勘定体系・勘定連絡と製品の受払い 総合問題 ケース1

ケース1

共通資料

ある製造会社の当期の資料は次のとおりである。原価差異は生じていない。

項目 金額(円)
期首仕掛品原価 120,000
当期総製造費用 1,080,000
期末仕掛品原価 150,000
期首製品原価 180,000
期末製品原価 210,000

当期の勘定連絡は次の図で表される。空欄①②に入る金額を求めることが、Q01・Q02 の課題である。

        仕掛品                          製品                      売上原価
 ┌──────────────┐        ┌──────────────┐        ┌──────────┐
 │期首   120,000│        │期首   180,000│        │          │
 │              │──①──→│              │──②──→│    ②    │
 │投入 1,080,000│        │受入    ①    │        │          │
 │              │        │              │        │          │
 │期末   150,000│        │期末   210,000│        │          │
 └──────────────┘        └──────────────┘        └──────────┘

使用可能勘定科目:仕掛品/製品/売上原価

問1

勘定連絡図の空欄①に入る金額(仕掛品勘定から製品勘定へ振り替えられる金額)を求めなさい。

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正答

  • 空欄①:1,050,000円

解説

空欄①は、仕掛品勘定の貸方から出て製品勘定の借方へ入る金額、すなわち当期に完成した製品の原価です。

順 項目 計算 金額
1 仕掛品勘定の借方合計 120,000+1,080,000 1,200,000
2 完成品原価 1,200,000-150,000 1,050,000

完成品原価 = 期首仕掛品 + 当期総製造費用 - 期末仕掛品 = 120,000+1,080,000-150,000 = 1,050,000円

当期総製造費用1,080,000円がそのまま完成品原価になるわけではありません。期首の未完成品が加わり、期末の未完成品が差し引かれます。

配点

空欄①が1,050,000円であれば正答とする。

採点要素

  1. 仕掛品勘定の借方合計を 120,000+1,080,000=1,200,000円 と算定していること
  2. 期末仕掛品150,000円を差し引いていること
  3. 空欄① 1,050,000円

部分点

YES

部分点の取扱い

採点要素 の3要素を各1点、計3点満点とする。1,080,000円(当期総製造費用をそのまま完成品原価とした)は0点とする。1,200,000円(期末仕掛品を差し引いていない)は要素1のみ1点とする。期末仕掛品を加算して1,350,000円とした場合は要素1のみ1点とする。

問2

勘定連絡図の空欄②に入る金額(製品勘定から売上原価勘定へ振り替えられる金額)を求めなさい。

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正答

  • 空欄②:1,020,000円

解説

空欄②は、製品勘定の貸方から出て売上原価勘定の借方へ入る金額、すなわち当期に販売した製品の原価です。

まず製品勘定の借方に入る完成品原価を確定します。

順 項目 計算 金額
1 完成品原価(空欄①) 120,000+1,080,000-150,000 1,050,000
2 製品勘定の借方合計 180,000+1,050,000 1,230,000
3 売上原価 1,230,000-210,000 1,020,000

売上原価 = 期首製品 + 完成品原価 - 期末製品 = 180,000+1,050,000-210,000 = 1,020,000円

完成品原価1,050,000円と売上原価1,020,000円は一致しません。 期末製品が期首製品より30,000円多いため、その分だけ売上原価が少なくなっています。

配点

空欄②が1,020,000円であれば正答とする。完成品原価1,050,000円を経由して算定していること。

採点要素

  1. 製品勘定の借方に入る完成品原価を1,050,000円と確定していること
  2. 製品勘定の借方合計を 180,000+1,050,000=1,230,000円 と算定していること
  3. 期末製品210,000円を差し引いていること
  4. 空欄② 1,020,000円

部分点

YES

部分点の取扱い

採点要素 の4要素を各1点、計4点満点とする。1,050,000円(完成品原価をそのまま売上原価とした)は要素1のみ1点とする。1,230,000円(期末製品を差し引いていない)は要素1・2に各1点とする。当期総製造費用1,080,000円を製品勘定の借方に用いた場合は要素1・2を0点とする。その誤った小計からでも期末製品210,000円を明示的に差し引いていれば要素3のみ加点できるが、要素4は0点とする。

問3

(1) 当期の完成品受入れと、販売した製品の原価の振替について、原価の側の仕訳を2つ示しなさい。販売代金に関する仕訳は解答しなくてよい。
(2) 仕掛品勘定と製品勘定のそれぞれについて、借方側累計が「貸方への振替額+期末借方残高」と一致することを示しなさい。

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正答

(1) 仕訳

完成品の受入れ

借方 金額 貸方 金額
製品 1,050,000 仕掛品 1,050,000

販売した製品の原価の振替

借方 金額 貸方 金額
売上原価 1,020,000 製品 1,020,000

(2) 勘定の原価配分の一致

勘定 借方側累計 貸方への振替額+期末借方残高 判定
仕掛品 120,000+1,080,000=1,200,000 1,050,000+150,000=1,200,000 一致
製品 180,000+1,050,000=1,230,000 1,020,000+210,000=1,230,000 一致

解説

判断根拠

3段階で判断します。

第1に、この設問では計算の順序が決まっています。売上原価を求めるには完成品原価が必要で、完成品原価を求めるには仕掛品勘定の資料が必要です。仕掛品勘定が先、製品勘定が後です。共通資料には5つの金額がありますが、どれが仕掛品勘定のものでどれが製品勘定のものかを最初に仕分けます。

第2に、完成品原価1,050,000円が2つの勘定をつないでいます。この金額は仕掛品勘定の貸方に現れ、同じ金額が製品勘定の借方に現れます。片方の勘定だけで完結する金額ではありません。

第3に、完成と販売は別の出来事なので仕訳を2つに分けます。1つにまとめて「借方 売上原価/貸方 仕掛品」とすると製品勘定を経由しないため、期末の未販売製品原価210,000円が帳簿に残らなくなります。

検証

上の(2)のとおり、両勘定とも借方側累計が「貸方への振替額+期末借方残高」と一致します。期末仕掛品と期末製品は、いずれも借方残高であって貸方残高や貸方仕訳ではありません。加えて次の点も確認できます。

確認項目 内容
2つの勘定のつながり 1,050,000円が仕掛品の貸方と製品の借方に同額で現れる
完成品原価と売上原価の差 1,050,000-1,020,000=30,000円
期末製品と期首製品の差 210,000-180,000=30,000円
両者の一致 売れ残りが30,000円増えた分だけ、売上原価が完成品原価より少ない

最後の確認は、上の原価配分関係とは別の見方です。増減の向きが説明できているかを確かめられます。

この検証の限界:借方側累計と「振替額+期末借方残高」の一致は、完成品原価と売上原価を「期首+入ってきた分-期末」で求めた時点で定義上必ず成立します。したがって一致したことは、金額が正しいことを示しません。

さらに、仕掛品勘定と製品勘定は同じ形をしているため、資料を取り違えても式は成り立ちます。仮に期首製品180,000円を期首仕掛品として計算しても、両辺は一致してしまいます。共通資料のどの金額がどちらの勘定のものかを、項目名に戻って確かめる必要があります。

想定される誤り:ひとつは、当期総製造費用1,080,000円をそのまま完成品原価としてしまうことです。期首・期末の仕掛品を調整する必要があります。ふたつめは、完成品原価1,050,000円をそのまま売上原価としてしまうことです。期首・期末の製品を調整する必要があります。三つめは、2つの振替を1つの仕訳にまとめてしまうことです。製品勘定を経由しないため、完成したが売れ残った分を把握できなくなります。

配点

(1)の2つの仕訳が、それぞれ 借方 製品1,050,000/貸方 仕掛品1,050,000、借方 売上原価1,020,000/貸方 製品1,020,000 であること。(2)で仕掛品勘定の借方側累計と「振替額+期末借方残高」がともに1,200,000円、製品勘定の両者がともに1,230,000円であることが示されていること。

採点要素

  1. 完成品の受入れ 借方 製品1,050,000/貸方 仕掛品1,050,000
  2. 販売原価の振替 借方 売上原価1,020,000/貸方 製品1,020,000
  3. 2つの振替を別々の仕訳としていること
  4. 仕掛品勘定の借方側累計と「振替額+期末借方残高」がともに1,200,000円
  5. 製品勘定の借方側累計と「振替額+期末借方残高」がともに1,230,000円

部分点

YES

部分点の取扱い

採点要素 の5要素を各1点、計5点満点とする。借方 売上原価/貸方 仕掛品 の1仕訳にまとめた場合は要素1・2・3をいずれも0点とする。要素4・5は 採点要素 に記載した正しい合計額を示した場合に限り加点し、誤った仕訳金額からのエラー・フォロースルーは認めない。勘定の貸借を逆に記載した場合は当該要素を0点とする。


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