第2問(帳簿・資料問題)の攻略

1.このページで学ぶこと

このページでは、当サイトの本試験形式における第2問の攻略を学びます。

  • 問題を見たら、まず「何を完成させる問題か」を判断できる
  • 仕訳された情報が、勘定・補助簿・集計表のどこへ現れるかを追える
  • 期首残高・当期の増減・期末残高を区別して勘定記入できる
  • 空欄や不足情報を、帳簿間のつながりから求められる
  • 補助簿の対象に年度差があることを理解できる

C17-T01「本試験形式の全体像」では試験全体の地図を確認しました。ここからは、第2問に入った後の具体的な資料の読み方へ進みます。


2.第2問攻略の位置づけ

第1問と第2問では、求められている作業の段階が違います。

出発点 到達点
第1問 取引を説明した文章 仕訳
第2問 帳簿・資料・伝票など(資料型では仕訳済み情報を含む) 勘定・補助簿・集計表などの読解・完成

第1問が主に「取引を仕訳へ変換する力」を確認するのに対し、第2問では、帳簿・資料型を中心に、仕訳された情報が帳簿や資料のどこへ、どのように現れるかを読み取ります。

ただし、第2問には語句補充・正誤などもあるため、すべての形式が「仕訳済み情報から始まる」という意味ではありません。 この単元では、形式ごとに最終的な答案を確認してから必要な情報をたどります。


3.当サイトの第2問設計と公式仕様の区別

当サイトでは、本試験形式・模擬試験の演習設計として、第2問を 20点とし、次の8つのパターンで構成しています。

# 当サイトの第2問パターン 主に確認する力
1 勘定記入(経過勘定) 決算整理・再振替・時系列
2 勘定記入(固定資産と減価償却累計額) 取得原価・累計額・当期償却
3 勘定記入(純資産) 純資産が増減した原因
4 補助簿の選択 取引と帳簿の対応
5 商品有高帳と売上総利益 数量・単価・原価・利益
6 伝票・仕訳日計表 伝票→仕訳→集計
7 語句補充・正誤 用語と仕組みの理解
8 推定問題 残高・空欄・資料間の逆算

この20点という配点も、8つのパターンという分類も、当サイトの演習設計です。 日本商工会議所が「第2問は20点」「第2問はこの8パターンから出題する」と公式に定めているわけではありません。学習を進めやすくするための整理として使ってください。

公式試験仕様(商業簿記・3題以内・60分・70%以上)と、当サイトの演習設計は、C17-T01「本試験形式の全体像」で整理したとおり分けて考えます。


4.最初に「何を完成させる問題か」を確認する

第2問は形式が複数あります。商品有高帳を完成させる問題、勘定の空欄を埋める問題、補助簿を選ぶ問題では、必要な作業が異なります。

そのため、資料の数字を計算し始める前に、

答案として何を完成させるのか

を確認します。ここを確認しないまま計算を始めると、求められていない数字を出すことになりがちです。

確認ポイント:答案用紙の欄名を先に読むと、何を完成させる問題かが判断しやすくなります。


5.共通の解答手順

形式が違っても、進め方の骨格は共通しています。

① 完成させる資料を確認② 与えられた資料の種類を確認③ 元になる取引・仕訳を復元④ 期首・増加・減少・期末を整理⑤ 空欄へ記入⑥ 合計・残高・帳簿間の関係を検算

第2問で見慣れない表が出てきても、表の形を覚えていないと解けないわけではありません。元の取引・仕訳へ戻ることが攻略の中心です。


6.勘定記入:期首・増加・減少・期末を区別する

T字勘定などを完成させる問題では、次を区別します。

  • 期首残高(前期繰越)
  • 当期の増加
  • 当期の減少
  • 決算整理
  • 次期繰越

仕訳が正しくても、どの側のどの欄へ記入するかを誤れば、勘定は完成しません。 第2問では「仕訳が書ける」だけでなく、その数字が勘定のどちら側のどの行に入るかまで問われます。


7.設例:仕訳から勘定へ数字をつなぐ

備品 681,000円を1年目の期首に取得し、代金は普通預金から支払ったとします。耐用年数10年・残存価額0円・定額法で減価償却します。

取得時の仕訳

(借)備品 681,000 / (貸)普通預金 681,000

決算時の仕訳

当期の減価償却費 = `681,000 ÷ 10年` = 68,100円

(借)減価償却費 68,100 / (貸)備品減価償却累計額 68,100

勘定への現れ方

勘定 どちら側 金額
備品 借方(取得原価) 681,000円
備品減価償却累計額 貸方(当期増加) 68,100円
減価償却費 借方(当期発生) 68,100円

同じ 68,100円が、減価償却費勘定では借方、備品減価償却累計額勘定では貸方に現れます。仕訳のどちら側の数字が、どの勘定のどちら側へ入るのかを確認してください。

減価償却の計算方法そのものは C07系が扱います。ここでは仕訳から勘定へ数字がどうつながるかに集中します。


8.取得原価・当期減価償却費・累計額・帳簿価額を区別する

固定資産の資料問題では、似た名前の数値が並びます。同じ備品について取得から2年目の決算を終えた時点で整理すると、次のようになります。

欄名 金額 意味
取得原価 681,000円 取得したときの金額
当期減価償却費 68,100円 この設例で当期に計上する費用(取得時期などにより月割計算となる場合があります)
減価償却累計額 136,200円 取得から当期末までの累計(`68,100 × 2年`)
帳簿価額 544,800円 `681,000 − 136,200`

この考え方が誤りである理由

「固定資産の金額」とひとまとめに考えると、4つのうちどれを答えるべきか判断できません。当期分なのか累計なのか、取得時の金額なのか差し引き後の金額なのかで答えが変わります。欄名を確認してから数字を選んでください。


9.補助簿:取引と帳簿を対応させる

補助簿の選択では、取引内容と、その取引を詳しく記録する帳簿を対応させます。

取引の内容 詳しく記録する帳簿
商品の仕入 仕入帳
商品の売上 売上帳
商品の数量・単価・残高 商品有高帳
売掛金の得意先別の内訳 売掛金元帳
買掛金の仕入先別の内訳 買掛金元帳
現金の収入と支出 現金出納帳

各帳簿の書き方そのものは、C11-T02「補助記入帳」C11-T03「補助元帳」が扱います。ここでは取引を読んでどの帳簿につながるかを判断することが中心です。


10.1取引が複数の補助簿へ記録されることがある

たとえば「商品を掛けで仕入れ、その一部を現金で支払った」という取引は、

  • 仕入帳(商品の仕入として)
  • 商品有高帳(商品が入庫したものとして)
  • 買掛金元帳(掛けの部分について)
  • 現金出納帳(現金で支払った部分について)

というように、複数の帳簿へ記録されることがあります

確認ポイント

「1つの取引につき帳簿は1冊」と決めつけないでください。仕訳を先に書き、登場した勘定科目と取引の事実を1つずつ帳簿へ対応させると、選び漏れを防げます。

なお、補助簿の選択問題そのものの解き方は C11-T04「補助簿の選択」が扱います。


11.資料問題:数字の出どころへ戻る

商品有高帳・仕訳日計表・固定資産台帳などの資料問題では、

その数字が、どの取引・どの仕訳から来たのか

を追います。

数字だけを見て計算するのではなく、帳簿同士のつながりを意識してください。帳簿・資料型では、同じ取引が仕訳・総勘定元帳・補助簿・伝票・集計表など、別の形で表されることがあります。

見慣れない表が出てきたときほど、表の形を思い出そうとするより、元の取引・仕訳へ戻るほうが確実です。


12.伝票・仕訳日計表:まず仕訳へ戻す

伝票や仕訳日計表の問題では、次の順に進めます。

  1. 伝票を通常の仕訳へ戻す
  2. 勘定科目ごとに、借方と貸方を別々に集計する
  3. 借方合計と貸方合計が一致するかを確認する

確認ポイント

同じ勘定科目に借方と貸方の両方がある場合、仕訳日計表では相殺せずに両方を記載するのが原則です。差額だけを書くと、集計表としての借方合計・貸方合計が合わなくなります。ただし答案の様式によって求められる書き方が異なるため、問題文と答案用紙の指示を確認してください

伝票の起票そのものは C12-T01「3伝票制」、仕訳日計表の作成手順は C12-T03「伝票の集計と転記(仕訳日計表)」が扱います。


13.商品有高帳:数量・単価・金額を分けて追う

商品有高帳では、受入・払出・残高それぞれについて、

  • 数量
  • 単価
  • 金額

の3つを分けて追います。

確認ポイント

商品有高帳に記入するのは原価であり、販売したときの売価ではありません。売価は売上高の集計に使い、商品有高帳の払出欄には原価を書きます。

その上で、

売上総利益 = 売上高 − 売上原価

を求めます。ここでいう売上原価は、商品有高帳の払出原価の合計です。

先入先出法・移動平均法という評価方法そのものは、C03-T04「商品有高帳(先入先出法)」C03-T05「商品有高帳(移動平均法)」が扱います。このページでは、第2問の資料としてどう読み、どうつなげるかを確認します(`04_統合計算問題.md` で練習します)。


14.推定問題:確定できる値から進める

空欄が多い問題でも、すべてを同時に求める必要はありません。使えるのは、これまで学んだ基本関係です。

期首残高 + 増加 − 減少 = 期末残高

借方合計 = 貸方合計

進め方の目安は次のとおりです。

  1. 資料から直接読める数字
  2. 仕訳から確定する数字
  3. 合計から逆算できる数字
  4. 最後に残る未知数

確認ポイント

この順序は目安であり、問題の構造によって変わります。どの空欄から解くかを固定して覚えるのではなく、まず独立して求められる値がどれかを探し、求めた値を別のルートでも確認できないかを見るという進め方をしてください。


15.検算は数量・金額・貸借で行う

第2問では、形式に応じて次のような検算ができます。

資料 検算
商品有高帳(数量) 期首数量 + 当期受入数量 = 当期払出数量 + 期末数量
商品有高帳(金額) 期首金額 + 当期受入金額 = 当期払出原価 + 期末商品金額
勘定記入 期首残高 + 増加 − 減少 = 期末残高
仕訳日計表 借方合計 = 貸方合計

数量と金額の両方で確認すると、片方だけでは気づけない誤りを見つけられます。


16.貸借一致だけでは発見できない誤り

借方合計と貸方合計の一致は重要な検算ですが、

貸借が一致している = 内容まで正しい

という意味ではありません。次のような誤りは、貸借が一致したままでも起こります

誤りの種類 貸借はどうなるか
借方と貸方を同じ金額で誤った 一致したまま
勘定科目を誤った 一致したまま
正しい仕訳を誤った欄へ転記した 一致したまま
取引そのものを記帳し忘れた 一致したまま

確認ポイント

貸借一致を確認したら終わり、とせず、欄名・勘定科目・数量など、金額以外の観点でも確認してください。第15節の数量検算は、その一例です。


17.補助簿の年度差

補助簿の対象には、受験年度による違いがあります。

帳簿 2026年度 2027年度
:-: :-:
受取手形記入帳・支払手形記入帳(紙媒体の手形) 扱う場合がある 範囲外
仕入帳・売上帳・商品有高帳・現金出納帳・当座預金出納帳・売掛金元帳・買掛金元帳・固定資産台帳 扱う 扱う

【2026年度(〜2027年3月)受験の方】 紙媒体の手形が範囲に含まれるため、手形記入帳が補助簿の選択肢に入ることがあります。

【2027年度(2027年4月〜)受験の方】 紙媒体の手形は範囲外です。手形記入帳を選択肢として想定する必要はありません。

確認ポイント

補助簿の選択問題は、この年度差の影響を受けます。受験年度に合った教材・問題を使ってください。


18.この単元で扱わないこと

このページは第2問の攻略を扱います。次の内容は、それぞれの単元が扱います。

内容 扱う単元
試験全体の地図・公式試験仕様・3つの大問の役割 C17-T01「本試験形式の全体像」
取引を読んで仕訳へ変換すること C17-T02「第1問(仕訳問題)の攻略」
第3問(8桁精算表・財務諸表・決算整理後残高試算表)の攻略 C17-T04「第3問(決算総合問題)の攻略」
大問ごとの時間配分・解く順番・見直しの順序 C17-T05「本試験の時間配分と見直し」
配点付きの第2問そのもの(完成した本試験形式) Eセクション(第2問の各パターン)
先入先出法・移動平均法の計算方法 C03-T04・C03-T05「商品有高帳」
補助記入帳・補助元帳の書き方 C11-T02・C11-T03
補助簿の選択問題そのもの C11-T04「補助簿の選択」
伝票の起票・仕訳日計表の作成 C12-T01・C12-T03
固定資産台帳の様式 C07-T07「固定資産台帳」
減価償却の計算 C07系
経過勘定の処理 C09系
資本金・利益剰余金など純資産の処理 C10系

配点付きで複数の設問から構成された第2問そのものは、Eセクションが所有します。 このページと `04_統合計算問題.md` では、その形式を解くための共通の考え方と、独立して練習できる計算問題だけを扱います。


19.後続の学習導線

このページを読み終えたら、第2問の各パターンを1形式ずつ練習し、最後に本試験形式へ進みます。

順序 内容
1 本ページの `02_統合一問一答.md` で判断軸を確認
2 本ページの `04_統合計算問題.md` で商品有高帳の読み取りを練習
3 Eセクションで配点付きの第2問を通して解く
4 C17-T04「第3問(決算総合問題)の攻略」
5 C17-T05「本試験の時間配分と見直し」

20.まとめ

確認ポイント

  1. 第2問は、仕訳済みの情報を帳簿・資料・集計表へつなげる段階を扱う。
  2. 計算を始める前に、答案として何を完成させるのかを確認する。
  3. 見慣れない表が出たら、元の取引・仕訳へ戻る
  4. 勘定記入では、期首・増加・減少・決算整理・次期繰越を区別する。
  5. 取得原価・当期減価償却費・減価償却累計額・帳簿価額は別の数値である。
  6. 1取引が複数の補助簿へ記録されることがある。
  7. 商品有高帳には原価を記入し、売価と分けて扱う。
  8. 推定問題では、独立して求められる値を探してから進める(順序は問題の構造で変わる)。
  9. 検算は数量・金額・貸借の複数の観点で行う。
  10. 貸借一致の確認だけでは、勘定科目の誤りや取引全体の記帳もれを検出できないことがある。
  11. 20点という配点も8つのパターンも、当サイトの演習設計である。
  12. 補助簿には年度差がある(紙媒体の手形は2026年度のみ)。

21.2級への接続

2級でも、仕訳だけでなく勘定・帳簿・資料を相互に読み替える力が求められます。

3級の段階で、見慣れない資料でも元の取引と仕訳へ戻る習慣と、期首残高・当期増減・期末残高を整理する力を身につけておくと、2級のより複雑な勘定記入や決算資料の読解にそのままつながります。


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