個別原価計算(指図書・原価計算表・仕損) 計算問題 第6問〜第6問

問6

次の資料にもとづき、(1)仕損費、(2)補修指図書 No.R-651 の製造間接費配賦額、(3)月末の売上原価を求め、(4)仕損費を2つの経路で検証しなさい。

必要資料

製造指図書 No.651 の製造中に仕損が生じたため、補修指図書 No.R-651 を発行して手直しを行った。補修の対象は No.651 である。

  • No.651 の補修前の原価:520,000円
  • No.651 の補修後の完成原価:585,000円

補修指図書 No.R-651 に集計された原価のうち判明しているもの

原価要素 金額
直接材料費 20,000円
直接労務費 15,000円
直接経費 5,000円
製造間接費配賦額 不明

No.651 は完成後、月末までに引き渡している。

解答を見る

解答・解説

正答

  • (1) 仕損費:65,000円
  • (2) No.R-651 の製造間接費配賦額:25,000円
  • (3) 月末の売上原価:585,000円
  • (4) 検証:経路①要素合計 20,000+15,000+5,000+25,000=65,000円/経路②完成原価差額 585,000-520,000=65,000円

計算過程

順 項目 計算 金額
1 仕損費(完成原価の差額) 585,000-520,000 65,000
2 判明している3要素の合計 20,000+15,000+5,000 40,000
3 製造間接費配賦額(逆算) 65,000-40,000 25,000
4 売上原価(引渡済) 585,000 585,000

解説

判断根拠

3段階で判断します。

第1に、仕損費を完成原価の差額から求めます。補修後の完成原価には仕損費が含まれています。したがって差額が仕損費です。

仕損費 = 補修後の完成原価 - 補修前の原価 = 585,000 - 520,000 = 65,000円

第2に、製造間接費配賦額を逆算します。仕損費は補修指図書の4要素の合計なので、判明している3要素を差し引けば残りが求まります。

65,000 - 40,000 = 25,000円

第3に、状態を判定します。No.651 は完成後、月末までに引き渡しているので売上原価です。金額は補修後の完成原価585,000円で、仕損費を含んだ金額です。

検証

Validation(検証)

経路 計算 金額
経路① 要素合計 20,000+15,000+5,000+25,000 65,000
経路② 完成原価差額 585,000-520,000 65,000
両経路の一致 65,000=65,000 一致
補修指図書 No.R-651 の残高 65,000-65,000 0

この検証の限界:2つの経路は独立ではありません。製造間接費配賦額25,000円を経路②の差額から逆算した以上、それを足し戻した経路①は定義上必ず経路②に一致します。したがってこの照合は、逆算した金額の正しさを示しません。

有効な確認になるのは、製造間接費配賦額が別の資料(配賦率と配賦基準量)から独立に与えられている場合です。そのときは2つの経路が独立になり、一致が意味を持ちます。

また補修指図書の残高0も、全額を振り替えれば成立します。振替先が No.651 であることは、補修指図書に記載された元の指図書番号で確かめる必要があります。

想定される誤り:ひとつは、仕損費を判明している3要素の合計40,000円としてしまうことです。製造間接費配賦額も含めます。ふたつめは、売上原価を補修前の520,000円としてしまうことです。引き渡したのは補修後の製品です。三つめは、2経路の一致をもって逆算した製造間接費配賦額まで検証できたと考えてしまうことです。


タイトルとURLをコピーしました