労務費(消費賃金・予定賃率) 仕訳問題 第6問〜第8問

問6

当社は直接工の消費賃金を予定賃率で記帳済みである。予定賃率は1,100円/時間、実際賃率は1,140円/時間、実際直接作業時間は2,500時間であった。

期末に賃率差異を振り替える仕訳を示しなさい。

使用可能勘定科目

賃金・給料/賃率差異

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解答・解説

計算過程

順 項目 計算 金額
1 賃率の差 1,100-1,140 -40
2 賃率差異 -40円×2,500時間 -100,000
3 有利・不利の判定 負なので不利差異 不利差異100,000円

正答仕訳

借方 金額 貸方 金額
賃率差異 100,000 賃金・給料 100,000

解説

金額は JOURNAL-001 と同じ100,000円ですが、符号が逆なので貸借も逆になります。金額の一致に引きずられず、賃率の差の符号から記入側を決めてください。

貸借の確認:借方100,000円=貸方100,000円。
符号と記入側の一致:負(-100,000)→ 不利差異 → 賃率差異は借方。


問7

当社は直接工の消費賃金を予定賃率で記帳済みである。予定賃率は1,300円/時間、実際賃率は1,270円/時間である。当月の実際直接作業時間は、第1製造部門1,200時間、第2製造部門800時間であった。

期末に賃率差異を振り替える仕訳を1つ示しなさい。

使用可能勘定科目

賃金・給料/賃率差異

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解答・解説

計算過程

順 項目 計算 金額・時間
1 実際直接作業時間の合計 1,200時間+800時間 2,000時間
2 賃率の差 1,300-1,270 +30
3 賃率差異 30円×2,000時間 +60,000
4 有利・不利の判定 正なので有利差異 有利差異60,000円

正答仕訳

借方 金額 貸方 金額
賃金・給料 60,000 賃率差異 60,000

解説

判断根拠

3段階で判断します。

第1に、部門ごとの時間を合計します。予定賃率と実際賃率はどちらも工場全体で同一なので、部門ごとに差異を計算しても、合計してから計算しても同じ結果になります。部門別に分けて2つの仕訳を作る必要はありません。 本問は1つの仕訳を求めているので、時間を合計してから計算します。

第2に、賃率の差を求めます。1,300-1,270=+30円です。この符号がそのまま差異の符号になります。

第3に、記入側を決めます。正なので有利差異であり、賃率差異勘定には貸方に記入します。

検証

検証項目 計算 結果
部門別に計算した場合 30×1,200=36,000/30×800=24,000 合計60,000(一致)
別経路 1,300×2,000=2,600,000/1,270×2,000=2,540,000 差60,000(一致)
符号と有利・不利 正 → 有利差異 一致
有利・不利と記入側 有利差異 → 賃率差異は貸方 一致
仕訳の貸借 60,000=60,000 一致

部門別に計算しても合計しても同じ60,000円になることが確認できます。

貸借の確認:借方60,000円=貸方60,000円。

この検証の限界:部門別計算との一致は、どちらも同じ賃率の差30円を使っているため独立した確認にはなりません。賃率の差を誤って求めていれば、部門別でも合計でも同じ誤った差異になります。別経路(予定消費賃金と実際消費賃金の差)も同じ時間を使うため、時間を取り違えていれば同じ誤りを引き継ぎます。予定賃率・実際賃率と、どの時間を用いるのかを問題文に戻って確かめる必要があります。

想定される誤り:ひとつは、部門ごとに2つの仕訳を作ってしまうことです。本問は1つの仕訳を求めています。ふたつめは、時間の合計を誤って1,200時間または800時間だけで計算することです。三つめは、差異の式を「実際賃率-予定賃率」と逆にして符号を取り違え、不利差異としてしまうことです。


問8

当社は直接工の消費賃金を予定賃率で記帳済みである。予定賃率は1,500円/時間、実際賃率は1,560円/時間である。当月の直接工の作業時間は、直接作業2,800時間、間接作業200時間、手待100時間であった。

期末に賃率差異を振り替える仕訳を示しなさい。

使用可能勘定科目

賃金・給料/賃率差異

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解答・解説

計算過程

順 項目 計算 金額・時間
1 差異に用いる時間 実際直接作業時間のみ 2,800時間
2 賃率の差 1,500-1,560 -60
3 賃率差異 -60円×2,800時間 -168,000
4 有利・不利の判定 負なので不利差異 不利差異168,000円

正答仕訳

借方 金額 貸方 金額
賃率差異 168,000 賃金・給料 168,000

解説

判断根拠

3段階で判断します。

第1に、どの時間を用いるかを決めます。賃率差異は直接労務費について生じる差です。直接労務費となるのは直接作業時間に対応する分だけなので、掛けるのは実際直接作業時間2,800時間のみです。間接作業200時間と手待100時間に対応する賃金は間接労務費であり、この差異には含めません。就業時間3,100時間を掛けてはいけません。

第2に、賃率の差を求めます。1,500-1,560=-60円で負です。

第3に、記入側を決めます。負なので不利差異であり、賃率差異勘定には借方に記入します。

検証

検証項目 計算 結果
時間の区分 就業3,100=直接2,800+間接200+手待100 一致
差異に用いた時間 2,800時間(間接作業・手待を含めていない) 確認
賃率の差 1,500-1,560 -60(負)
賃率差異 -60×2,800 -168,000
別経路 1,500×2,800=4,200,000/1,560×2,800=4,368,000 差168,000(一致)
符号と有利・不利 負 → 不利差異 一致
有利・不利と記入側 不利差異 → 賃率差異は借方 一致
仕訳の貸借 168,000=168,000 一致

貸借の確認:借方168,000円=貸方168,000円。

この検証の限界:別経路(予定消費賃金と実際消費賃金の差)は、どちらも同じ時間を掛けているため独立した確認になりません。仮に就業時間3,100時間を用いれば、予定4,650,000円・実際4,836,000円となり差は186,000円で、引き算としては成立してしまいます。符号判定と記入側の対応も形が整います。

つまり時間の取り違えは、この検証では検出できません。時間の区分(就業時間=直接作業+間接作業+手待)を確かめたうえで、どの区分の時間が直接労務費に対応するのかを問題文に戻って確認する必要があります。

想定される誤り:ひとつは、就業時間3,100時間を用いて△186,000円としてしまうことです。ふたつめは、直接作業時間に手待時間だけを加えて2,900時間としてしまうことです。手待時間も間接労務費です。三つめは、差異の式を逆にして有利差異としてしまうことです。


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