重要度:A 論点:損益通算
第6問
【事例】
※人物・所得・損失の設定・資料配置はすべて新規設計(既存C001~C025と重複なし)
会社員の柴崎和之さん(48歳)は、給与収入のほかにアパートの貸付けを行っており、2026年分は不動産所得に損失が生じる見込みである。柴崎さんは、損益通算後の総所得金額を確認したいと考え、FPに相談した。
資料:柴崎さんの2026年分の所得等(見込み)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 給与所得の金額 | 5,500,000円 |
| 不動産所得の金額(損失) | ▲1,200,000円 |
| 上記損失のうち、土地の取得に係る借入金の利子に相当する部分の金額 | 200,000円 |
※柴崎さんには上記以外の所得はないものとする。
【設問】
資料に基づき計算した、柴崎さんの2026年分の損益通算後の総所得金額として、最も適切なものはどれか。
- 4,300,000円
- 4,500,000円
- 5,500,000円
【第6問:正解と解説】
正解:**2. 4,500,000円**
不動産所得の損失は損益通算の対象4所得(不動産・事業・譲渡・山林)の損失に該当し、給与所得と通算できる。ただし、不動産所得の損失のうち土地の取得に係る借入金の利子に相当する部分の金額は、損益通算の対象外である。
- 何を求めるか:損益通算後の総所得金額
- 通算できる損失の判定:不動産所得の損失1,200,000円のうち、土地取得に係る借入金利子相当額200,000円は損益通算の対象外
通算できる損失=1,200,000円-200,000円=1,000,000円
- 損益通算:5,500,000円-1,000,000円=4,500,000円
- 端数処理:本問では端数は生じない
- 肢1(4,300,000円)は不適切。土地取得借入金利子相当額を除外せず、損失の全額1,200,000円を通算した誤り(5,500,000円-1,200,000円)である。
- 肢2(4,500,000円)が適切。
- 肢3(5,500,000円)は不適切。不動産所得の損失を全く通算していない誤りである。不動産所得は損益通算の対象4所得に含まれ、土地取得借入金利子相当額を除いた部分は通算できる。
間違いやすい点
- 不動産所得の損失の全額を通算してしまう誤り。土地の取得に係る借入金利子相当額は対象外
- 「引ける損失かどうか」の判定を省略して機械的に差し引く誤り。判定→通算の順序を守る
- 通算対象外の部分(200,000円)を給与所得から別途差し引いてしまう誤り。対象外部分は通算に使わない
重要度:A 論点:所得控除
第7問
【事例】
【頻度注記】EX-D-012は「所得控除・退職所得等」の広い実技出題枠であり、上記頻度(3/3・100%・A)は枠全体の観測値です。医療費控除という個別サブ論点が毎回出題されたことを意味しません。
【設問】
会社員の戸倉浩二さん(48歳)は、2026年分の所得税の医療費控除について、FPに相談した。戸倉さんの2026年分の資料は以下のとおりである。戸倉さんの2026年分の所得税における医療費控除の金額として、正しいものはどれか。なお、医療費控除の特例は考慮せず、通常の医療費控除により計算すること。
<資料> ・戸倉さんの2026年分の総所得金額等:620万円 ・2026年中に支払った医療費 - 戸倉さん本人の入院に係る医療費:32万円 - 生計を一にする妻の通院に係る医療費:8万円 ・戸倉さんは、本人の入院について、加入する医療保険から入院給付金12万円を受け取っている。 ・上記以外に医療費控除の対象となる支出および補填される金額はない。
- 180,000円
- 280,000円
- 300,000円
【第7問:正解と解説】
正解:1(180,000円)
- 求めるもの:通常の医療費控除の金額
- 使用する式:支払医療費-保険金等の補填額-足切り額(足切り額は10万円。総所得金額等200万円未満の場合は総所得金額等×5%)
- 数値代入:支払医療費は32万円+8万円=40万円。補填額は入院給付金12万円。総所得金額等620万円は200万円以上のため、足切り額は10万円。
- 計算:40万円-12万円-10万円=18万円
- 単位確認:180,000円。通常の医療費控除の上限200万円の範囲内。
- 正解:180,000円
間違いやすい点
・選択肢2(280,000円):40万円-12万円=28万円。足切り額10万円の差し引きを忘れた誤り。 ・選択肢3(300,000円):40万円-10万円=30万円。保険金等の補填額12万円の差し引きを忘れた誤り。
生計を一にする親族(妻)のために支払った医療費も、支払った本人(戸倉さん)の医療費控除の対象に含めます。保険金等の補填額は、その給付の目的となった医療費(本問では入院費)から差し引きます(本問では補填額12万円は入院費32万円の範囲内)。
重要度:A 論点:所得控除
第8問
【事例】
【頻度注記】EX-D-012は「所得控除・退職所得等」の広い実技出題枠であり、上記頻度(3/3・100%・A)は枠全体の観測値です。扶養控除という個別サブ論点が毎回出題されたことを意味しません。
【設問】
会社員の真鍋隆志さん(52歳)の2026年分の所得税における扶養控除の合計額として、正しいものはどれか。真鍋さんの家族構成と2026年分の合計所得金額は以下の資料のとおりであり、家族は全員、真鍋さんと同居し生計を一にしている。年齢はいずれも2026年12月31日時点のものである。
<資料:真鍋さんの家族構成> ・妻 恵子さん(49歳) 合計所得金額:40万円 ・長女 沙織さん(21歳・大学生) 合計所得金額:0円 ・長男 悠人さん(17歳・高校生) 合計所得金額:0円 ・母 文江さん(74歳) 合計所得金額:50万円(真鍋さんの実母)
- 1,340,000円
- 1,490,000円
- 1,590,000円
【第8問:正解と解説】
正解:3(1,590,000円)
- 求めるもの:真鍋さんの2026年分の扶養控除の合計額
- 使用するルール:扶養親族は合計所得金額58万円以下の生計を一にする配偶者以外の親族等。控除額は一般38万円、特定扶養親族(19歳以上23歳未満)63万円、老人扶養親族(70歳以上)48万円、同居老親等58万円。
- 家族ごとの判定:
・妻(合計所得金額40万円):配偶者は扶養親族に含まれないため、扶養控除の対象外(配偶者控除の検討対象)。 ・長女(21歳、合計所得金額0円):19歳以上23歳未満の特定扶養親族に該当し、63万円。 ・長男(17歳、合計所得金額0円):16歳以上の一般の控除対象扶養親族に該当し、38万円。 ・母(74歳、合計所得金額50万円≦58万円):70歳以上で真鍋さんの直系尊属かつ同居のため、同居老親等に該当し、58万円。
- 計算:63万円+38万円+58万円=159万円
- 単位確認:1,590,000円
- 正解:1,590,000円
間違いやすい点
・選択肢1(1,340,000円):長女(21歳)を特定扶養親族と判定せず一般の38万円で計算した誤り(38万円+38万円+58万円=134万円)。 ・選択肢2(1,490,000円):同居の母を同居老親等と判定せず、老人扶養親族の48万円で計算した誤り(63万円+38万円+48万円=149万円)。
妻の合計所得金額40万円は58万円以下ですが、配偶者は「扶養親族」の定義から除かれているため、扶養控除ではなく配偶者控除の対象として別途検討します(本問で問われているのは扶養控除の合計額のみ)。
重要度:A 論点:税額控除
第9問
【事例】
【頻度注記】EX-D-013は税務特例・申告に関する広い実技出題枠であり、上記頻度(3/3・100%・A)は枠全体の観測値です。住宅ローン控除という個別サブ論点が毎回出題されたことを意味しません。
【設問】
会社員の郡司恭平さん(41歳)は、住宅ローンを利用して自宅を取得し、同年中に居住を開始した。郡司さんの住宅ローンに関する資料は以下のとおりである。この住宅について、基本控除率を年末残高等に乗じて計算した金額として、正しいものはどれか。
<資料:郡司さんの住宅ローン> ・当初借入額:2,800万円 ・当年12月31日時点の借入金残高:2,400万円 ・償還期間:25年(繰上げ返済は行っていない) ・郡司さんは、この住宅ローン控除の適用に必要な要件をすべて満たしている。
<計算にあたっての条件> ・控除率は、令和4年以降入居の対象住宅に関する基本控除率を用いること。 ・住宅の区分ごとに定められる借入限度額等は考慮せず、上記の年末残高がそのまま計算の基礎となるものとする。 ・計算過程で端数は生じない。
- 196,000円
- 168,000円
- 240,000円
【第9問:正解と解説】
正解:2(168,000円)
- 求めるもの:年末残高等に基本控除率を乗じて計算した金額
- 使用するルール:計算の基礎は当初借入額ではなく、その年の年末残高等。令和4年以降入居の対象住宅に関する基本控除率は0.7%。
- 数値代入:2,400万円×0.7%
- 計算:24,000,000円×0.007=168,000円
- 単位確認:168,000円(端数なし)
- 正解:168,000円
なお、郡司さんの償還期間25年は、対象借入金等の償還期間等が10年以上という基本要件を満たしています。
間違いやすい点
・選択肢1(196,000円):計算の基礎を年末残高2,400万円ではなく当初借入額2,800万円として計算した誤り(2,800万円×0.7%=196,000円)。計算基礎の選択誤り。 ・選択肢3(240,000円):年末残高2,400万円に基本控除率0.7%以外の率を用いて計算した場合の金額であり、基本控除率を適用した結果とは一致しない。控除率の選択誤り。
住宅ローン控除の適用初年度は、原則として確定申告が必要です。郡司さんは給与所得者ですが、初年度を年末調整だけで済ませることはできません。
また、実際の控除額は住宅の区分や入居年に応じた借入限度額等の影響を受けます。本問は計算にあたっての条件でこれらを考慮しないこととしており、住宅区分別の限度額を網羅的に扱うものではありません。
重要度:A 論点:所得税の申告と納付
第10問
【事例】
【頻度注記】EX-D-013は一時所得・譲渡所得・青色申告等を含む広い実技出題枠であり、上記頻度(3/3・100%・A)は枠全体の観測値です。青色申告という個別サブ論点が毎回出題されたことを意味しません。
【設問】
南雲祐介さん(38歳)は、これまで勤務していた会社を退職し、2026年5月11日に個人でデザイン業を新たに開業した。南雲さんは、2026年分の所得税から青色申告を行いたいと考え、FPに相談した。南雲さんが青色申告承認申請書を提出すべき期限として、正しいものはどれか。なお、2026年4月1日時点の現行法令によるものとし、南雲さんはこれまで青色申告を行ったことがないものとする。
<資料:南雲さんの状況> ・2026年5月11日:個人事業として業務を開始 ・2026年分の所得税から青色申告の適用を受けることを希望している ・南雲さんは2026年5月11日より前に事業を営んでいた事実はない
- 2026年3月15日
- 2027年2月16日
- 業務を開始した日から2か月以内
【第10問:正解と解説】
正解:3(業務を開始した日から2か月以内)
- 何を判断するか:青色申告承認申請書の提出期限
- 使用するルール:青色申告承認申請書の提出期限は原則としてその年の3月15日。ただし、その年1月16日以後に新たに業務を開始した場合は、業務を開始した日から2か月以内。
- 当てはめ:南雲さんの業務開始日は2026年5月11日であり、2026年1月16日以後に新たに業務を開始した場合に該当する。
- 結論:提出期限は業務を開始した日から2か月以内
間違いやすい点
・選択肢1(2026年3月15日):新規開業の場合の取扱いを適用せず、原則の期限をそのまま当てはめた誤り。南雲さんの業務開始日2026年5月11日はこの日より後であり、原則の期限では2026年分から青色申告を行うことができません。要件区分の判定誤りです。 ・選択肢2(2027年2月16日):翌年の確定申告期間の開始日と、青色申告承認申請書の提出期限とを混同した誤り。確定申告の期間と承認申請の期限は別の制度です。
青色申告の承認を受けた場合、青色申告特別控除(一定の要件のもとで65万円・55万円・10万円)や、青色申告者の通常の純損失を翌年以後3年間繰り越せる取扱い、青色事業専従者給与を必要経費に算入できる制度など、複数の特典が用意されています。本問はこのうち承認申請の期限のみを判断するものです。

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