。電子記録債権はすでに売掛金から振り替え済みの別の債権なので、貸方を売掛金にすると存在しない残高を減らすことになります。
  • 使用科目:貸倒損失/電子記録債権

重要度:A/難易度:標準 論点:債権の一部貸倒れ(金額の読み取り)

問3(標準)

得意先に対する売掛金 ¥180,000(当期の販売により発生)のうち、¥60,000 が回収不能であることが判明した。なお、残額は回収の見込みがある。

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正解

借方科目 金額 貸方科目 金額
貸倒損失 60,000 売掛金 60,000

検算:借方 60,000 = 貸方 60,000 ✓

解説

  • 取引の読み取り:売掛金 ¥180,000 のうち、貸し倒れたのは ¥60,000 だけです。
  • 勘定科目の決定:回収不能が確定した部分だけを貸倒損失とし、同額の売掛金を消します。
  • 残す部分:回収見込みのある ¥120,000 は資産のまま帳簿に残します。
  • 注意したい誤り:「のうち」を読み飛ばして ¥180,000 全額を貸倒処理すること。まだ生きている債権まで消してしまいます。
  • 使用科目:貸倒損失/売掛金

重要度:A/難易度:標準 論点:一部回収+残額貸倒れ(複合仕訳)

問4(標準)

得意先が倒産した。同社に対する売掛金 ¥90,000(当期の販売により発生)のうち、¥30,000 を現金で回収し、残額は貸倒れとして処理した。

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正解

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金 30,000 売掛金 90,000
貸倒損失 60,000

検算:借方 30,000 + 60,000 = 90,000 = 貸方 90,000 ✓

解説

  • 着眼点:売掛金 ¥90,000 の行き先が、「回収できた ¥30,000」と「回収できなかった ¥60,000」の2つに分かれます。
  • 手順①:回収分は現金 ¥30,000。
  • 手順②:回収不能分は 90,000 − 30,000 = ¥60,000 を貸倒損失。
  • 手順③:貸方は売掛金の全額 ¥90,000。回収と貸倒れで全部なくなったためです。
  • 注意したい誤り:①貸倒損失を ¥90,000 で計上すること。損失になるのは回収できなかった部分だけです。②売掛金を ¥60,000 しか消さないこと。
  • 使用科目:現金/貸倒損失/売掛金

重要度:A/難易度:標準 論点:前期以前発生債権の貸倒れ(引当金の取崩し)

問5(標準)

前期以前に発生した売掛金 ¥55,000 が、得意先の倒産により回収不能となった。なお、貸倒引当金の残高は ¥90,000 である。

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正解

借方科目 金額 貸方科目 金額
貸倒引当金 55,000 売掛金 55,000

検算:借方 55,000 = 貸方 55,000 ✓/貸倒引当金の残高 90,000 ≧ 55,000 なので全額を取り崩せる

解説

  • 着眼点:問題文の「前期以前に発生した」に加え、貸倒引当金残高が90,000円あることを確認します。
  • 勘定科目の決定:本問では利用できる貸倒引当金が貸倒額55,000円を上回っているため、実際の貸倒れに対して貸倒引当金を取り崩します
  • 借方の理由:貸倒引当金(資産のマイナスを表す評価勘定)を減らすため借方。
  • 貸方の理由:売掛金という資産の消滅。
  • 貸倒損失を使わない理由:利用できる引当金の残高 ¥90,000 が貸倒額 ¥55,000 を上回っており、本問では全額を引当金で処理できるためです。
  • 注意したい誤り:発生時期を読み飛ばして貸倒損失にすること。
  • 使用科目:貸倒引当金/売掛金

重要度:A/難易度:応用 論点:貸倒引当金が不足する場合の処理

問6(応用)

前期以前に発生した売掛金 ¥120,000 が、得意先の倒産により回収不能となった。なお、貸倒引当金の残高は ¥85,000 である。

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正解

借方科目 金額 貸方科目 金額
貸倒引当金 85,000 売掛金 120,000
貸倒損失 35,000

検算:借方 85,000 + 35,000 = 120,000 = 貸方 120,000 ✓

解説

  • 着眼点:貸倒引当金の残高 ¥85,000 では、貸倒額 ¥120,000 に足りません
  • 手順①:貸倒引当金をあるだけ取り崩す ── ¥85,000。
  • 手順②:足りない分を計算する ── 120,000 − 85,000 = ¥35,000
  • 手順③:不足分 ¥35,000 は貸倒損失として費用に計上する。
  • 間違いやすい科目:不足分に貸倒引当金繰入を使うこと。貸倒引当金繰入は決算で引当金を積み増すときの科目です。ここで起きているのは実際の貸倒れなので、費用は貸倒損失になります。
  • 注意したい誤り:貸倒引当金を ¥120,000 とすること。存在しない残高を取り崩すことになります。
  • 使用科目:貸倒引当金/貸倒損失/売掛金

重要度:A/難易度:応用 論点:一部回収+複数種類の債権の貸倒れ(2論点複合)

問7(応用)

得意先が倒産した。同社に対する債権は売掛金 ¥100,000 と電子記録債権 ¥60,000(いずれも当期の取引により発生)であったが、清算手続の結果 ¥40,000 を現金で回収し、残額は貸倒れとして処理した。

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正解

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金 40,000 売掛金 100,000
貸倒損失 120,000 電子記録債権 60,000

検算:借方 40,000 + 120,000 = 160,000 = 貸方 100,000 + 60,000 = 160,000 ✓

解説

  • 着眼点:問3・問4で扱った「一部回収」と、種類の違う「複数の債権」が同時に出てきます。
  • 手順①:債権の合計を出す ── 100,000 + 60,000 = ¥160,000。
  • 手順②:回収分は現金 ¥40,000。
  • 手順③:貸倒損失は 160,000 − 40,000 = ¥120,000
  • 手順④:貸方は債権の種類ごとに分けて全額消す ── 売掛金 ¥100,000 と電子記録債権 ¥60,000。
  • 注意したい誤り:①貸倒損失を ¥160,000 とすること(回収分の差引き漏れ)。②貸方を売掛金 ¥160,000 の1本にまとめること。帳簿上は別々の債権なので、それぞれの科目で消します。
  • 使用科目:現金/貸倒損失/売掛金/電子記録債権

重要度:A/難易度:標準 論点:当期に計上した貸倒損失の取消し

問8(標準)

当期に発生した売掛金 ¥12,000 について、得意先の倒産により回収不能となったため、当期中に貸倒損失として処理していた。その後、同じ会計期間内に同額を現金で回収した。

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正解

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金 12,000 貸倒損失 12,000

検算:借方 12,000 = 貸方 12,000 ✓

解説

  • 着眼点:貸倒処理した時期と回収した時期が、どちらも当期である点が決め手です。
  • 勘定科目の決定:当期に計上した貸倒損失が、まだ当期の帳簿に残っています。回収できた以上その費用は不要なので、貸方に貸倒損失を記入して取り消します
  • 借方の理由:現金という資産の増加。
  • 貸方の理由:当期に計上した貸倒損失(費用)の取消し。
  • 間違いやすい科目償却債権取立益。これは前期以前に貸倒処理した債権を当期に回収したときの収益科目です(C06-T03)。前期以前の帳簿はすでに締まっているため取り消せず、当期の収益として計上します。本問は同じ期の中の出来事なので、費用を直接取り消します。
  • 注意したい誤り:売掛金をいったん帳簿へ戻してから回収の仕訳をすること。売掛金は貸倒処理の時点で消えており、再計上はしません。
  • 使用科目:現金/貸倒損失


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