工程別総合原価計算(累加法) 計算問題 第6問〜第7問

問6

次の資料にもとづき、第2工程の当期換算量、当期単価、期末仕掛品原価、完成品総合原価を求めなさい。

必要資料

  • 計算方法:修正先入先出法
  • 前工程費は第2工程の始点で全額投入済みとして扱う(第2工程の加工進捗度を掛けない)
  • 期首仕掛品:100個(加工進捗度40%)、期首仕掛品原価は前工程費100,000円・加工費16,000円
  • 当期受入:900個、当期受入前工程費900,000円
  • 当期加工費:344,000円
  • 完成品数量:800個
  • 期末仕掛品数量:200個(加工進捗度50%)
  • 端数は生じない
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解答・解説

正答

  • 当期換算量:前工程費900個/当工程加工費860個
  • 当期単価:前工程費1,000円/当工程加工費400円
  • 期末仕掛品原価:240,000円(前工程費200,000円+加工費40,000円)
  • 完成品総合原価:1,120,000円(1つの金額で示す)
  • 借方原価合計:1,360,000円

計算過程

順 項目 計算 金額・数量
1 数量の流れ 100+900=800+200 1,000=1,000
2 当期前工程費換算量 800-100+200 900個
3 期首仕掛品の当期加工分 100×(1-40%) 60
4 当期着手・当期完成数量 800-100 700
5 期末仕掛品の加工換算量 200×50% 100
6 当期加工費換算量 60+700+100 860個
7 当期前工程費単価 900,000÷900 1,000円
8 当期加工費単価 344,000÷860 400円
9 期末(前工程費) 1,000×200 200,000
10 期末(加工費) 400×100 40,000
11 期末仕掛品原価 200,000+40,000 240,000
12 借方原価合計 116,000+900,000+344,000 1,360,000
13 完成品総合原価 1,360,000-240,000 1,120,000

解説

判断根拠

4段階で判断します。

第1に、当期前工程費換算量から期首仕掛品数量を差し引きます。期首仕掛品100個は、前の期にすでに前工程費を受け入れています。当期の換算量に重ねて含めれば、同じ数量を二度数えることになります。800-100+200=900個となり、この900個は当期に受け入れた数量と一致します。

第2に、当期加工費換算量を3つに分けて数えます。期首仕掛品は進捗度40%まで進んでいたので、当期に進めたのは残りの60%にあたる60個分です。当期に着手して当期に完成したのは 800-100=700個です。期末仕掛品は 200×50%=100個分です。合計860個です。

第3に、期末仕掛品を当期の単価だけで評価します。期首仕掛品原価116,000円は単価の計算に含めていないので、期末仕掛品原価に期首仕掛品原価は混ざりません。

第4に、完成品総合原価を1つの金額で示します。借方合計から期末仕掛品原価を差し引いた1,120,000円です。完成品を「期首から完成した分」と「当期着手して完成した分」に分けて表示することはしません。

検証

Validation(検証)

検証項目 計算 結果
数量フロー 100+900=800+200 1,000=1,000
当期前工程費換算量と受入数量 900個 と 900個 一致
原価フロー 1,120,000+240,000 1,360,000=1,360,000
期末仕掛品の評価 当期単価1,000円・400円のみを使用 期首原価の混入なし

この検証の限界:原価フローの一致は、完成品総合原価を差額で求めた以上、定義上必ず成立します。期末仕掛品原価240,000円に期首仕掛品原価が混ざっていても、合計は1,360,000円のまま保たれます。

さらにこの資料では、平均法で計算しても同じ金額になります。 平均法の前工程費単価は (100,000+900,000)÷(800+200)=1,000円、加工費単価は (16,000+344,000)÷(800+100)=400円 となり、当期単価と一致します。期末仕掛品原価も240,000円で同じです。

これはこの資料の数値によるものです。たとえば期首加工費が30,000円であれば、平均法の加工費単価は (30,000+344,000)÷900 となって400円にはならず、2つの方法は分かれます。

したがって、金額が合ったことは、指定された方法を正しく適用した証拠にはなりません。 換算量の求め方と、期末仕掛品の評価に使った単価を、計算過程に戻って確かめる必要があります。

想定される誤り:ひとつは、当期前工程費換算量から期首仕掛品数量100個を差し引き忘れ、1,000個としてしまうことです。ふたつめは、当期加工費換算量で期首仕掛品を進捗度40%の40個分として数えてしまうことです。当期に進めたのは残りの60%です。三つめは、期末仕掛品原価に期首仕掛品原価を含めてしまうことです。期末仕掛品は当期の単価だけで評価します。


問7

次の資料にもとづき、(1)正しい計算による期末仕掛品原価と完成品総合原価、(2)前工程費にも第2工程の加工進捗度を掛けてしまった場合の期末仕掛品原価と完成品総合原価を求め、両者を比較しなさい。

必要資料

  • 計算方法:平均法
  • 前工程費は第2工程の始点で全額投入済みとして扱うのが正しい処理である
  • 期首仕掛品:なし
  • 第1工程からの受入:750個、前工程費675,000円
  • 完成品数量:600個
  • 期末仕掛品数量:150個(加工進捗度50%)
  • 当工程加工費:270,000円
  • 端数は生じない
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解答・解説

正答

区分 前工程費換算量 前工程費単価 加工費換算量 加工費単価 期末仕掛品原価 完成品総合原価
(1) 正しい計算 750個 900円 675個 400円 165,000円 780,000円
(2) 進捗度を掛けた誤り 675個 1,000円 675個 400円 105,000円 840,000円

借方原価合計はいずれも945,000円である。

計算過程

(1) 正しい計算

順 項目 計算 金額・数量
1 前工程費の換算量 600+150(進捗度を掛けない) 750個
2 前工程費単価 675,000÷750 900円
3 加工費の換算量 600+150×50% 675個
4 加工費単価 270,000÷675 400円
5 期末(前工程費) 900×150 135,000
6 期末(加工費) 400×75 30,000
7 期末仕掛品原価 135,000+30,000 165,000
8 借方原価合計 675,000+270,000 945,000
9 完成品総合原価 945,000-165,000 780,000

(2) 前工程費にも進捗度を掛けた場合

順 項目 計算 金額・数量
1 前工程費の換算量 600+150×50% 675個
2 前工程費単価 675,000÷675 1,000円
3 期末(前工程費) 1,000×75 75,000
4 期末(加工費) 400×75 30,000
5 期末仕掛品原価 75,000+30,000 105,000
6 完成品総合原価 945,000-105,000 840,000

解説

判断根拠

3段階で判断します。

第1に、誤りが何を変えたかを特定します。変わったのは前工程費の換算量だけです。750個が675個になり、単価が900円から1,000円に上がりました。加工費側は675個・400円のまま変わりません。

第2に、配分がどう動いたかを見ます。期末仕掛品の前工程費が135,000円から75,000円に減り、期末仕掛品原価は165,000円から105,000円へ60,000円減りました。その分だけ完成品総合原価が780,000円から840,000円へ増えています。減った分と増えた分は同じ60,000円です。

第3に、借方原価合計を確かめます。どちらも945,000円で変わりません。前工程費675,000円と当工程加工費270,000円という投入額そのものは動いていないからです。誤りは配分の仕方にあり、投入額には及びません。

検証

Validation(検証)

検証項目 (1) 正しい計算 (2) 誤り 判定
数量フロー 750=600+150 750=600+150 どちらも一致
原価フロー 780,000+165,000=945,000 840,000+105,000=945,000 どちらも一致
期末と完成の差 - 60,000円ずつ反対方向 相殺される

この検証の限界:原価フローの一致は、誤った計算でも成立します。 (2) は前工程費に進捗度を掛けるという明確な誤りを含んでいますが、借方原価合計は945,000円のまま保たれ、原価フローの確認を通過します。

これは、完成品総合原価を差額で求めているためです。期末仕掛品原価がいくらであっても、それを借方合計から差し引けば完成品総合原価になり、足し戻せば必ず借方合計に戻ります。

総額の一致は、前工程費の換算量の取り方が正しいことを証明しません。 期末仕掛品の前工程費換算量に第2工程の加工進捗度を掛けていないかを、計算過程に戻って確かめる必要があります。

想定される誤り:ひとつは、前工程費に加工進捗度を掛けてしまうことです。前工程費は第2工程の始点で全額投入済みとして扱います。ふたつめは、総額が一致したことをもって前工程費の扱いまで正しいと判断してしまうことです。三つめは、(2) の完成品総合原価840,000円が (1) より大きいことから、誤った計算のほうが製品原価を大きく見せると一般化してしまうことです。ここで生じた差は、期末仕掛品への配分が小さくなったことの裏返しであり、この資料の数値のもとでの結果です。


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