有価証券の売買・端数利息と売買目的有価証券の評価

学習のポイント

① 何を学ぶか

会社は余裕資金を運用するため、株式や社債などの有価証券を売買することがあります。この単元では、短期間で売買して利益を得る目的で保有する有価証券の処理を学びます。これを売買目的有価証券といいます。

学ぶことは3つです。

  1. 利息が付く債券を売買したときの端数利息の処理
  2. 売却したときの売却益・売却損の計算
  3. 決算時の時価による評価

とくに端数利息は、有価証券の代金とは別に処理する点が重要です。

② 基本Rule

端数利息とは

社債などの債券には、あらかじめ決められた日(利払日)に利息が支払われます。しかし利払日と利払日の間に売買が行われると、前の利払日から売買日までの利息を誰が受け取るかという問題が生じます。

この期間の利息は、その間債券を保有していた売主のものです。そこで買主は、有価証券の代金とは別に、この分の利息を売主へ支払います。これを端数利息といいます。

端数利息の計算

端数利息 = 額面総額 × 年利率 × (経過日数 ÷ 基準日数)

この教材の端数利息の数値問題では、原則として額面総額・年利率・経過日数・基準日数が問題文に示されます。 示された経過日数と基準日数をそのまま使って計算します。

端数利息の記帳方向

立場 端数利息の扱い
買主(支払う側) 有価証券利息の借方
売主(受け取る側) 有価証券利息の貸方

買主は将来の利払日に利息の全額を受け取るため、売主へ渡した分をいったん差し引いておく形になります。

購入の仕訳

売買目的有価証券 ×××(有価証券の代金)
有価証券利息     ×××(端数利息)      /  普通預金 ×××(合計額)

支払総額は「有価証券の代金 + 端数利息」です。2つを分けて記帳します。

この単元では、売買目的有価証券の本体金額と売却損益を区分して記帳する分記法で処理し、端数利息も有価証券利息として本体から分けます。
これは、商品売買で学んだ分記法と同じ「本体と損益を分けて記帳する考え方」を有価証券へ当てはめるものです。ただし、使う勘定科目は有価証券用の科目になります。

売却の仕訳

売却では、有価証券本体の売価と帳簿価額を比べて売却益・売却損を求めます。

売却益・売却損 = 有価証券本体の売価 - 帳簿価額

端数利息は売却損益に含めません。 端数利息は有価証券利息として別に処理します。

(益が出る場合)
普通預金 ×××  /  売買目的有価証券 ×××(帳簿価額)
                  有価証券利息     ×××(端数利息)
                  有価証券売却益   ×××(差額)

(損が出る場合)
普通預金       ×××
有価証券売却損 ×××  /  売買目的有価証券 ×××(帳簿価額)
                        有価証券利息     ×××(端数利息)

期末の評価

売買目的有価証券は、決算日の時価で評価します。

評価損益 = 期末時価 - 帳簿価額
差額 仕訳
プラス(評価益) 売買目的有価証券 ××× / 有価証券評価損益 ×××
マイナス(評価損) 有価証券評価損益 ××× / 売買目的有価証券 ×××

翌期首の処理

評価の方法には2つがあり、翌期首の扱いが異なります。

方法 翌期首の処理
切放法 戻し入れない。期末の時価が翌期の帳簿価額になる
洗替法 前期末の評価仕訳を逆仕訳で戻す。もとの帳簿価額に戻る

どちらの方法によるかは問題文に示されます。 自分で決める必要はありません。

③ 処理手順

手順1:有価証券の代金と端数利息を分ける

問題文の金額が「代金のみ」か「端数利息を含む合計額」かを読み取ります。

手順2:端数利息を計算する

額面総額・年利率・経過日数・基準日数を問題文から読み取って計算します。

手順3:立場に応じて記帳方向を決める

買主なら有価証券利息の借方、売主なら貸方です。

手順4:売却なら本体だけで損益を判定する

有価証券本体の売価と帳簿価額を比べます。端数利息は含めません。

手順5:期末評価では方法を確認する

切放法か洗替法かを問題文から読み取り、翌期首の処理を判断します。

④ 注意点

注意1:端数利息を有価証券の取得原価に含めない

購入時に支払った端数利息は、有価証券の代金ではありません。売買目的有価証券には含めず、有価証券利息として処理します。含めてしまうと帳簿価額が過大になり、その後の売却損益や評価損益もすべて狂います。

注意2:売却損益に端数利息を含めない

売却時に受け取った端数利息は、売却による損益ではありません。本体の売価と帳簿価額だけで判定します。

注意3:基準日数は問題文から読み取る

基準日数は問題文で与えられます。自分で365日と決めてはいけません。 問題によって基準日数は異なります。

注意4:評価損益の符号に注意

時価が帳簿価額より高ければ評価益(貸方)、低ければ評価損(借方)です。有価証券評価損益は、益と損の両方に使う勘定です。

注意5:切放法と洗替法の違いは翌期首に現れる

期末の仕訳は同じですが、翌期首に戻すかどうかが異なります。問題文の指定を確認してください。

注意6:この単元で扱う範囲

売買の記録を注文した日を基準に行う方法や、保有する目的を途中で変更した場合の処理は、この単元では扱いません。また、他の目的で保有する有価証券の評価も別の単元で扱います。

⑤ 試験での使われ方

この論点は第1問の仕訳形式と第2問の勘定記入形式につながります。

第1問では、端数利息を含む購入・売却の仕訳や、期末評価の仕訳が問われます。

第2問では、売買目的有価証券や有価証券利息の勘定の動きを記入する形が考えられます。有価証券の代金と端数利息を分けて記帳しておくことが、勘定記入の前提になります。

額面総額・年利率・経過日数・基準日数、および切放法か洗替法かは、いずれも問題文に示されます。

⑥ 年度注記

この論点は2026年度・2027年度の両方で出題範囲です。

有価証券の売買・端数利息・期末評価の取扱いについて、2026年度と2027年度で変更はありません。どちらの年度を受験する場合も、同じ内容を学習してください。


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