標準原価計算の方法と記帳(パーシャル・シングル) 計算問題 第1問〜第5問

問1

次の資料にもとづき、原価要素ごとの原価標準と、製品1個当たりの原価標準を求めなさい。

必要資料

  • 直接材料費:標準消費量2kg、標準単価200円/kg
  • 直接労務費:標準作業時間1時間、標準賃率300円/時間
  • 製造間接費:標準作業時間1時間、標準配賦率300円/時間
  • 記帳方法、生産量、期末仕掛品、実際原価、差異:この設問では用いない(原価標準の設定だけを求めるため)
  • 端数は生じない
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解答・解説

正答

原価要素 原価標準
直接材料費 400円
直接労務費 300円
製造間接費 300円
製品1個当たり 1,000円

計算過程

順 項目 計算 金額
1 直接材料費の原価標準 2×200 400
2 直接労務費の原価標準 1×300 300
3 製造間接費の原価標準 1×300 300
4 製品1個当たり原価標準 400+300+300 1,000

解説

原価標準は、原価要素ごとに数量面と価格面を掛け合わせて求めます。直接材料費は標準消費量×標準単価、直接労務費は標準作業時間×標準賃率、製造間接費は標準作業時間×標準配賦率です。

ここで求めた1,000円は製品1個当たりの金額であり、生産量を掛ける前の単価です。生産量を掛けた金額が標準原価です。

Validation(検証)

検証項目 計算 結果
合計の確認 400+300+300 1,000
単位の確認 2kg×200円/kg、1時間×300円/時間 いずれも円/個

この検証の限界:合計の確認は、3つの原価標準を足し合わせたものを合計としている以上、定義上必ず成立します。標準消費量2kgや標準単価200円という値そのものが資料どおりかは、この確認では分かりません。 資料に戻って数値を確かめる必要があります。


問2

次の資料にもとづき、完成品標準原価を求めなさい。

必要資料

  • 製品1個当たりの原価標準:1,000円
  • 完成品数量:500個
  • 期末仕掛品:なし(この設問では期末仕掛品の計算を行わない)
  • 記帳方法、実際原価、差異:この設問では用いない
  • 端数は生じない
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解答・解説

正答

  • 完成品標準原価:500,000円

計算過程

順 項目 計算 金額
1 完成品標準原価 1,000×500 500,000

解説

完成品は最後まで加工が終わっているので、完成品数量をそのまま掛けます。換算量を用いるのは期末仕掛品についてです。

標準原価 = 原価標準 × 生産量 という関係のうち、完成品についての適用がこの計算です。原価標準1,000円は1個当たりの金額、完成品標準原価500,000円は金額という違いを区別してください。

Validation(検証)

検証項目 計算 結果
単位の確認 1,000円/個 × 500個 円
逆算 500,000÷500 1,000円/個(原価標準と一致)

この検証の限界:逆算の確認は、掛けたものを割り戻しているだけなので、定義上必ず成立します。原価標準1,000円や完成品数量500個という値そのものが資料どおりかは、この確認では分かりません。


問3

次の資料にもとづき、完成品標準原価、期末仕掛品標準原価(原価要素別と合計)、当期標準製造原価を求めなさい。

必要資料

  • 原価標準:直接材料費400円、直接労務費300円、製造間接費300円、製品1個当たり1,000円
  • 材料は始点で投入する
  • 期首仕掛品:なし
  • 完成品数量:800個
  • 期末仕掛品数量:200個(加工進捗度50%)
  • 記帳方法、実際原価、差異:この設問では用いない(標準原価の算定だけを求めるため)
  • 端数は生じない
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解答・解説

正答

  • 完成品標準原価:800,000円
  • 期末仕掛品標準原価:材料80,000円/労務30,000円/間接費30,000円、合計140,000円
  • 当期標準製造原価:940,000円

計算過程

順 項目 計算 金額・数量
1 完成品標準原価 1,000×800 800,000
2 期末仕掛品の材料換算量 200(始点投入のため全量) 200個
3 期末仕掛品の加工換算量 200×50% 100個
4 期末仕掛品(材料) 400×200 80,000
5 期末仕掛品(労務) 300×100 30,000
6 期末仕掛品(間接費) 300×100 30,000
7 期末仕掛品標準原価 80,000+30,000+30,000 140,000
8 当期標準製造原価 800,000+140,000 940,000

解説

期末仕掛品は原価要素ごとに換算量を分けます。材料は始点で投入されるので期末仕掛品200個の全量が投入済みであり、進捗度を掛けません。加工費は工程を通じて発生するので、進捗度50%を掛けて100個分とします。

期首仕掛品がないので、当期標準製造原価は完成品標準原価と期末仕掛品標準原価の合計です。

Validation(検証)

検証項目 計算 結果
標準フロー 800,000+140,000 940,000=940,000
費目別の積み上げ 400×1,000+300×900+300×900 400,000+270,000+270,000=940,000

この検証の限界:標準フローの一致は、当期標準製造原価を完成品と期末仕掛品の合計として定義している以上、定義上必ず成立します。

期末仕掛品の材料にも進捗度を掛けてしまっても、この確認は通ります。 その場合、材料は 400×100=40,000円、期末仕掛品標準原価は100,000円、当期標準製造原価は900,000円となりますが、800,000+100,000=900,000 はやはり成立します。投入形態と進捗度を資料に戻って確かめる必要があります。


問4

パーシャル・プランにより記帳している。次の資料にもとづき、総差異、完成振替後・差異振替前の仕掛品残高、差異振替後の仕掛品残高を求めなさい。

必要資料

  • 原価標準:製品1個当たり1,000円(直接材料費400円、直接労務費300円、製造間接費300円)
  • 材料は始点で投入する。期首仕掛品:なし
  • 完成品数量800個、期末仕掛品数量200個(加工進捗度50%)
  • 実際製造原価:970,000円
  • 端数は生じない
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解答・解説

正答

  • 当期標準製造原価:940,000円
  • 総差異:30,000円(不利差異・借方)
  • 完成振替後・差異振替前の仕掛品残高:170,000円
  • 差異振替後の仕掛品残高:140,000円

計算過程

順 項目 計算 金額
1 完成品標準原価 1,000×800 800,000
2 期末仕掛品標準原価 400×200+300×100+300×100 140,000
3 当期標準製造原価 800,000+140,000 940,000
4 総差異 970,000-940,000 30,000(不利)
5 差異振替前の仕掛品残高 970,000-800,000 170,000
6 差異振替後の仕掛品残高 170,000-30,000 140,000

解説

パーシャル・プランでは仕掛品勘定の借方が実際原価970,000円です。完成振替800,000円を貸方に記入した時点での残高は170,000円で、この金額はまだ期末仕掛品標準原価140,000円と一致しません。差額30,000円が総差異だからです。

総差異30,000円を 標準原価差異 へ振り替えると、残高は140,000円となり期末仕掛品標準原価と一致します。

差異の借貸:実際原価が標準原価を上回るので不利差異であり、標準原価差異 の借方に記入します。

Validation(検証)

検証項目 計算 結果
標準フロー 800,000+140,000 940,000=940,000
差異の調整 940,000+30,000 970,000=970,000
勘定残高 970,000-800,000-30,000 140,000(期末仕掛品標準原価と一致)

この検証の限界:標準フローの一致も差異の調整の一致も、定義上必ず成立します。

一方、ほかの記入が正しいという条件のもとでは、勘定残高の確認により、差異振替の漏れによる残高不一致を検出できます。差異を振り替えないままだと残高は170,000円のままで、期末仕掛品標準原価140,000円と食い違います。ただし、残高一致だけでは、差異振替という手続の実施や、ほかの記入の正しさまでは証明できません。

また、勘定残高の確認でも、原価標準や換算量そのものの正しさは分かりません。誤った原価標準で計算しても、その誤った金額どうしで残高は一致します。


問5

シングル・プランにより記帳している。次の資料にもとづき、費目別の標準原価、費目別の差異、差異の合計、および仕掛品勘定の借方に記入する金額を求めなさい。

必要資料

  • 原価標準:直接材料費400円、直接労務費300円、製造間接費300円
  • 材料は始点で投入する。期首仕掛品:なし
  • 完成品数量800個、期末仕掛品数量200個(加工進捗度50%)
  • 実際発生額:直接材料費420,000円、直接労務費280,000円、製造間接費270,000円
  • 端数は生じない
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解答・解説

正答

原価要素 標準原価 実際原価 差異
直接材料費 400,000円 420,000円 20,000円(不利)
直接労務費 270,000円 280,000円 10,000円(不利)
製造間接費 270,000円 270,000円 0円
合計 940,000円 970,000円 30,000円(不利)
  • 仕掛品勘定の借方に記入する金額:940,000円(標準原価)

計算過程

順 項目 計算 金額・数量
1 材料の換算量 800+200(始点投入) 1,000個
2 加工費の換算量 800+200×50% 900個
3 材料の標準原価 400×1,000 400,000
4 労務の標準原価 300×900 270,000
5 間接費の標準原価 300×900 270,000
6 費目別標準原価の合計 400,000+270,000+270,000 940,000
7 材料の差異 420,000-400,000 20,000(不利)
8 労務の差異 280,000-270,000 10,000(不利)
9 間接費の差異 270,000-270,000 0
10 差異の合計 20,000+10,000+0 30,000(不利)

解説

シングル・プランでは仕掛品勘定の借方を標準原価で記入するため、費目ごとに「原価標準 × 換算量」を求めます。材料の換算量は始点投入なので完成品800個と期末仕掛品200個の合計1,000個、加工費は期末仕掛品に進捗度を掛けて900個です。

差異は費目ごとに 実際原価 - 標準原価 で求めます。いずれも実際が標準を上回るため不利差異で、標準原価差異 の借方に記入します。製造間接費は一致するため差異は生じません。

費目別標準原価の合計940,000円は、当期標準製造原価と同じ金額です。完成品標準原価と期末仕掛品標準原価に分けて積み上げても、費目別に積み上げても、同じ金額になります。

Validation(検証)

検証項目 計算 結果
費目別標準原価の合計 400,000+270,000+270,000 940,000
完成品と期末仕掛品からの積み上げ 800,000+140,000 940,000(一致)
差異の合計 20,000+10,000+0 30,000
差異の調整 940,000+30,000 970,000(実際原価と一致)

この検証の限界:費目別の積み上げと完成品・期末仕掛品からの積み上げが一致することは、どちらも同じ原価標準と同じ換算量から計算している以上、定義上必ず成立します。独立した検算にはなりません。

換算量を誤っても、この一致は保たれます。 たとえば材料の換算量を900個としてしまうと、費目別の合計は900,000円、期末仕掛品標準原価は100,000円となり、800,000+100,000=900,000 で一致します。換算量と投入形態を資料に戻って確かめる必要があります。


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