測量士補を取ったら何ができる?|地図の線の向こうにある「現場」が見えてくる資格の話

測量士補を取ったら何ができる? 管理人コラムのイメージ コラム

管理人・ハル

「測量士補って、取ったら何の仕事ができるの?」

そう思ったこと、ありませんか? 名前に「補」が付いているので、なんとなく「見習いの資格かな?」と感じる人も多いですよね。

でも、調べていて感じたのは、測量士補は法律の中にちゃんと役割が決められている国家資格だということです。

先に結論を言っちゃうと、測量士補は測量士が作った計画に従って、現地で位置や高さを測り、確かめ、図面やデータにまとめる人のための資格です。測量会社だけでなく、建設コンサルタント、土地家屋調査士事務所、用地や補償の仕事にも、けっこう名前が出てきます。

ただし、測量士とは権限が違いますし、合格しただけで名乗れるわけでもありません。ここは先にお伝えしておきたいところです。

今回は、国土地理院などの公式情報とハローワークの求人も見ながら、「仕事」「就職・転職」「次の資格」の3つの方向から、測量士補の使い道を整理してみました。

1. そもそも測量士補ってどんな資格?

測量士補は、測量法にもとづく国家資格です。国土地理院が試験を行い、名簿への登録も国土地理院が受け付けています。

役割は、測量法でこう分けられています。

資格 法律上の役割
測量士 測量に関する計画を作製し、または実施する
測量士補 測量士の作製した計画に従い、測量に従事する

(国土地理院・技術者の資格制度の説明)

測量士補になるルートは2つ

意外と知られていないのですが、試験に受かるだけが道ではないんです。

  • 測量士補試験に合格する
  • 大学・短大・高専で測量に関する科目を修めて卒業する、または所定の養成施設で学ぶ

どちらのルートでも、そのあとに国土地理院の測量士補名簿へ登録して、はじめて測量士補になります。登録申請に期限はなく、登録したあとの更新手続きもありません。(国土地理院・試験と登録のQ&A)

「試験に合格した」と「測量士補として登録した」は別もの。履歴書に書くときも、ここは分けておきたいですね。

試験のあらまし(2026年の場合)

項目 内容
試験日 年1回、例年5月中旬〜下旬の日曜日(2026年は5月17日)
受験資格 なし(年齢・学歴・実務経験を問わない)
形式 筆記・択一式で28問。13時30分〜16時30分の3時間
合格基準 1問25点・700点満点で、450点以上
受験手数料 書面申請2,850円、電子申請2,800円
科目 測量に関する法規/測地測量/測図測量/応用測量

(国土地理院・令和8年 受験案内(PDF)、国土地理院・試験と登録)

2026年の試験は12,269人が受験して5,447人が合格、合格率は44.4%でした。(国土地理院・令和8年 合格者の発表)

「半分近く受かるなら簡単そう」と思うかもしれませんが、ちょっと待ってください。

測量士補の試験は電卓が使えません。角度、距離、高さの計算を、手計算で解けるかが問われるんです。合格率だけで甘く見ないほうがいいと思います。

なお、2025年4月から試験科目の区分が見直されています。古い本だと「多角測量」「GNSS測量」「水準測量」などの旧区分で並んでいることがあるので、教材は版を確認しておきましょう。

2. 取ったら、何ができるようになるの?

測量チームの一員として、現地で測る

測量士補の仕事というと「三脚を立てて測る人」をイメージしがちですよね。

もちろんそれも大事な仕事ですが、求人を見ていると、実際はもっと幅が広いんです。

場面 仕事の例
基準点・地形の測量 トータルステーションやGNSSで位置を観測し、地形図や測量成果のもとを作る
道路・河川・工事のための測量 計画や設計に必要な位置、高さ、断面を測る
用地・地籍の調査 土地の資料と現地を照らし合わせ、用地取得や地籍調査の資料を作る
ドローン・点群の活用 UAVやレーザーで取ったデータを整理し、地形や構造物を三次元で表す
事務所での作業(内業) 観測値の点検や計算、測量CADやGISでの図面・データ作り

つまり、「何のために、何を、どう測って、どう確かめるか」までが仕事なんですね。現場に出る「外業」と、事務所での「内業」の両方がある、と考えておくとイメージしやすいと思います。

ただし、できないこともある

ここは正直にお伝えしておきたいところです。

  • 測量の計画を作るのは測量士です。測量士補はその計画に従う立場です。
  • 測量会社を開業する要件は満たせません。 測量業者として登録するには、営業所ごとに常勤の測量士を1人以上置く必要があります。(国土交通省・測量業者の登録)
  • 土地家屋調査士の仕事は別の資格です。 土地の境界の調査や表示登記の申請代理は、土地家屋調査士の業務。測量士補を取っただけで、これを自分でできるわけではありません。

それから、資格を取ったその日から、すべての機械を使いこなせるわけでもありません。現場の安全管理、土地への立入り、精度の管理、ドローンを飛ばすときの別のルールなどは、職場で経験しながら身につけていくものです。

資格は「現場に入るための土台」。そう考えておくと、ちょうどいいと思います。

3. 仕事で役立つ?

測量・設計の会社なら

いちばんストレートに使えるのがここです。公共測量の現場では、測量士補は技術者としての役割が法律で決まっています。観測、計算、図面作成と、仕事の中心をそのまま担えます。

土地家屋調査士事務所なら

求人を見ていると、「土地家屋調査士の補助者」の募集にも、測量士補の名前がよく出てきます。現地調査や測量、図面作りなど、やることが近いからです。

ただし、補助者として手伝うことと、自分の資格で登記を代理することは別の話。ここは混同しないでくださいね。

測量専業以外でも、意外と使える

  • 土木設計の人:設計の前提になる地形や高さが、どの精度で測られたのかを理解できる
  • 施工管理の人:工事の前後で位置や高さを確かめるとき、図面と現地のずれに気づきやすくなる
  • 用地・補償の仕事の人:土地の測量図や用地調査の成果を読む力になる
  • GISや三次元データを扱う人:座標や精度の考え方が、データを読む助けになる
  • 測量・建設系の営業の人:お客さんが「何を測りたいのか」を聞き取って、技術者につなぎやすくなる

ただ、資格があれば土木設計や施工管理の仕事がひととおりできる、というわけではありません。知識が役立つ場面と、それぞれの仕事に必要な資格は、分けて考えておきましょう。

4. 就職・転職では?

ハローワークの求人を調べてみました

実際のところどうなんだろう? と思って、2026年10月15日に、ハローワークインターネットサービスで「測量士補」と書かれた公開求人を調べてみました。ヒットしたのは1,137件。

このうち1件は「測量士補は不可」という募集だったので外し、残りの1,136件の求人票を集計したところ、こんな結果でした。

測量士補の扱い 件数
資格欄で「必須」 298件
資格欄で「あれば尚可」 748件
資格欄にはないが、文章で「必須」「いずれか」などに触れている 15件
資格欄にはないが、文章で「歓迎」「優遇」などに触れている 54件
資格名が出てくるだけで、扱いがはっきりしない 21件
合計 1,136件

「必須が298件もあるんだ」と思うかもしれませんが、ちょっと待ってください。

この298件のうち130件は、資格欄に「測量士」も「必須」として並んでいる募集でした。ハローワークの求人票では、こういう書き方が「測量士または測量士補のどちらかがあればOK」という意味のことも多いんです。ほかにも、2級土木施工管理技士などが一緒に「必須」欄に並んでいる求人がありました。

つまり、「必須」の中には「ほかの資格でも応募できる」募集も含まれているということですね。測量士補だけが唯一の応募条件、という意味ではありません。

会社の規模で見ると

企業全体の従業員数で分けると、こうなりました。

従業員数 求人票(全体) うち「必須」
1〜9人 273件 62件
10〜49人 547件 113件
50〜299人 188件 53件
300〜999人 110件 68件
1,000人以上 11件 1件
人数不明 7件 1件

10〜49人の会社がいちばん多く、小さな測量事務所から大きな会社まで、幅広く名前が出ていました。

ここで1つ、気をつけたい偏りがあります。

300〜999人の「必須」68件のうち66件は、事業所名を公開していない同じ事業所とみられるところの、各地での募集でした。従業員数も受付のハローワークも同じで、勤務地だけが違う、という形です。内容は、補償コンサルタント業務(測量)や、道路の巡回・敷地管理の仕事が中心でした。

ですから、「300人以上の会社で測量士補が必須とされている」とは読めないんです。この66件を除くと、「必須」の求人は232件で、そのほとんどは300人未満の会社でした。

なお、件数は会社の数ではなく求人票の数です。同じ会社が、職種や勤務地ごとに何件も出していることがあります。それに、その日に見た一部の公開求人なので、全国の求人全体で同じ割合になるわけではありません。「だいたいこんな感じなんだな」くらいで受け取ってもらえればと思います。

求人の中身で目立ったこと

  • 測量・設計の会社、建設コンサルタント、土地家屋調査士事務所が中心
  • ほかに、土木工事、地質調査、森林の調査、公共工事の発注者支援、測量・設計の営業も
  • 仕事内容にドローンやUAVが出てくる求人票も、200件あまりありました
  • 用地や補償の仕事も目立ち、補償業務管理士に触れている求人票が120件あまりありました

「あれば尚可」の求人でも、実務経験、普通自動車免許、CADの操作などを別に求めているものがあります。会社の規模より、「外業と内業の割合」「出張の範囲」「使う機器やソフト」を求人票ごとに見るのが大事だと思います。

社内評価では?

求人票には、資格手当を書いている会社もありました。測量士補で月数千円〜1万円ほど、という例です。

ただ、これは個別の募集の例で、手当の相場というわけではありません。手当がない会社もありますし、取ったら自動的に昇給するとも限りません。担当できる業務、登録しているかどうか、経験、社内の規定を、気になる会社ごとに確認しておきましょう。

5. 私生活でも使える?

正直に言うと、簿記やFPのように、家計にすぐ役立つタイプの資格ではありません。

それでも、地理院地図で標高や地形を見たり、ハザードマップを確認したりするとき、「この線や数字は、どうやって測られたものなんだろう?」と考えるようになります。

土地を買うときにも、地図の線と現地の境界はどう確かめるのか、誰に相談すればいいのか(境界のことなら土地家屋調査士です)を考えるきっかけになりますよ。

6. 身につくのは「知識」だけじゃない

測量士補の勉強で私がいちばん面白いと思うのは、測った数字をそのまま信じないところです。

同じ点を測っても、機械の置き方、天候、見通し、使った基準で、結果は少しずつ変わります。だからこそ、

  • 何を基準に測ったの?
  • どんな方法で測ったの?
  • 誤差は、許される範囲に収まっている?

と確かめていくんです。

試験の計算問題も、公式に数字を当てはめるだけで終わらせず、図を描いて「この角度や高さは、現実ではどういう意味?」と考えると、ぐっと理解が残ります。このクセは、資料の数字や図面を読むときにも役立つと思います。

7. 次に取るなら? 関連資格の早見表

次の資格 測量士補とのつながり こんな人に向く
測量士 法規・測地・測図・応用測量の土台がつながる。計画を作る側へ進む 測量の計画や技術の責任を担いたい人
土地家屋調査士 現地調査・測量・図面作成が近い。測量士補となる資格があれば、申請により午前の部の試験が免除される 土地・建物の表示登記まで仕事にしたい人
補償業務管理士 用地調査や補償の仕事で、測量の知識が土台になる 公共事業の用地・補償の仕事に進みたい人
2級土木施工管理技士 測量の成果を工事の現場で使う 土木工事の工程・品質・安全を管理したい人
技術士補・技術士、RCCM 建設コンサルタントの求人で、測量士補と一緒によく並んでいる 土木設計や技術提案の専門性を深めたい人
宅建 土地という接点はあるが、試験内容の重なりは小さい 不動産の取引や営業に軸を置きたい人

※つながりは管理人の目安です。土地家屋調査士の午前の部の免除以外に、試験科目の免除があるわけではありません。

測量士へは「経験を積めばOK」ではない

ここ、勘違いしやすいポイントです。

国土地理院のQ&Aによると、測量士補試験に合格した人は、実務経験を積むだけでは測量士になれません。道は主に次の2つです。

  • 測量士試験に合格する
  • 測量士養成施設(測量士補の人向けの、高度な知識・技能を学ぶ施設)で学ぶ

一方で、大学・短大・高専で測量に関する学科を卒業した人は、実務経験を積むことで測量士になれる場合があります。自分の経歴に合うルートを、国土地理院の案内で確認してくださいね。(国土地理院・試験と登録のQ&A)

土地家屋調査士の午前の部の免除

土地家屋調査士試験では、測量士補となる資格がある人は、申請により午前の部(平面測量・作図)の試験が免除されます。測量士補名簿への登録前でも、試験合格証書などで資格を証明できる場合があります。ここは、測量士補として仕事をするための「名簿登録」と分けて考えましょう。(法務省・土地家屋調査士試験受験案内)

ただし、免除されるのは午前の部だけ。午後の部や口述試験はそのまま受ける必要がありますし、必要な書類は年度の受験案内で確認しましょう。

「測量士補でいったん十分な人」と「次へ進んだ方がいい人」

測量士補でいったん十分な人 次へ進んだ方がいい人
測量チームで観測や図面作りを担当したい 自分で測量の計画を立てる立場になりたい(→測量士)
まず現場の基本をしっかり身につけたい 境界や表示登記を専門にしたい(→土地家屋調査士)
土木や建設の仕事で、測量の知識を持っておきたい 用地・補償の仕事を本格的にやりたい(→補償業務管理士)
未経験から測量の仕事に入るきっかけがほしい 工事全体を管理したい(→土木施工管理技士)

左側の人は、すぐに次の試験へ進まなくても大丈夫。測量士補として登録して、観測・計算・図面作りを現場で経験するほうが、仕事に直結することも多いと思います。

右側の人は、「次にどんな仕事を任されたいか」から資格を選ぶと、勉強の目的がはっきりしますよ。

8. どこから勉強を始める?

おすすめは、図を描きながら計算に慣れることです。測量士補の試験は電卓が使えないので、角度・距離・高さの計算を、図と手計算で解く練習がカギになります。

当サイトの測量士補の無料問題集では、10分野・72論点を、無料・登録不要で学べます。各論点で、一問一答(○×)のあとに五肢択一を解く形です。こんな順番で進めてみてください。

ステップ 使うページ ここがポイント
① 全体像をつかむ 測量士補の無料問題集トップ 10分野の並びを見ておく(学習ロードマップは準備中です)
② 法規から入る 測量法の用語と適用範囲 計算のない法規で、まず問題の形に慣れる
③ 計算に慣れる 各分野の論点ページ 図を描きながら、途中式を自分で追う
④ 苦手をつぶす 演習モード 1問ずつ正誤と解説が出る。間違えた問題だけ解き直せる
⑤ 本番の形に慣れる 国土地理院が公表している過去の試験問題・解答例 時間を測って、28問を通して解いてみる

当サイトの問題は学習用のオリジナル問題です。本番の形に慣れるために、公式の過去問もあわせて解いてくださいね。過去の試験の情報は、国土地理院の「測量士・測量士補試験及び登録」からたどれます。

本や講座で学びたい人へ

(これらの紹介ページには広告を含みます)

とはいえ、教材を何冊もそろえる必要はありません。まずは無料問題集で法規を1論点ためしてみて、計算の説明が合うかどうかがわかってから選んでも遅くないですよ。本を買うときは、新しい科目区分に対応した版かどうかも確認しておきましょう。

9. まとめ

こんな人におすすめ

  • 測量・設計の会社や建設コンサルタントで働きたい人
  • 未経験から測量の仕事に入るきっかけがほしい人
  • 土木、用地・補償、土地家屋調査士の仕事に興味がある人
  • 将来、測量士や土地家屋調査士を目指したい人

取ったあとの使い方

  • まずは国土地理院の名簿に登録して、正式に測量士補になる
  • 現場で観測・計算・図面作りを経験して、「何のために測るのか」をつかむ
  • 目的に合わせて、測量士・土地家屋調査士・補償業務管理士・土木施工管理技士などへつなげる

次にやること

  1. 測量士補の無料問題集で、10分野の全体像を確認する
  2. 測量法の用語と適用範囲を解いて、問題の形に慣れる
  3. 続けられそうなら、自分に合う参考書や通信講座を検討する

ふだん何気なく見ている地図の線にも、「誰が、何を基準に、どう測ったのか」という根拠があります。それが見えるようになると、地図も現場も、ちょっと違って見えてきますよ。

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