工業簿記の基礎と原価の概念・分類 計算問題 第1問〜第2問

問1

次の資料にもとづき、(1)から(5)の金額を求めなさい。

必要資料

ある製造会社の一会計期間に発生した原価は次のとおりである。ここに示したもの以外に原価は発生しておらず、非原価項目も生じていない。

費目 金額(円)
直接材料費 480,000
直接労務費 300,000
直接経費 20,000
間接材料費 70,000
間接労務費 90,000
間接経費 40,000
販売費 140,000
一般管理費 60,000

(1) 直接費の合計額
(2) 製造間接費の合計額
(3) 製造原価
(4) 販売費および一般管理費の合計額
(5) 総原価

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解答・解説

正答

  • (1) 直接費の合計額:800,000円
  • (2) 製造間接費の合計額:200,000円
  • (3) 製造原価:1,000,000円
  • (4) 販売費および一般管理費の合計額:200,000円
  • (5) 総原価:1,200,000円

計算過程

順 項目 計算 金額
1 直接費の合計額 480,000+300,000+20,000 800,000
2 製造間接費の合計額 70,000+90,000+40,000 200,000
3 製造原価 800,000+200,000 1,000,000
4 販売費および一般管理費 140,000+60,000 200,000
5 総原価 1,000,000+200,000 1,200,000

解説

(1)(2) 直接費と間接費は製品との関連による区分です。費目名の「直接」「間接」がそのまま対応します。直接材料費・直接労務費・直接経費を合計したものが直接費、間接材料費・間接労務費・間接経費を合計したものが製造間接費です。

(3) 製造原価は、製品を作るためにかかった原価です。直接費と製造間接費を合計して求めます。販売費と一般管理費は含めません。

(4)(5) 販売費は製品を売るためにかかった原価、一般管理費は会社全体の管理にかかった原価です。製造原価にこの2つを加えたものが総原価です。

総原価 = 製造原価 + 販売費 + 一般管理費

Validation(検算)

分類した各内訳の合計が総原価に一致することを、別の経路で確認します。

検算 計算 結果
全費目の単純合計 480,000+300,000+20,000+70,000+90,000+40,000+140,000+60,000 1,200,000
(5)の総原価 上記の区分を積み上げた金額 1,200,000
判定 一致 検算成立

さらに、発生形態別という別の分類軸で集計しても製造原価に一致します。

発生形態別 計算 金額
材料費計 480,000+70,000 550,000
労務費計 300,000+90,000 390,000
経費計 20,000+40,000 60,000
合計 550,000+390,000+60,000 1,000,000

製品との関連別で積み上げた製造原価1,000,000円と一致します。同じ製造原価を別の分類軸から集計しても同じ金額になることが、分類が正しく行われたことの手がかりになります。

この検算の限界:合計の一致は、個々の費目の分類が正しいことまでは保証しません。たとえば直接材料費と間接材料費のあいだで金額を入れ替えても、両者を足した製造原価1,000,000円は変わりません。同じように材料費と経費のあいだで入れ替えても、発生形態別の合計は変わりません。費目ごとに、どの軸のどの区分に入るのかを一つずつ確かめる必要があります。


問2

次の資料にもとづき、(1)から(3)を求めなさい。

必要資料

ある製造会社の一会計期間の製造原価は900,000円であり、その内訳は操業度との関連から次のように区分されている。販売費および一般管理費は別に180,000円発生している。ここに示したもの以外に原価は発生しておらず、非原価項目も生じていない。

区分 金額(円)
変動製造原価 540,000
固定製造原価 360,000
販売費および一般管理費 180,000

(1) 変動製造原価と固定製造原価の合計額
(2) 総原価
(3) 製造原価に占める変動製造原価の割合(%)

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解答・解説

正答

  • (1) 変動製造原価と固定製造原価の合計額:900,000円
  • (2) 総原価:1,080,000円
  • (3) 製造原価に占める変動製造原価の割合:60%

計算過程

順 項目 計算 金額
1 変動製造原価と固定製造原価の合計 540,000+360,000 900,000
2 総原価 900,000+180,000 1,080,000
3 変動製造原価の割合 540,000÷900,000 60%

解説

(1) 変動費と固定費は操業度との関連による区分です。製造原価をこの軸で2つに分けたものなので、合計すると製造原価に戻ります。資料に示された製造原価900,000円と一致します。

(2) 総原価は製造原価に販売費および一般管理費を加えたものです。900,000+180,000=1,080,000円。

(3) 割合は、製造原価900,000円に対する変動製造原価540,000円の比率です。540,000÷900,000=0.6、すなわち60%です。分母を総原価1,080,000円としないよう注意してください。問われているのは製造原価に占める割合です。

変動費と直接費を同じものと考えない

この設問で用いた区分は操業度との関連によるものであり、製品との関連による直接費・間接費の区分とは別の軸です。「変動費=直接費」「固定費=間接費」という対応はありません。

工場の機械の減価償却費は、特定の製品にたどれないので間接費ですが、一定の操業範囲では生産量が変わっても総額が一定であるため固定費です。一方、複数の製品に共通して使う補助材料は間接費であっても、生産量に応じて増減すれば変動費です。間接費のなかに変動費も固定費もあります。 したがって、この設問の変動製造原価540,000円が直接費の金額を表しているわけではありません。

Validation(検算)

分類した各内訳の合計が総原価に一致することを、別の経路で確認します。

検算 計算 結果
3区分の単純合計 540,000+360,000+180,000 1,080,000
(2)の総原価 製造原価900,000+販売費および一般管理費180,000 1,080,000
判定 一致 検算成立
製造原価との照合 (1)の900,000=資料の製造原価900,000 一致
割合の逆算 900,000×60% 540,000(変動製造原価に一致)

端数は生じません。

この検算の限界:合計の一致は、どの軸で区分されているかを取り違えた場合には成立してしまいます。仮にこの540,000円と360,000円を直接費と間接費の区分だと読み違えても、合計は900,000円のままで検算は通ります。問題文がどの分類軸による区分を示しているのかを、文言に戻って確かめる必要があります。


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