電子記録債権・電子記録債務(営業外を含む)

学習のポイント

① 何を学ぶか

売掛金や買掛金を、電子的に記録された債権・債務に置き換えるしくみがあります。紙の証書をやり取りせず、記録機関の帳簿に発生を記録することで債権・債務が成立します。

この記録によって生じるのが電子記録債権(資産)と電子記録債務(負債)です。

3級では、売掛金を電子記録債権に置き換える基本的な処理を学びました。2級ではここにもう1つの区分が加わります。

商品の売買から生じた債権・債務なのか、それとも固定資産の売買など営業以外の取引から生じたものなのかで、使う勘定が変わります。後者には営業外電子記録債権・営業外電子記録債務を用います。

学ぶことは3つです。

  1. 発生記録による債権・債務の成立を記帳する
  2. 正常な決済による消滅を記帳する
  3. 営業取引と営業外取引で勘定を使い分ける

② 基本Rule

4つの勘定

勘定 性質 使う場面
電子記録債権 資産 営業取引(商品売買)から生じた債権
電子記録債務 負債 営業取引から生じた債務
営業外電子記録債権 資産 固定資産の売却など営業以外の取引から生じた債権
営業外電子記録債務 負債 固定資産の購入など営業以外の取引から生じた債務

営業取引の処理

商品を売った代金は売掛金です。これを電子記録債権に置き換えます。

(発生記録)電子記録債権 ×××  /  売掛金 ×××

商品を買った代金は買掛金です。これを電子記録債務に置き換えます。

(発生記録)買掛金 ×××  /  電子記録債務 ×××

決済されたときは、それぞれを消滅させます。

(債権の決済)普通預金       ×××  /  電子記録債権 ×××
(債務の決済)電子記録債務 ×××  /  普通預金       ×××

営業外取引の処理

固定資産を売った代金は売掛金ではなく未収入金です。これを電子記録に置き換えると営業外電子記録債権になります。

(発生記録)営業外電子記録債権 ×××  /  未収入金 ×××

固定資産を買った代金は買掛金ではなく未払金です。

(発生記録)未払金 ×××  /  営業外電子記録債務 ×××

置き換える前の勘定に注目すると迷いません。

売掛金・買掛金 が元 → 電子記録債権・電子記録債務
未収入金・未払金 が元 → 営業外電子記録債権・営業外電子記録債務

貸借対照表での表示

電子記録債権・電子記録債務は流動資産・流動負債に表示します。

営業外電子記録債権・営業外電子記録債務は、決済までの期間が1年以内かどうかによって流動と固定を区分します。

③ 処理手順

手順1:もとの取引が営業取引かどうかを確認する

商品の売買なら営業取引です。固定資産の売買など、商品売買以外なら営業外取引です。

手順2:置き換える前の勘定を特定する

営業取引なら売掛金・買掛金、営業外取引なら未収入金・未払金です。

手順3:対応する電子記録の勘定を選ぶ

営業取引なら電子記録債権・電子記録債務、営業外取引なら営業外電子記録債権・営業外電子記録債務です。

手順4:発生記録の仕訳を書く

もとの勘定を消し、電子記録の勘定を計上します。金額は同じです。

手順5:決済時に消滅させる

入金または支払いにより、電子記録の勘定を消します。

④ 注意点

注意1:金額は置き換えても変わらない

発生記録は債権・債務の形を変えるだけです。売掛金500,000円を電子記録債権にすれば、電子記録債権も500,000円です。

注意2:営業か営業外かはもとの取引で決まる

電子記録に置き換えたあとの形は同じでも、もとの取引の性質で勘定が分かれます。商品を売ったのか、固定資産を売ったのかを確認してください。

注意3:債権と債務の向きを取り違えない

自社が受け取る側なら債権(資産)、支払う側なら債務(負債)です。発生記録の仕訳では、債権なら借方、債務なら貸方に電子記録の勘定がきます。

注意4:営業外は1年基準で区分する

営業外電子記録債権・営業外電子記録債務は、決済までの期間で流動と固定を分けます。営業取引から生じたものとは区分の考え方が異なります。

注意5:この論点で扱う範囲

決済ができなかった場合の処理は、この単元では扱いません。また、電子記録債権を他社へ譲り渡したり、期日前に換金したりする処理も別の単元で扱います。

⑤ 試験での使われ方

この論点は第1問の仕訳形式につながります。

発生記録の場面か決済の場面かを読み取り、営業取引か営業外取引かを判断して勘定を選びます。金額の計算は伴わないため、勘定の選択が解答の中心になります。

問題文には「商品を販売し」「備品を売却し」といった形で、もとの取引が示されます。その一文から営業・営業外を判断してください。

⑥ 年度注記

この論点は2026年度・2027年度の両方で出題範囲です。営業外電子記録債権・営業外電子記録債務も、両年度とも学習対象です。

2027年度からは、これらの勘定が出題区分表に明記されました。ただしこれは記載が明確になったということであり、処理の方法が2027年度に変わったわけではありません。2026年度を受験する方も、同じ内容を学習してください。

決済ができなかった場合の処理については、2026年度・2027年度のいずれも出題範囲外です。


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