個別原価計算(指図書・原価計算表・仕損) 計算問題 第1問〜第5問

問1

次の資料にもとづき、製造指図書 No.601 の原価を求めなさい。

必要資料

原価要素 金額
直接材料費 120,000円
直接労務費 80,000円
直接経費 40,000円
製造間接費配賦額 160,000円

前月繰越はない。

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解答・解説

正答

  • No.601 の原価:400,000円

計算過程

順 項目 計算 金額
1 直接費の合計 120,000+80,000+40,000 240,000
2 製造間接費配賦額 所与 160,000
3 指図書別原価 240,000+160,000 400,000

指図書別原価 = 直接材料費 + 直接労務費 + 直接経費 + 製造間接費配賦額

解説

4つの要素をすべて加えます。直接経費と製造間接費配賦額を落とさないことが要点です。

Validation(検証)

検証項目 計算 結果
別経路(要素の順序を変えて加算) 160,000+40,000+80,000+120,000 400,000(一致)
直接費と間接費の内訳 240,000+160,000 400,000

この検証の限界:加算の順序を変えても合計は同じです。要素を1つ落としていれば、どちらの経路でも同じ誤った金額になります。資料の4要素がすべて反映されているかを、項目名で確かめてください。


問2

次の資料にもとづき、製造指図書 No.611・No.612 の製造間接費配賦額と指図書別原価、および総計を求めなさい。

必要資料

製造間接費は直接作業時間を基準に、予定配賦率1,500円/時間で配賦する。

指図書 直接材料費 直接労務費 直接経費 直接作業時間
No.611 240,000円 180,000円 30,000円 120時間
No.612 180,000円 150,000円 20,000円 100時間

前月繰越はない。

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解答・解説

正答

指図書 製造間接費配賦額 指図書別原価
No.611 180,000円 630,000円
No.612 150,000円 500,000円
総計 330,000円 1,130,000円

計算過程

順 項目 計算 金額
1 No.611 の配賦額 1,500円×120時間 180,000
2 No.611 の原価 240,000+180,000+30,000+180,000 630,000
3 No.612 の配賦額 1,500円×100時間 150,000
4 No.612 の原価 180,000+150,000+20,000+150,000 500,000
5 総計 630,000+500,000 1,130,000

解説

製造間接費は指図書ごとの直接作業時間に配賦率を掛けて求めます。直接費は指図書へ直接集計します。

No.611 は直接労務費180,000円と製造間接費配賦額180,000円がたまたま同額ですが、別の要素です。混同しないよう注意してください。

Validation(検証)

検証項目 計算 結果
配賦額の合計 1,500円×(120+100)時間 330,000円(一致)
直接費の合計 (240,000+180,000+30,000)+(180,000+150,000+20,000) 800,000円
総計の別経路 800,000+330,000 1,130,000円(一致)

この検証の限界:総計の別経路は、指図書間で時間を取り違えていても成立します。120時間と100時間を入れ替えても、配賦額の合計330,000円は変わらず総計も同じです。どの指図書が何時間かを、資料に戻って確かめる必要があります。


問3

次の資料にもとづき、月末の仕掛品・製品・売上原価の金額と総計を求めなさい。

必要資料

指図書 月末の状況 原価
No.621 未完成 420,000円
No.622 完成・未引渡 560,000円
No.623 完成・引渡済 610,000円
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解答・解説

正答

  • 仕掛品:420,000円(No.621)
  • 製品:560,000円(No.622)
  • 売上原価:610,000円(No.623)
  • 総計:1,590,000円

計算過程

順 項目 判定 金額
1 No.621 未完成 → 仕掛品 420,000
2 No.622 完成・未引渡 → 製品 560,000
3 No.623 完成・引渡済 → 売上原価 610,000
4 総計 420,000+560,000+610,000 1,590,000

解説

状態ごとに集計先が決まります。完成しただけの No.622 は製品であり、売上原価にはなりません。引き渡した No.623 が売上原価です。

Validation(検証)

検証項目 計算 結果
状態別合計 420,000+560,000+610,000 1,590,000
全指図書原価 420,000+560,000+610,000 1,590,000(一致)

この検証の限界:この一致は、状態の判定を取り違えていても成立します。No.622 を引渡済としてしまえば製品0円・売上原価1,170,000円となりますが、合計は1,590,000円のままです。完成日と引渡日を、資料に戻って確かめる必要があります。


問4

次の資料にもとづき、(1)仕損費と(2)補修後の指図書 No.631 の原価を求めなさい。

必要資料

製造指図書 No.631 の製造中に仕損が生じたため、補修指図書 No.R-631 を発行して手直しを行った。補修の対象は No.631 である。

補修指図書 No.R-631 に集計された原価

原価要素 金額
直接材料費 18,000円
直接労務費 12,000円
直接経費 3,000円
製造間接費配賦額 15,000円

No.631 の補修前の原価:570,000円

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解答・解説

正答

  • (1) 仕損費:48,000円
  • (2) 補修後の No.631 の原価:618,000円

計算過程

順 項目 計算 金額
1 仕損費(補修指図書原価) 18,000+12,000+3,000+15,000 48,000
2 補修後の No.631 の原価 570,000+48,000 618,000

解説

補修指図書にも元の指図書と同じ4要素を集計します。その合計が仕損費です。

仕損費は全額を元の指図書 No.631 へ加算します。一部だけを加算したり、他の指図書へ配分したりはしません。

Validation(検証)

検証項目 計算 結果
補修指図書の残高 48,000-48,000 0
加算額と補修指図書原価 ともに48,000円 一致
補修後原価の逆算 618,000-570,000 48,000円(一致)

この検証の限界:補修後原価の逆算は、補修後原価を「補修前+仕損費」で求めた以上、定義上必ず成立します。また残高0も、全額を振り替えれば成立します。振替先が No.631 であることは、補修指図書に記載された元の指図書番号で確かめる必要があります。別の指図書へ振り替えても残高は0になります。


問5

次の資料にもとづき、(1)各指図書の原価、(2)月末の仕掛品・製品の金額、(3)総額を求めなさい。

必要資料

製造指図書 No.641(月末に完成・未引渡)

項目 金額
前月繰越 100,000円
当月直接材料費 180,000円
当月直接労務費 120,000円
当月直接経費 20,000円
当月製造間接費配賦額 150,000円

No.641 については、補修指図書 No.R-641(対象は No.641)を発行し、その原価 30,000円を仕損費として賦課している。

製造指図書 No.642(月末に未完成)

項目 金額
前月繰越 なし
当月直接材料費 160,000円
当月直接労務費 100,000円
当月直接経費 10,000円
当月製造間接費配賦額 120,000円
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解答・解説

正答

  • (1) No.641:600,000円/No.642:390,000円
  • (2) 仕掛品:390,000円(No.642)/製品:600,000円(No.641)
  • (3) 総額:990,000円

計算過程

順 項目 計算 金額
1 No.641 の当月原価 180,000+120,000+20,000+150,000 470,000
2 No.641 の原価 100,000(前月繰越)+470,000+30,000(仕損費) 600,000
3 No.642 の原価 160,000+100,000+10,000+120,000 390,000
4 仕掛品(No.642・未完成) — 390,000
5 製品(No.641・完成未引渡) — 600,000
6 総額 390,000+600,000 990,000

解説

判断根拠

4段階で判断します。

第1に、前月繰越と当月原価を区別します。No.641 には前月繰越100,000円があります。まず当月の4要素を合計して470,000円を求め、そのうえで前月繰越を加えます。最初からまとめて足すと、当月にいくら投入したのかが分からなくなります。

第2に、仕損費を加えます。補修指図書 No.R-641 の原価30,000円を、対象である No.641 へ加算します。No.641 の原価は 100,000+470,000+30,000=600,000円です。No.642 には仕損費を配分しません。 補修の対象は No.641 だけだからです。

第3に、No.642 の原価を求めます。前月繰越がないので当月の4要素だけを合計して390,000円です。

第4に、状態を判定します。No.641 は完成・未引渡なので製品、No.642 は未完成なので仕掛品です。引渡済のものはないので売上原価は0円です。

検証

Validation(検証)

検証項目 計算 結果
No.641 当月原価の内訳 180,000+120,000+20,000+150,000 470,000
No.641 の構成 前月繰越100,000+当月470,000+仕損費30,000 600,000
補修指図書 No.R-641 の残高 30,000-30,000 0
状態別合計 390,000(仕掛品)+600,000(製品)+0(売上原価) 990,000
全指図書原価 600,000+390,000 990,000(一致)

この検証の限界:状態別合計と全指図書原価の一致は、状態の判定を取り違えていても成立します。No.641 と No.642 の状態を入れ替えても、仕掛品600,000円・製品390,000円となり合計は990,000円のままです。

また仕損費30,000円を No.642 へ賦課してしまっても、合計は990,000円のままです。No.641 が570,000円、No.642 が420,000円になるだけです。

前月繰越の有無、完成・未完成の別、補修の対象となる指図書番号を、資料に戻って一つずつ確かめる必要があります。

想定される誤り:ひとつは、前月繰越を当月原価に含めてしまい区別を失うことです。ふたつめは、仕損費を両方の指図書へ配分してしまうことです。三つめは、No.641 が完成していることをもって売上原価としてしまうことです。引き渡していないので製品です。


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