1.この章末問題のねらい
この章末問題では、決算整理から精算表・財務諸表・帳簿の締切りまでを横断して確認します。
| 確認する内容 | 対応する単元 | 設問 |
|---|---|---|
| 8桁精算表への決算整理の反映と当期純利益の算定 | C15-T01「精算表(8桁精算表)」 | 設問2・設問3・設問4 |
| 損益計算書の作成(売上総利益・当期純利益) | C15-T02「損益計算書(勘定式)」 | 設問7・設問8 |
| 貸借対照表の作成(資産・負債・純資産と貸借一致) | C15-T03「貸借対照表(勘定式)」 | 設問9 |
| 決算整理からの財務諸表作成(第3問実戦) | C15-T04「決算整理からの財務諸表作成」 | 設問6〜設問9 |
| 決算整理後の各勘定残高の把握 | C15-T05「決算整理後残高試算表(ATB)」 | 設問2・設問7・設問9 |
| 帳簿の締切り(損益振替・繰越利益剰余金) | C15-T06「帳簿の締切り」 | 設問5・設問10・設問11 |
構成は次の3部です。
| 部 | 設問 | 内容 |
|---|---|---|
| 第1部 | 設問1〜5 | 1つの資料から、決算整理 → 精算表 → 帳簿の締切り |
| 第2部 | 設問6〜9 | 別の資料から、決算整理 → 損益計算書 → 貸借対照表 |
| 第3部 | 設問10・11 | 損益勘定を読み取って金額を逆算する |
当サイトでは、第3問(決算)対策を意識した章末問題として構成しています。 なお、第1問・第2問・第3問という区分は当サイトの演習設計です。 公式に出題形式や配点が固定されているわけではありません。試験全体の構成は C17-T01「本試験形式の全体像」 で扱います。
2.共通資料A
青森商事株式会社(会計期間:×2年4月1日〜×3年3月31日)の決算整理前残高試算表と決算整理事項等は、次のとおりである。
決算整理前残高試算表(×3年3月31日)
| 借方 | 勘定科目 | 貸方 |
|---|---|---|
| 158,000 | 現金 | |
| 320,000 | 普通預金 | |
| 350,000 | 売掛金 | |
| 60,000 | 繰越商品 | |
| 480,000 | 備品 | |
| 200,000 | 土地 | |
| 152,000 | 仮払消費税 | |
| 30,000 | 仮払法人税等 | |
| 買掛金 | 264,000 | |
| 借入金 | 400,000 | |
| 貸倒引当金 | 4,000 | |
| 備品減価償却累計額 | 120,000 | |
| 仮受消費税 | 218,000 | |
| 資本金 | 500,000 | |
| 繰越利益剰余金 | 118,000 | |
| 売上 | 2,180,000 | |
| 受取手数料 | 26,000 | |
| 1,540,000 | 仕入 | |
| 420,000 | 給料 | |
| 96,000 | 支払家賃 | |
| 24,000 | 通信費 | |
| 3,830,000 | 合計 | 3,830,000 |
決算整理事項等
- 売掛金 ¥50,000 が普通預金口座に振り込まれていたが、未記帳であった。
- 期末商品棚卸高は ¥75,000 である(売上原価は仕入勘定で算定する)。
- 売掛金の期末残高に対して 2% の貸倒引当金を差額補充法により設定する。
- 備品(残存価額ゼロ、耐用年数8年)について定額法により減価償却を行う。
- 支払家賃のうち ¥16,000 は翌期分の前払いである。
- 受取手数料の未収分が ¥4,000 ある。
- 消費税の処理を行う(税抜方式)。
- 当期の法人税、住民税及び事業税は ¥54,000 である。
3.設問(第1部)
設問1 整理事項1(未記帳事項)と整理事項3(貸倒引当金)の仕訳を示しなさい。
設問2 精算表における次の4行について、損益計算書欄または貸借対照表欄に記載される金額と側を答えなさい:仕入/繰越商品/支払家賃/前払家賃。
設問3 当期純利益を求めなさい(損益計算書欄の差額として算定すること)。
設問4 精算表の貸借対照表欄において、繰越利益剰余金の行に記載される金額を答えなさい。
設問5 帳簿の締切りにおいて、当期純利益を振り替える仕訳を示し、振替後の繰越利益剰余金勘定の残高を求めなさい。
4.第1部 解答・解説
設問1 未記帳事項と貸倒引当金
整理事項1
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 50,000 | 売掛金 | 50,000 |
整理事項3
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 貸倒引当金繰入 | 2,000 | 貸倒引当金 | 2,000 |
算定過程
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 売掛金の期末残高 | 350,000 − 50,000 | 300,000(修正後の残高) |
| 必要な貸倒引当金 | 300,000 × 2% | 6,000 |
| 繰入額 | 6,000 − 4,000 | 2,000 |
解説
- 未記帳事項を先に片づけます。 整理事項1で売掛金が ¥50,000 減るので、貸倒引当金の設定対象は 修正後の ¥300,000 です。
- 間違いやすいところ:修正前の ¥350,000 に 2% を掛けて 7,000 − 4,000 = 3,000 とする誤り。この誤りは以降の設問すべてに連鎖します。
設問2 精算表の4行
| 行 | 記載される欄・側 | 金額 | 計算 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 損益計算書欄・借方 | 1,525,000 | 1,540,000 + 60,000 − 75,000 |
| 繰越商品 | 貸借対照表欄・借方 | 75,000 | 60,000 − 60,000 + 75,000(期末棚卸高) |
| 支払家賃 | 損益計算書欄・借方 | 80,000 | 96,000 − 16,000 |
| 前払家賃 | 貸借対照表欄・借方 | 16,000 | 修正記入から新設 |
解説
- 精算表の各行は「試算表残高 + 修正記入 = 決算整理後残高」を求めてから、その最終残高を損益計算書欄・貸借対照表欄へ振り分けます。
- 修正記入欄の金額をそのまま損益計算書欄・貸借対照表欄へ移してはいけません。
- 間違いやすいところ:支払家賃を 96,000 + 16,000 = 112,000 とする誤り(前払分は差し引く)。繰越商品を損益計算書欄へ流す誤り(繰越商品は資産)。
設問3 当期純利益
当期純利益:¥45,000
算定過程
| 区分 | 内訳 | 金額 |
|---|---|---|
| 収益 | 売上 2,180,000 + 受取手数料 30,000(26,000 + 未収4,000) | 2,210,000 |
| 費用 | 売上原価 1,525,000 + 給料 420,000 + 支払家賃 80,000 + 通信費 24,000 + 貸倒引当金繰入 2,000 + 減価償却費 60,000 + 法人税、住民税及び事業税 54,000 | 2,165,000 |
| 当期純利益 | 2,210,000 − 2,165,000 | 45,000 |
- 減価償却費 = 480,000 ÷ 8年 = 60,000
- (参考)消費税の整理 = 仮受 218,000 / 仮払 152,000・未払消費税 66,000、法人税等 = 54,000 / 仮払法人税等 30,000・未払法人税等 24,000
解説
- 損益計算書欄の貸方合計と借方合計の差額が当期純利益です。当期純利益は損益計算書欄の借方に記入して左右を一致させます。
- 間違いやすいところ:受取手数料の未収 ¥4,000 の加算漏れ(純利益 41,000 になります)。
設問4 精算表の貸借対照表欄の繰越利益剰余金
¥118,000(決算整理前残高のまま)
解説
- 精算表の貸借対照表欄では、繰越利益剰余金は動きません。 当期純利益 ¥45,000 は、繰越利益剰余金の行ではなく、「当期純利益」という独立の行として貸借対照表欄の貸方に記入されます。
- 精算表で当期純利益を記入することは、帳簿の締切り(設問5)を行ったという意味ではありません。 精算表は、振替を行う直前の姿を写した表です。
- 間違いやすいところ:118,000 + 45,000 = 163,000 としてしまう誤り。足し込むのは帳簿の締切りの仕事です。
設問5 当期純利益の振替と繰越利益剰余金の残高
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 損益 | 45,000 | 繰越利益剰余金 | 45,000 |
振替後の繰越利益剰余金残高:¥163,000(=118,000 + 45,000)
解説
- 収益・費用の各勘定を損益勘定へ振り替えたあと、損益勘定の残高(当期純利益)を繰越利益剰余金へ振り替えます。
- 貸方を資本金としてはいけません。 元手(資本金)と、稼いだ利益(繰越利益剰余金)は別の箱です。
- 設問3の ¥45,000 と、この設問の振替額が同じ金額でつながることを確認すれば、精算表と帳簿の両方が整合しています。
# 第2部 決算整理から財務諸表の作成まで
5.共通資料B
青森商事株式会社(会計期間:×1年4月1日〜×2年3月31日、決算日3月31日)。消費税は税抜方式により記帳しており、税率は 10% である。
決算整理前残高試算表(×2年3月31日)
| 借方 | 勘定科目 | 貸方 |
|---|---|---|
| 296,000 | 現金 | |
| 1,364,000 | 普通預金 | |
| 720,000 | 売掛金 | |
| 350,000 | 繰越商品 | |
| 452,000 | 仮払消費税 | |
| 90,000 | 仮払法人税等 | |
| 2,400,000 | 建物 | |
| 600,000 | 備品 | |
| 4,000 | 現金過不足 | |
| 買掛金 | 610,000 | |
| 借入金 | 900,000 | |
| 仮受消費税 | 731,000 | |
| 貸倒引当金 | 8,000 | |
| 建物減価償却累計額 | 864,000 | |
| 備品減価償却累計額 | 200,000 | |
| 資本金 | 1,800,000 | |
| 繰越利益剰余金 | 327,000 | |
| 売上 | 7,310,000 | |
| 受取地代 | 100,000 | |
| 4,520,000 | 仕入 | |
| 1,880,000 | 給料 | |
| 63,000 | 通信費 | |
| 96,000 | 保険料 | |
| 15,000 | 支払利息 | |
| 12,850,000 | 合計 | 12,850,000 |
決算整理事項等
- 現金過不足 ¥4,000(借方残高)の原因を調査したところ、通信費 ¥3,000 の記入漏れが判明した。残額は原因不明のため適切な科目に振り替える。
- 売掛金のうち ¥20,000 が普通預金口座へ振り込まれていたが、未記帳であった。
- 期末商品棚卸高は ¥390,000 である。
- 売掛金の期末残高に対して 2% の貸倒引当金を差額補充法により設定する。
- 建物(耐用年数30年・残存価額ゼロ)および備品(耐用年数5年・残存価額ゼロ)について定額法により減価償却を行う。
- 郵便切手の未使用分 ¥5,000 を貯蔵品に振り替える。
- 経過勘定を整理する:保険料のうち ¥32,000 は次期分の前払いである。借入金の利息の未払分が ¥5,000 ある。受取地代のうち ¥20,000 は次期分の前受けである。
- 消費税の処理を行う(税抜方式)。
- 当期の法人税、住民税及び事業税が ¥160,000 と計算された。仮払法人税等との差額を未払法人税等として計上する。
6.設問(第2部)
設問6 整理事項1(現金過不足)・6(貯蔵品)・8(消費税)の決算整理仕訳を示しなさい。
設問7 損益計算書に記載される次の金額を求めなさい。 ① 売上原価 ② 通信費 ③ 貸倒引当金繰入 ④ 減価償却費
設問8 当期純利益を求めなさい。
設問9 貸借対照表に記載される次の金額を求めなさい。 ① 売掛金の差引額(貸倒引当金控除後) ② 建物の差引額(減価償却累計額控除後) ③ 繰越利益剰余金 ④ 資産合計
7.第2部 解答・解説
設問6 指定3件の決算整理仕訳
整理事項1(現金過不足)
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 通信費 | 3,000 | 現金過不足 | 4,000 |
| 雑損 | 1,000 |
整理事項6(貯蔵品)
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 貯蔵品 | 5,000 | 通信費 | 5,000 |
整理事項8(消費税)
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仮受消費税 | 731,000 | 仮払消費税 | 452,000 |
| 未払消費税 | 279,000 |
解説
- この問題では、現金過不足・仮払消費税・仮受消費税は決算整理によって残高を解消します。 現金過不足は判明分を正しい費用へ振り替え、原因不明の残額 ¥1,000 を雑損とします。
- 消費税は仮受と仮払を相殺し、差額 ¥279,000 を未払消費税とします。
- 整理後、現金過不足・仮払消費税・仮受消費税・(整理事項9処理後の)仮払法人税等の残高は、この問題ではすべてゼロです。これらの整理前科目がそのまま財務諸表に残らないことを確認してください。
設問7 損益計算書の記載金額
| # | 項目 | 金額 | 計算 |
|---|---|---|---|
| ① | 売上原価 | 4,480,000 | 350,000 + 4,520,000 − 390,000 |
| ② | 通信費 | 61,000 | 63,000 + 3,000(記入漏れ)− 5,000(貯蔵品へ) |
| ③ | 貸倒引当金繰入 | 6,000 | (720,000 − 20,000)× 2% = 14,000 → 14,000 − 8,000 |
| ④ | 減価償却費 | 200,000 | 建物 2,400,000 ÷ 30年 = 80,000 / 備品 600,000 ÷ 5年 = 120,000 |
解説
- ③が山です。整理事項2の未記帳(回収 ¥20,000)を先に反映し、修正後の ¥700,000 に率を掛けます。整理前の ¥720,000 に掛けると 14,400 − 8,000 = 6,400 となり、貸借対照表まで連鎖してずれます。
- ②は1つの科目に2つの整理が触れる形(+3,000 と −5,000)です。両方を反映してから金額を確定します。
設問8 当期純利益
当期純利益:¥518,000
| 区分 | 内訳 | 金額 |
|---|---|---|
| 収益 | 売上高 7,310,000 + 受取地代(100,000 − 20,000 =)80,000 | 7,390,000 |
| 費用 | 売上原価 4,480,000 + 給料 1,880,000 + 通信費 61,000 + 保険料(96,000 − 32,000 =)64,000 + 貸倒引当金繰入 6,000 + 減価償却費 200,000 + 支払利息(15,000 + 5,000 =)20,000 + 雑損 1,000 + 法人税、住民税及び事業税 160,000 | 6,872,000 |
| 当期純利益 | 7,390,000 − 6,872,000 | 518,000 |
解説
- 経過勘定の整理が触れた科目(受取地代・保険料・支払利息)だけを修正し、触れていない給料はそのまま使います。
- 法人税、住民税及び事業税は年税額の全額 ¥160,000 を費用に計上します。 仮払 ¥90,000 を引いた ¥70,000 ではありません。
参考:売上総利益
売上高 7,310,000 − 売上原価 4,480,000 = 売上総利益 2,830,000
売上総利益と当期純利益は別の利益です。 売上総利益から、給料などその他の費用と法人税等を差し引いた残りが当期純利益になります。
設問9 貸借対照表の記載金額
| # | 項目 | 金額 | 計算 |
|---|---|---|---|
| ① | 売掛金の差引額 | 686,000 | 700,000 − 貸倒引当金 14,000 |
| ② | 建物の差引額 | 1,456,000 | 2,400,000 −(864,000 + 80,000 = 944,000) |
| ③ | 繰越利益剰余金 | 845,000 | 327,000 + 518,000 |
| ④ | 資産合計 | 4,529,000 | 下表のとおり |
資産の内訳
| 表示科目 | 金額 |
|---|---|
| 現金 | 296,000 |
| 普通預金(1,364,000 + 20,000) | 1,384,000 |
| 売掛金(差引後) | 686,000 |
| 商品(繰越商品の表示科目) | 390,000 |
| 貯蔵品 | 5,000 |
| 前払費用(前払保険料の表示科目) | 32,000 |
| 建物(差引後) | 1,456,000 |
| 備品(差引後)600,000 −(200,000 + 120,000) | 280,000 |
| 合計 | 4,529,000 |
負債・純資産側での検算
| 表示科目 | 金額 |
|---|---|
| 買掛金 | 610,000 |
| 借入金 | 900,000 |
| 未払費用(未払利息の表示科目) | 5,000 |
| 前受収益(前受地代の表示科目) | 20,000 |
| 未払消費税 | 279,000 |
| 未払法人税等(160,000 − 90,000) | 70,000 |
| 資本金 | 1,800,000 |
| 繰越利益剰余金 | 845,000 |
| 合計 | 4,529,000 |
資産合計 ¥4,529,000 = 負債・純資産合計 ¥4,529,000 → 一致
二重検算:繰越利益剰余金の増加 845,000 − 327,000 = 518,000 = 設問8の当期純利益。
精算表との対比
同じ資料から精算表を作った場合、貸借対照表欄の繰越利益剰余金は ¥327,000(整理前残高のまま) で、当期純利益 ¥518,000 は独立の行に記載されます。
| 答案用紙 | 繰越利益剰余金 | 当期純利益の扱い |
|---|---|---|
| 精算表の貸借対照表欄 | 327,000 | 独立の行として記載(振替前の姿) |
| 貸借対照表 | 845,000 | 繰越利益剰余金に含まれている(振替後の姿) |
同じ資料・同じ純利益でも、答案用紙がどの瞬間を写しているかで金額が変わります。
# 第3部 損益勘定からの逆算
8.設問(第3部)
設問10 弘前物産株式会社の損益勘定は次のとおりである。( ? )に入る金額を求め、この記入のもとになった仕訳を示しなさい。
損益勘定 借方:仕入 520,000 / 給料 210,000 / 繰越利益剰余金( ? ) 貸方:売上 880,000 / 受取利息 4,000
設問11 三沢商会株式会社の損益勘定は、貸方合計が ¥940,000 であり、借方には費用の各科目と、摘要「繰越利益剰余金」¥172,000 が記入されて締め切られている。
(1)費用の合計額を求めなさい。 (2)費用のうち仕入が ¥530,000、給料が ¥190,000 であり、残りは支払家賃のみである場合、支払家賃の金額を求めなさい。
9.第3部 解答・解説
設問10 損益勘定の空欄金額と振替仕訳
( ? )= ¥154,000
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 損益 | 154,000 | 繰越利益剰余金 | 154,000 |
算定過程
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 収益合計 | 880,000 + 4,000 | 884,000 |
| 費用合計 | 520,000 + 210,000 | 730,000 |
| 当期純利益 | 884,000 − 730,000 | 154,000 |
解説
- 損益勘定の借方に現れる摘要「繰越利益剰余金」は、当期純利益を振り替えたときの相手科目です。
- 間違いやすいところ:摘要の位置(借方)を見て「(借)繰越利益剰余金 /(貸)損益」と逆に仕訳する誤り。摘要欄に書かれるのは相手科目の名前です。損益勘定の借方にある以上、仕訳では損益が借方になります。
設問11 損益勘定からの逆算
(1)費用合計:¥768,000 (2)支払家賃:¥48,000
算定過程
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| (1)費用合計 | 940,000 − 172,000 | 768,000 |
| (2)支払家賃 | 768,000 − 530,000 − 190,000 | 48,000 |
解説
- 締め切られた損益勘定は 借方合計 = 貸方合計 です。借方には費用と当期純利益が並びます。
費用 + 当期純利益 = 収益
- 間違いやすいところ:¥940,000 から仕入・給料だけを引いて ¥220,000 とする誤り。当期純利益 ¥172,000 も借方に立っていることを忘れないでください。
10.決算の流れの整理
各段階は別のものです。混同しないでください。
決算整理前残高 → 決算整理仕訳 → 決算整理後残高 → 精算表 → 損益計算書・貸借対照表 → 帳簿の締切り
8桁精算表とは
「8桁」は、金額が8桁という意味ではありません。
| 区分 | 欄 |
|---|---|
| 試算表 | 借方・貸方 |
| 修正記入 | 借方・貸方 |
| 損益計算書 | 借方・貸方 |
| 貸借対照表 | 借方・貸方 |
4区分 × 借方・貸方 = 8欄あることから、8桁精算表と呼びます。
精算表の1行の処理
試算表残高 + 修正記入 = 決算整理後残高 → 損益計算書欄または貸借対照表欄へ振り分ける
修正記入欄の金額をそのまま損益計算書欄・貸借対照表欄へ移してはいけません。
決算整理後残高試算表(ATB)
決算整理を反映した後の各勘定残高を一覧にした試算表です。財務諸表そのものではありません。 借方残高合計と貸方残高合計は一致します。ここから、収益・費用は損益計算書へ、資産・負債・純資産は貸借対照表へ振り分けます。
帳簿の締切り
| 対象 | 処理 |
|---|---|
| 収益の各勘定 | (借)収益科目 /(貸)損益 |
| 費用の各勘定 | (借)損益 /(貸)費用科目 |
| 当期純利益 | (借)損益 /(貸)繰越利益剰余金 |
| (当期純損失の場合) | (借)繰越利益剰余金 /(貸)損益 |
| 資産・負債・純資産 | 損益勘定へ振り替えず、次期繰越として次期へ繰り越す |
資産・負債・純資産を損益勘定へ締め切ってはいけません。
11.表示科目への読み替え
帳簿上の勘定科目と、財務諸表上の表示科目は異なることがあります。
| 帳簿上の勘定科目 | 財務諸表での表示科目 |
|---|---|
| 売上 | 売上高 |
| 仕入(売上原価を算定した後) | 売上原価 |
| 繰越商品 | 商品 |
| 前払家賃・前払保険料 など | 前払費用 |
| 未払家賃・未払利息 など | 未払費用 |
| 未収利息・未収家賃 など | 未収収益 |
| 前受家賃・前受地代 など | 前受収益 |
仕訳では具体的な勘定科目を使い、財務諸表では表示科目を使います。 問題に所定の様式がある場合は、その様式の表示科目を優先してください。
評価勘定の表示
| 評価勘定 | 表示のしかた |
|---|---|
| 貸倒引当金 | 売掛金などの債権から控除する形で表示 |
| 減価償却累計額 | 建物・備品などの固定資産から控除する形で表示 |
同じ金額を資産側と負債側の両方に計上してはいけません。 設問9の①②は、いずれも控除後の金額です。
12.間違いやすいポイント
1.精算表の当期純利益の記入と、帳簿の締切り仕訳は別のもの
| 場面 | 繰越利益剰余金 | 当期純利益 |
|---|---|---|
| 精算表の貸借対照表欄 | 整理前残高のまま | 独立の行として貸方に記入 |
| 帳簿の締切り | 振替後は純利益込みの金額になる | (借)損益 /(貸)繰越利益剰余金 |
| 貸借対照表 | 純利益込みの金額 | 繰越利益剰余金に含まれる |
精算表で当期純利益を記入することは、振替仕訳を行ったという意味ではありません。 精算表は、振替の直前を写した表です。
第1部の設問4(¥118,000)と設問5(¥163,000)、第2部の設問9(精算表なら ¥327,000、貸借対照表なら ¥845,000)が、いずれもこの違いを表しています。
2.決算整理の順序に依存する項目がある
貸倒引当金の設定対象は、未記帳事項を反映した後の売掛金残高です。
| 部 | 誤った計算 | 正しい計算 |
|---|---|---|
| 第1部 | 350,000 × 2% − 4,000 = 3,000 | (350,000 − 50,000)× 2% − 4,000 = 2,000 |
| 第2部 | 720,000 × 2% − 8,000 = 6,400 | (720,000 − 20,000)× 2% − 8,000 = 6,000 |
1つの科目に2つ以上の整理が触れることもあります(第2部の通信費は +3,000 と −5,000 の両方)。
3.売上総利益と当期純利益を混同しない
売上高 − 売上原価 = 売上総利益
売上総利益 − その他の費用等 = 当期純利益
売上原価は、決算整理後の金額(期首商品 + 当期仕入 − 期末商品)を使います。決算整理前の仕入残高をそのまま損益計算書へ移してはいけません。
13.まとめ
| 設問 | 確認したこと | 答え |
|---|---|---|
| 設問1 | 未記帳事項と貸倒引当金(修正後残高基準) | 普通預金50,000/売掛金50,000、繰入2,000 |
| 設問2 | 精算表の4行の振り分け | 仕入 P/L借1,525,000 ほか |
| 設問3 | 精算表の当期純利益 | 45,000 |
| 設問4 | 精算表の繰越利益剰余金 | 118,000(動かない) |
| 設問5 | 帳簿の締切り(損益振替) | 損益45,000/繰越利益剰余金45,000、残高163,000 |
| 設問6 | 現金過不足・貯蔵品・消費税の整理 | 雑損1,000/貯蔵品5,000/未払消費税279,000 |
| 設問7 | 損益計算書の記載金額 | 売上原価4,480,000/通信費61,000/繰入6,000/減価償却費200,000 |
| 設問8 | 当期純利益 | 518,000 |
| 設問9 | 貸借対照表の記載金額 | 売掛金686,000/建物1,456,000/繰越利益剰余金845,000/資産合計4,529,000 |
| 設問10 | 損益勘定の空欄と振替仕訳 | 154,000 |
| 設問11 | 損益勘定からの逆算 | 費用合計768,000/支払家賃48,000 |
決算の問題では、次の順序を守ると安定します。
① 未記帳事項を先に片づける → ② 決算整理を1つずつ反映する → ③ 決算整理後残高を確定する → ④ 損益計算書欄・貸借対照表欄へ振り分ける → ⑤ 差額で純損益を出す → ⑥ 貸借一致を確かめる
- 関連する単元:C15-T01「精算表(8桁精算表)」/C15-T02「損益計算書(勘定式)」/C15-T03「貸借対照表(勘定式)」/C15-T04「決算整理からの財務諸表作成」/C15-T05「決算整理後残高試算表(ATB)」/C15-T06「帳簿の締切り」

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