問6
問題文
遠野マシナリー株式会社では、機械運転時間を操業度として原価を把握している。同社の正常操業圏は900時間から1,300時間である。次の資料にもとづき、高低点法によって単位当たり変動費(1時間当たり)および固定費を求めなさい。あわせて、計算に用いなかった観測値とその理由を答えなさい。
必要資料
| 月 | 機械運転時間 | 原価 |
|---|---|---|
| 6月 | 800時間 | 500,000円 |
| 7月 | 900時間 | 470,000円 |
| 8月 | 1,300時間 | 590,000円 |
| 9月 | 1,400時間 | 700,000円 |
- 正常操業圏:900時間〜1,300時間
- 計算の過程で端数は生じない。
計算式
単位当たり変動費 = 原価の差 ÷ 操業度の差固定費 = 最高操業度の原価 - 単位当たり変動費 × 最高操業度
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計算過程
- 正常操業圏内の観測値を抽出する。6月(800時間)と9月(1,400時間)は圏外のため除外し、7月(900時間)と8月(1,300時間)を用いる。
- 圏内で操業度が最低の点は7月(900時間・470,000円)、最高の点は8月(1,300時間・590,000円)である。
- 単位当たり変動費:(590,000円 - 470,000円) ÷ (1,300時間 - 900時間) = 120,000円 ÷ 400時間 = 300円/時間
- 固定費:590,000円 - 300円/時間 × 1,300時間 = 590,000円 - 390,000円 = 200,000円
正答
- 単位当たり変動費:
300円/時間 - 固定費:
200,000円 - 原価式:
原価 = 200,000円 + 300円/時間 × 機械運転時間 - 計算に用いなかった観測値:
6月(800時間)と9月(1,400時間)。理由:いずれも正常操業圏(900時間〜1,300時間)の外にあるため。
Validation(検算)
- 最低操業度の点へ代入:200,000円 + 300円/時間 × 900時間 = 470,000円となり、7月の実際原価と一致する。
検証の限界
この検算は、原価式の作成に用いた2点との整合を示すにとどまる。資料には正常操業圏内の中間の観測値がないため、圏内の他の操業度で同じ式が成り立つかどうかは確かめられない。また、除外した6月・9月の原価がこの式と一致しないことは、計算の誤りを意味しない。圏外の点は推定の対象としていない。
問7
問題文
遠野マシナリー株式会社は、前問で求めた原価式(固定費200,000円、単位当たり変動費300円/時間)を用いて、翌月の原価を予測することとした。翌月の機械運転時間を1,100時間と見込む場合の予測原価を求めなさい。なお、1,100時間は正常操業圏(900時間〜1,300時間)の範囲内である。
必要資料
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 固定費 | 200,000円 |
| 単位当たり変動費 | 300円/時間 |
| 予定機械運転時間 | 1,100時間 |
| 正常操業圏 | 900時間〜1,300時間 |
計算の過程で端数は生じない。
計算式
予測原価 = 固定費 + 単位当たり変動費 × 操業度
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計算過程
- 変動費部分:300円/時間 × 1,100時間 = 330,000円
- 予測原価:200,000円 + 330,000円 = 530,000円
正答
- 予測原価:
530,000円
Validation(検算)
- 原価式の作成に用いた最低点900時間の原価470,000円との差:530,000円 - 470,000円 = 60,000円
- 操業度の差による変動費の増加:300円/時間 × (1,100時間 - 900時間) = 60,000円となり、両者が一致する。
検証の限界
1,100時間は正常操業圏の範囲内にあるが、この操業度の実際の原価は資料にない。したがって530,000円は原価式にもとづく予測値であり、実際の原価と一致することを示すものではない。原価式そのものも圏内の2点から推定したものである。
問8
問題文
花巻プロダクツ株式会社は製品Hを製造・販売している。同社の正常操業圏は生産量4,000個から8,000個である。次の資料にもとづき、高低点法により単位当たり変動費と固定費を求め、続いて単位貢献利益、貢献利益率、損益分岐点販売量および損益分岐点売上高を求めなさい。生産量と販売量は一致するものとする。貢献利益率は百分率で答えること。
必要資料
| 生産量 | 総原価 |
|---|---|
| 4,000個 | 1,700,000円 |
| 8,000個 | 2,500,000円 |
- 販売単価:500円/個
- 正常操業圏:4,000個〜8,000個
- 計算の過程で端数は生じない。
計算式
単位当たり変動費 = 原価の差 ÷ 生産量の差固定費 = 最高操業度の原価 - 単位当たり変動費 × 最高操業度単位貢献利益 = 販売単価 - 単位当たり変動費貢献利益率 = 単位貢献利益 ÷ 販売単価損益分岐点販売量 = 固定費 ÷ 単位貢献利益損益分岐点売上高 = 損益分岐点販売量 × 販売単価
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計算過程
- 2点はいずれも正常操業圏内にあり、操業度が最低の点は4,000個、最高の点は8,000個である。
- 単位当たり変動費:(2,500,000円 - 1,700,000円) ÷ (8,000個 - 4,000個) = 800,000円 ÷ 4,000個 = 200円/個
- 固定費:2,500,000円 - 200円/個 × 8,000個 = 2,500,000円 - 1,600,000円 = 900,000円
- 単位貢献利益:500円/個 - 200円/個 = 300円/個
- 貢献利益率:300円 ÷ 500円 = 0.6 → 60%
- 損益分岐点販売量:900,000円 ÷ 300円/個 = 3,000個
- 損益分岐点売上高:3,000個 × 500円/個 = 1,500,000円
正答
- 単位当たり変動費:
200円/個 - 固定費:
900,000円 - 単位貢献利益:
300円/個 - 貢献利益率:
60% - 損益分岐点販売量:
3,000個 - 損益分岐点売上高:
1,500,000円
判断の根拠
高低点法による固変分解を先に行い、その結果をCVPの算式へ渡す順序をとる。資料は総原価の形でしか与えられていないため、固定費と変動費に分けなければ貢献利益率を算定できないからである。2点の選択は生産量(操業度)を基準とし、原価の金額では選ばない。
Validation(検算)
- 最低操業度の点へ代入:900,000円 + 200円/個 × 4,000個 = 1,700,000円となり、資料の総原価と一致する。
- 損益分岐点での貢献利益:1,500,000円 × 60% = 900,000円となり、固定費と一致する。
- 損益分岐点の営業利益:900,000円 - 900,000円 = 0円
検証の限界
2点への代入による一致は、その2点と原価式が整合することを示すにとどまり、正常操業圏内の中間の生産量で同じ式が成り立つことを示さない。また、損益分岐点販売量3,000個は正常操業圏(4,000個〜8,000個)の下限を下回る。この金額は、推定に用いた範囲の外側へ原価式を当てはめて算定した数値である。算式にもとづく解答としては3,000個・1,500,000円となるが、圏外の操業度で同じ原価構造が続くことは資料からは確かめられない。
想定される誤り
- 単位当たり変動費を求める際に、原価の差を生産量の差ではなく生産量そのもので割ってしまう誤り。
- 固定費を求める際に、最高操業度の原価から変動費を差し引くところで、単位当たり変動費に最低操業度を掛けてしまう誤り。
- 貢献利益率を求める際に、単位当たり変動費200円を販売単価で割って得た40%を貢献利益率としてしまう誤り。この40%は変動費率である。
- 損益分岐点販売量3,000個を求めたのち、販売単価ではなく単位貢献利益を掛けて売上高としてしまう誤り。
問9
問題文
花巻プロダクツ株式会社は、前問と同じ条件(単位当たり変動費200円/個、固定費900,000円、販売単価500円/個)のもとで、営業利益300,000円を目標としている。目標営業利益を達成する販売量および売上高を求めなさい。なお、目標利益は営業利益ベースである。
必要資料
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 販売単価 | 500円/個 |
| 単位当たり変動費 | 200円/個 |
| 固定費 | 900,000円 |
| 目標営業利益(営業利益ベース) | 300,000円 |
計算の過程で端数は生じない。
計算式
単位貢献利益 = 販売単価 - 単位当たり変動費目標営業利益達成販売量 = (固定費 + 目標営業利益) ÷ 単位貢献利益目標営業利益達成売上高 = 目標営業利益達成販売量 × 販売単価
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計算過程
- 単位貢献利益:500円/個 - 200円/個 = 300円/個
- 回収すべき金額:900,000円 + 300,000円 = 1,200,000円
- 目標販売量:1,200,000円 ÷ 300円/個 = 4,000個
- 目標売上高:4,000個 × 500円/個 = 2,000,000円
正答
- 目標営業利益達成販売量:
4,000個 - 目標営業利益達成売上高:
2,000,000円
判断の根拠
目標営業利益は金額で与えられているため、(固定費 + 目標営業利益) ÷ 単位貢献利益の算式を用いる。売上高に対する比率で与えられた場合の算式(貢献利益率から目標営業利益率を差し引く形)は、この条件では用いない。
Validation(検算)
- 売上高:4,000個 × 500円/個 = 2,000,000円
- 変動費:4,000個 × 200円/個 = 800,000円
- 貢献利益:2,000,000円 - 800,000円 = 1,200,000円
- 営業利益:1,200,000円 - 900,000円 = 300,000円となり、目標営業利益と一致する。
- 損益分岐点販売量3,000個との差1,000個に単位貢献利益300円/個を掛けると300,000円となり、目標営業利益と一致する。
検証の限界
この検算は、与えられた単価・単位当たり変動費・固定費を用いた計算の整合を示すものである。目標販売量4,000個は正常操業圏(4,000個〜8,000個)の下限にあたるが、算定の基礎となる固定費900,000円と単位当たり変動費200円/個は圏内の2点から推定した数値であり、その推定の妥当性が本問の計算で裏づけられるわけではない。
想定される誤り
- 回収すべき金額に固定費を含めず、目標営業利益300,000円だけを単位貢献利益で割ってしまう誤り。この場合の1,000個では固定費が回収されない。
- 単位貢献利益ではなく販売単価で割って、目標販売量を2,400個としてしまう誤り。
- 目標販売量4,000個に単位貢献利益300円/個を掛けて、売上高を1,200,000円としてしまう誤り。この金額は貢献利益であり売上高ではない。
問10
問題文
花巻プロダクツ株式会社では、正常操業圏(4,000個〜8,000個)内の観測値として、4,000個・総原価1,700,000円、8,000個・総原価2,500,000円のほかに、6,000個・総原価2,180,000円が記録されていた。高低点法により4,000個と8,000個の2点から原価式を求めたうえで、6,000個における式上の原価と実際の観測原価との差額を求め、この結果が高低点法の検証について何を示すかを説明しなさい。
必要資料
| 生産量 | 総原価 |
|---|---|
| 4,000個 | 1,700,000円 |
| 6,000個 | 2,180,000円 |
| 8,000個 | 2,500,000円 |
- 正常操業圏:4,000個〜8,000個
- 高低点法に用いる2点:生産量が最低の4,000個と最高の8,000個
- 計算の過程で端数は生じない。
計算式
単位当たり変動費 = 原価の差 ÷ 生産量の差固定費 = 最高操業度の原価 - 単位当たり変動費 × 最高操業度式上の原価 = 固定費 + 単位当たり変動費 × 生産量差額 = 実際の観測原価 - 式上の原価
解答を見る
計算過程
- 単位当たり変動費:(2,500,000円 - 1,700,000円) ÷ (8,000個 - 4,000個) = 200円/個
- 固定費:2,500,000円 - 200円/個 × 8,000個 = 900,000円
- 原価式:
y = 900,000 + 200x - 6,000個の式上の原価:900,000円 + 200円/個 × 6,000個 = 900,000円 + 1,200,000円 = 2,100,000円
- 差額:2,180,000円 - 2,100,000円 = 80,000円
正答
- 原価式:
y = 900,000 + 200x - 6,000個の式上の原価:
2,100,000円 - 実際の観測原価との差額:
80,000円 - 示されること:
高低点法で用いた2つの端点で原価式が成り立つことは、その2点と式の整合を示すにとどまり、正常操業圏内の中間の観測値が同じ式に一致することを示さない。
判断の根拠
原価式は4,000個と8,000個の2点の座標から傾きと切片を逆算して作っている。したがって、この2点で式が成り立つことは計算上当然であり、新たな情報を与えない。式の作成に用いていない6,000個の観測値へ個別に代入してはじめて、中間点の当てはまりを確かめることができる。
Validation(検算)
- 4,000個へ代入:900,000円 + 200円/個 × 4,000個 = 1,700,000円(観測原価と一致)
- 8,000個へ代入:900,000円 + 200円/個 × 8,000個 = 2,500,000円(観測原価と一致)
- 端点2点では一致する一方、6,000個では80,000円の差が残る。
検証の限界
差額80,000円が生じたことは、6,000個という1つの操業度における当てはまりの程度を示すにとどまる。他の中間の操業度での差額の有無や大きさは、この計算からは分からない。それぞれの操業度について個別に代入して確かめる必要がある。また、この差額は高低点法の計算が誤っていることを意味しない。2点を結ぶ直線で原価を表す方法をとった結果として、中間の観測値との差が残りうるということである。
想定される誤り
- 6,000個で差額が生じたことを計算誤りと考え、6,000個を含めて原価式を作り直してしまう誤り。高低点法で用いる2点は、正常操業圏内で操業度が最高・最低の点である。
- 端点2点での一致をもって、資料全体が検証されたと判断してしまう誤り。
- 差額を
式上の原価 - 実際の観測原価の向きで求め、符号を逆に把握してしまう誤り。本問では実際の観測原価が式上の原価を80,000円上回っている。