この単元の判断軸:何のお金の増減を記録している帳簿かを先に確認する。
① このページで学ぶこと
このページでは、現金・預金に関係する次の3つの補助簿を学びます。
- 現金出納帳
- 当座預金出納帳
- 小口現金出納帳
学習目標は次のとおりです。
- 3つの帳簿がそれぞれ何の増減を記録するか説明できる
- 現金・当座預金の受入れと支払いから残高を追える
- 小口現金出納帳の受入欄・支払欄・内訳欄・残高の関係を読める
- 摘要に書かれた支払い内容を費用科目へ分けられる
- 締切時の残高と翌期間への繰越を計算できる
補助記入帳という分類や、売上帳・仕入帳まで含めて「1つの取引をどの補助簿へ記録するか」を横断的に判断する内容は、C11-T02で扱います。
② 3つの出納帳の役割
| 帳簿 | 詳しく記録する内容 |
|---|---|
| 現金出納帳 | 現金の受取り・支払い・残高 |
| 当座預金出納帳 | 当座預金の入金・支払い・残高 |
| 小口現金出納帳 | 小口現金の受入れ・支払い・残高と、支払内容の費用別内訳 |
これらは、仕訳帳や総勘定元帳を置き換えるための帳簿ではありません。
会社全体の会計記録と並行して、特定のお金の動きをより詳しく管理するために使います。
③ 現金出納帳・当座預金出納帳の読み方
現金出納帳
現金出納帳では、
前の残高 + 現金の受取り − 現金の支払い
という流れで残高を追います。
たとえば、前の残高が40,000円で、現金を25,000円受け取り、その後18,000円を支払った場合、
40,000 + 25,000 − 18,000 = 47,000円
が新しい残高です。
当座預金出納帳
当座預金出納帳も、考え方は同じです。
前の残高 + 当座預金への入金 − 当座預金からの支払い
で残高を追います。
当座預金が貸方残高となる状態を帳簿で示すとき、残高欄に「借」「貸」の別を付ける形式があります。表示方法を読むときは、当座預金の増減と残高の向きを確認します。
ここで扱うのは企業側の帳簿残高です。銀行側の記録との照合は2級で学びます。
④ 小口現金出納帳の構造
小口現金出納帳には、主に次の情報を記録します。
- 受入欄:前期間からの繰越や補給など
- 摘要欄:何に支払ったか
- 支払欄:支払った金額
- 内訳欄:支払額を旅費交通費・通信費・消耗品費・雑費などに分けた金額
- 残高:支払い後に残っている小口現金
内訳欄は別の支払いではない
支払欄に4,500円と記録し、その4,500円を旅費交通費の内訳欄にも記録したとしても、9,000円を支払ったわけではありません。
内訳欄は、支払欄の金額を内容別に分類した欄です。
そのため、同じ期間については、
支払欄の合計 = 各内訳欄の合計を足した金額
となるように記録内容を照合します。
⑤ 基本例:小口現金出納帳を読む
当週の初めに小口現金が20,000円あり、次の支払いをしたとします。
- バス代:3,600円
- 郵便料金:2,800円
- コピー用紙:1,900円
- 来客用の茶菓子代:700円
内訳欄を「旅費交通費・通信費・消耗品費・雑費」とすると、
| 摘要 | 支払額 | 内訳 |
|---|---|---|
| バス代 | 3,600円 | 旅費交通費 3,600円 |
| 郵便料金 | 2,800円 | 通信費 2,800円 |
| コピー用紙 | 1,900円 | 消耗品費 1,900円 |
| 来客用の茶菓子代 | 700円 | 雑費 700円 |
支払合計は、
3,600 + 2,800 + 1,900 + 700 = 9,000円
です。
したがって、締切前の残高は、
20,000 − 9,000 = 11,000円
です。
摘要から費用科目へ読み替える
小口現金出納帳では、摘要欄に日常的な言葉で支払内容が書かれることがあります。
その内容を、
- 電車・バス・タクシーなど → 旅費交通費
- 郵便料金など → 通信費
- 文房具など → 消耗品費
- 他の科目に当てはまらない少額の営業上の費用 → 雑費
のように、問題の条件と勘定科目の意味に沿って分類します。
⑥ 締切と繰越
期間の終わりには、その時点で残っている金額を次の期間へ繰り越します。
前の例では、締切前の残高は11,000円なので、次期繰越額も11,000円です。
教材の帳簿例では次期繰越を朱記で示すことがありますが、判断の根拠は色ではありません。
「期間を締め切り、残っている金額を次の期間へ引き継ぐ行である」ことが先にあり、その表示方法として朱記を用います。
補給のタイミングがある問題
小口現金について、補給を締切前に行うか、次の期間の初めに行うかが問題文で指定されることがあります。
- 締切前に補給しない場合:締切時点の残高をそのまま次期へ繰り越す
- 締切前に補給して設定額へ戻す場合:補給後の残高を次期へ繰り越す
どちらかを一律に決めず、締切時点までにどの取引が帳簿へ記録されているかを確認します。
⑦ 主な間違いやすいポイント
支払欄と内訳欄を二重に足さない
内訳欄は支払額の分類です。支払欄と内訳欄を両方足すと、同じ支払いを二重に数えることになります。
摘要の言葉だけで科目を決めない
「文房具」「郵便料金」などは典型例ですが、科目は支払いの内容と問題の条件から判断します。
補給額の計算を本単元の中心にしない
補給額・定額資金前渡法そのものはC04-T06で扱います。本単元では、帳簿に記録された受入れ・支払いを読んで残高や内訳を求めることを中心にします。
帳簿残高と現物を同一視しない
このページで計算する残高は、与えられた帳簿資料に基づく残高です。現物との過不足が示された場合は、その差異を別に考える必要があります。
⑧ まとめ
| 帳簿 | 読み方の中心 |
|---|---|
| 現金出納帳 | 現金の受取り・支払いから残高を追う |
| 当座預金出納帳 | 当座預金の入金・支払いから残高を追う |
| 小口現金出納帳 | 受入れ・支払い・残高に加え、支払いを費用別に集計する |
小口現金出納帳では、
① 摘要を読む → ② 費用科目へ分類する → ③ 支払合計を求める → ④ 残高を追う
という順番で整理すると、内訳と残高を同時に確認しやすくなります。
⑨ 関連問題への導線
本単元には、次の問題を用意しています。
- 一問一答:9問 ―― 3つの出納帳の役割、内訳欄、締切、残高表示
- 計算問題:5問(初級2/標準3) ―― 現金・当座預金の残高、小口現金の内訳集計・日次残高
- 仕訳問題:なし ―― 小口現金の前渡し・報告・補給の仕訳はC04-T06で扱います
補助記入帳の分類や、売上帳・仕入帳を含む補助簿の横断的な選択はC11-T02へ進みます。
⑩ 2級への接続
2級では、企業側の当座預金の帳簿残高と銀行側の記録が一致しない原因を整理する銀行勘定調整表へつながります。
3級の段階では、
- どのお金の増減を記録している帳簿か
- 入金と支払いをどの順序で残高へ反映するか
- 帳簿上の残高と、別資料で示される実際の状態を区別する
という読み方を身につけておくと、次の学習へ接続しやすくなります。

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