差異の計算はいずれも「標準-実際」の向きで行い、正の値を有利差異(貸方)、負の値を不利差異(借方)とします。解答は金額に「有利差異」または「不利差異」を付して示します。端数は生じません。
問1 材料価格差異
問題
当社は標準原価計算を採用している。当月の直接材料費に関する資料は次のとおりである。価格差異を計算し、有利差異か不利差異かを答えなさい。差異は「標準-実際」で計算する。
必要資料
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 標準単価 | 500円/kg |
| 実際単価 | 520円/kg |
| 実際消費量 | 1,000kg |
差異式
価格差異 =(標準単価-実際単価)× 実際消費量
解答を見る
計算過程
(500円-520円)× 1,000kg = -20円 × 1,000kg = -20,000円
正答
価格差異 20,000円(不利差異・借方)
検算(Validation)
- 実際消費量1,000kgを標準単価で評価した額:500円 × 1,000kg = 500,000円
- 同じ1,000kgを実際単価で評価した額:520円 × 1,000kg = 520,000円
- 差額:500,000円-520,000円 = -20,000円 → 価格差異と一致 ✓
検証限界
この検算は、同じ実際消費量に標準単価と実際単価を掛けた差が価格差異と一致することを確認するものであり、実際単価520円や実際消費量1,000kgが正しく転記されていることまでは確認しません。
解説
価格差異は「単価の差」に実際消費量を掛けます。実際単価が標準単価を20円上回ったので、実際に消費した1,000kgのすべてについて20円ずつ余分に原価が発生したことになり、不利差異20,000円となります。符号が負であることと、不利差異・借方であることをセットで答えます。
問2 材料数量差異
問題
当社は標準原価計算を採用している。当月の直接材料費に関する資料は次のとおりである。数量差異を計算し、有利差異か不利差異かを答えなさい。差異は「標準-実際」で計算する。
必要資料
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 標準単価 | 500円/kg |
| 標準消費量 | 1,200kg |
| 実際消費量 | 1,250kg |
差異式
数量差異 = 標準単価 ×(標準消費量-実際消費量)
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計算過程
500円 ×(1,200kg-1,250kg)= 500円 × (-50kg)= -25,000円
正答
数量差異 25,000円(不利差異・借方)
検算(Validation)
- 標準消費量を標準単価で評価した額:500円 × 1,200kg = 600,000円
- 実際消費量を標準単価で評価した額:500円 × 1,250kg = 625,000円
- 差額:600,000円-625,000円 = -25,000円 → 数量差異と一致 ✓
検証限界
この検算は、標準単価で評価した2つの金額の差が数量差異と一致することを確認するものであり、標準消費量1,200kg(製品1個あたり標準消費量 × 実際生産量)の算定が正しいことまでは確認しません。
解説
数量差異は「数量の差」に標準単価を掛けます。実際消費量が標準消費量を50kg上回ったので、50kg分の材料を標準単価で評価した25,000円が不利差異となります。実際単価ではなく標準単価を用いる点を確認してください。
問3 直接材料費差異の分解
問題
当社は標準原価計算を採用している。当月の直接材料費に関する資料は次のとおりである。価格差異と数量差異を計算し、それぞれ有利差異か不利差異かを答えなさい。また、両差異の合計が標準原価と実際原価の差額と一致することを確認しなさい。差異は「標準-実際」で計算する。
必要資料
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 標準単価 | 500円/kg |
| 実際単価 | 480円/kg |
| 標準消費量 | 2,000kg |
| 実際消費量 | 2,100kg |
差異式
- 価格差異 =(標準単価-実際単価)× 実際消費量
- 数量差異 = 標準単価 ×(標準消費量-実際消費量)
解答を見る
計算過程
- 価格差異 =(500円-480円)× 2,100kg = 20円 × 2,100kg = +42,000円
- 数量差異 = 500円 ×(2,000kg-2,100kg)= 500円 ×(-100kg)= -50,000円
- 合計 = +42,000円-50,000円 = -8,000円
正答
- 価格差異 42,000円(有利差異・貸方)
- 数量差異 50,000円(不利差異・借方)
- 直接材料費差異(純額)8,000円(不利差異)
検算(Validation)
- 標準原価 = 500円 × 2,000kg = 1,000,000円
- 実際原価 = 480円 × 2,100kg = 1,008,000円
- 標準原価-実際原価 = 1,000,000円-1,008,000円 = -8,000円
- 価格差異+数量差異 = -8,000円 → 一致 ✓
検証限界
合計の一致は、同じ標準単価・実際単価・標準消費量・実際消費量を用いた分解結果と総差異が整合していることを示します。標準消費量2,000kgの算定、実際単価・実際消費量の転記、掛ける相手または計算手順全体が正しいことを単独で証明するものではありません。
解説
単価は標準より安く済んだ(有利)一方、数量は標準より多く使った(不利)という、方向の異なる2つの差異が生じています。純額では不利8,000円です。価格差異に実際消費量2,100kg、数量差異に標準単価500円を用いることで、2つの差異が「標準原価-実際原価」をちょうど分け合う形になります。
問4 賃率差異
問題
当社は標準原価計算を採用している。当月の直接労務費に関する資料は次のとおりである。賃率差異を計算し、有利差異か不利差異かを答えなさい。差異は「標準-実際」で計算する。
必要資料
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 標準賃率 | 2,000円/時間 |
| 実際賃率 | 2,100円/時間 |
| 実際直接作業時間 | 400時間 |
差異式
賃率差異 =(標準賃率-実際賃率)× 実際直接作業時間
解答を見る
計算過程
(2,000円-2,100円)× 400時間 = -100円 × 400時間 = -40,000円
正答
賃率差異 40,000円(不利差異・借方)
検算(Validation)
- 実際直接作業時間400時間を標準賃率で評価した額:2,000円 × 400時間 = 800,000円
- 同じ400時間を実際賃率で評価した額:2,100円 × 400時間 = 840,000円
- 差額:800,000円-840,000円 = -40,000円 → 賃率差異と一致 ✓
検証限界
この検算は、同じ実際直接作業時間に標準賃率と実際賃率を掛けた差が賃率差異と一致することを確認するものであり、実際賃率2,100円や実際直接作業時間400時間が正しく転記されていることまでは確認しません。
解説
賃率差異は材料費の価格差異に対応する差異で、「賃率の差」に実際直接作業時間を掛けます。実際賃率が標準賃率を100円上回ったので、実際に作業した400時間の全体について100円ずつ余分に原価が発生し、不利差異40,000円となります。
問5 作業時間差異
問題
当社は標準原価計算を採用している。当月の直接労務費に関する資料は次のとおりである。作業時間差異を計算し、有利差異か不利差異かを答えなさい。差異は「標準-実際」で計算する。
必要資料
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 標準賃率 | 2,000円/時間 |
| 標準作業時間 | 500時間 |
| 実際直接作業時間 | 480時間 |
差異式
作業時間差異 = 標準賃率 ×(標準作業時間-実際作業時間)
解答を見る
計算過程
2,000円 ×(500時間-480時間)= 2,000円 × 20時間 = +40,000円
正答
作業時間差異 40,000円(有利差異・貸方)
検算(Validation)
- 標準作業時間を標準賃率で評価した額:2,000円 × 500時間 = 1,000,000円
- 実際作業時間を標準賃率で評価した額:2,000円 × 480時間 = 960,000円
- 差額:1,000,000円-960,000円 = +40,000円 → 作業時間差異と一致 ✓
検証限界
この検算は、標準賃率で評価した2つの金額の差が作業時間差異と一致することを確認するものであり、標準作業時間500時間(製品1個あたり標準作業時間 × 実際生産量)の算定が正しいことまでは確認しません。
解説
作業時間差異は材料費の数量差異に対応する差異で、「時間の差」に標準賃率を掛けます。実際作業時間が標準作業時間を20時間下回ったので、20時間分を標準賃率で評価した40,000円が有利差異となります。正の値なので貸方です。