問11
原価の分類について正しいものを1つ選びなさい。
A. 実際原価と予定原価は操業度との関連による分類であり、変動費と固定費は価格の性質による分類である
B. 予定原価とは、実際にかかった金額を後から集計して求めた原価のことである
C. 変動費と固定費の区分は直接費と間接費の区分と一致し、変動費はすべて直接費、固定費はすべて間接費である
D. 実際原価と予定原価は価格の性質による分類であり、変動費と固定費は操業度との関連による分類である
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解答・解説
正答: D
正答理由:実際原価と予定原価は、実際にかかった価格で計算するか、あらかじめ決めておいた価格や率で計算するかという価格の性質による分類です。変動費と固定費は、生産量の増減に応じて金額が変わるかどうかという操業度との関連による分類です。2つは別の分類軸です。
誤答理由
- A:2つの分類軸の説明が入れ替わっています。実際原価と予定原価が価格の性質、変動費と固定費が操業度との関連です。
- B:実際にかかった金額を後から集計して求めるのは実際原価です。予定原価は、あらかじめ決めておいた価格や率を用いて計算する原価です。
- C:別の分類軸なので一致するとはかぎりません。工場の機械の減価償却費は間接費であり固定費ですが、複数の製品に共通して使う補助材料は間接費であっても生産量に応じて増減すれば変動費です。間接費のなかに変動費も固定費もあります。
問12
ある工場では、複数種類の製品を同じ生産ラインで製造しており、生産量に応じて消費量が増減する補助材料を用いている。この補助材料の消費額について、発生形態別・製品との関連別・操業度との関連別・全部原価計算における集計範囲の4つの観点からみた区分と、固定製造原価の直接原価計算上の扱いを組み合わせたものとして正しい選択肢を1つ選びなさい。
A. 材料費/間接費/変動費/製品原価/固定製造原価は期間原価
B. 材料費/直接費/変動費/製品原価/固定製造原価は期間原価
C. 経費/間接費/固定費/期間原価/固定製造原価は製品原価
D. 材料費/間接費/固定費/期間原価/固定製造原価は製品原価
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解答・解説
正答: A
正答理由:補助材料に関する4つの観点と、直接原価計算における固定製造原価の扱いを、それぞれ独立に判断します。
| 観点 | 判断 | 区分 |
|---|---|---|
| 発生形態別 | ものを消費している | 材料費 |
| 製品との関連別 | 複数種類の製品に共通して使われ、どの製品にいくらかを直接たどれない | 間接費 |
| 操業度との関連別 | 生産量に応じて消費量が増減する | 変動費 |
| 全部原価計算における集計範囲 | 製造原価であり、製品に集計されて製品が売れたときに費用となる | 製品原価 |
| 直接原価計算における固定製造原価 | 変動製造原価だけを製品原価とする | 期間原価 |
したがって、材料費・間接費・変動費・製品原価に、固定製造原価は期間原価という扱いを組み合わせたAが正答です。発生形態別と製品との関連別を組み合わせると、補助材料の消費額は間接材料費と呼ばれます。
誤答理由
- B:製品との関連別を直接費としています。複数種類の製品に共通して使われるため、どの製品にいくらかかったかを直接たどれません。この点で間接費です。
- C:補助材料を経費・固定費・期間原価としている点が誤りです。また、直接原価計算では固定製造原価を製品原価ではなく期間原価とします。
- D:補助材料を固定費・期間原価としている点が誤りです。また、直接原価計算における固定製造原価の扱いも逆です。
判断根拠
この設問の要点は、4つの分類軸が互いに独立していることです。1つの費目は、軸ごとに別々に判断され、同時に複数の区分に属します。判断は次の順で行います。
第1に、何を消費したかをみます。補助材料は物品なので発生形態別では材料費です。金額の大小や重要性は関係ありません。
第2に、特定の製品にたどれるかをみます。複数種類の製品を同じラインで製造しており共通して使われているため、どの製品にいくら使ったかを直接たどれません。したがって間接費です。ここで「材料費だから直接費」と結びつけないことが分かれ目です。材料費のなかに直接材料費と間接材料費の両方があります。
第3に、生産量との連動をみます。生産量に応じて消費量が増減すると与えられているので変動費です。ここでも「間接費だから固定費」と結びつけないことが分かれ目です。間接費のなかに変動費も固定費もあります。
第4に、集計範囲をみます。全部原価計算では製造原価の全部が製品原価となります。補助材料の消費額は製造原価に含まれるため製品原価です。
第5に、直接原価計算で製品原価へ含める範囲をみます。直接原価計算では変動製造原価を製品原価とし、固定製造原価を期間原価とします。ここでいう「直接原価」と、製品との関連による「直接費」は別の分類です。
検証
| 検証項目 | 確認 |
|---|---|
| 発生形態別の3区分(材料費・労務費・経費)のいずれか1つに入るか | 材料費(重複なし) |
| 製品との関連別の2区分(直接費・間接費)のいずれか1つに入るか | 間接費(重複なし) |
| 操業度との関連別の2区分(変動費・固定費)のいずれか1つに入るか | 変動費(重複なし) |
| 4つの区分が互いに矛盾しないか | 間接材料費であり変動費である製造原価として整合 |
| 直接原価計算上の固定製造原価の扱い | 期間原価 |
| 与件に照らして一意に定まるか | 「複数種類の製品に共通」「生産量に応じて増減」の2つの条件から一意に定まる |
各軸のなかでは区分が互いに排他的である一方、軸をまたぐと1つの費目が4つの区分に同時に属します。この二重の構造を確認することが、分類問題での基本的な検証になります。
この検証の限界:各軸で1つの区分に収まっているかを確かめても、軸そのものを取り違えていれば誤りは見つかりません。たとえば「変動費・固定費」を製品との関連別の区分だと思い込んだまま判断すると、各軸で1つずつ選べているように見えて中身が入れ替わります。どの観点から問われているのかを、問題文の文言に戻って確かめる必要があります。
想定される誤り:ひとつは「材料費なら直接費」と結びつけてしまうことです(選択肢B)。ふたつめは「間接費なら固定費」と結びつけてしまうことです(選択肢D)。三つめは、全部原価計算でも補助材料を期間原価と考えることです(選択肢C・D)。四つめは、直接原価計算の「直接」を直接費と同じ意味だと考え、固定製造原価も製品原価へ含めることです(選択肢C・D)。全部原価計算では製造原価の全部を製品原価とし、直接原価計算では固定製造原価を期間原価とします。