論点:総合
問9:労災保険法に定める保険給付を受ける権利に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- A:療養補償給付及び休業補償給付を受ける権利の消滅時効は5年である。
- B:保険給付を受ける権利は、労働者が退職した場合には消滅する。
- C:保険給付として支給を受けた金品には、所得税が課される。
- D:障害補償給付及び遺族補償給付を受ける権利の消滅時効は5年である。
- E:未支給の保険給付は相続財産となり、相続人が請求する。
【第9問:正解と解説】
正解:D
・A
【選択肢解説】療養補償給付・休業補償給付の時効は2年である。
・B
【選択肢解説】保険給付を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない(法12条の5第1項)。
・C
【選択肢解説】租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金品を標準として課することができない(法12条の6)。
・D
【論点】労災保険の時効(法42条)。【考え方】時効は2つに分かれる。「2年=療養補償給付、休業補償給付、葬祭料、介護補償給付、二次健康診断等給付、各前払一時金」「5年=障害補償給付、遺族補償給付」。すなわち障害と遺族だけが5年である。雇用保険の失業等給付(2年)、徴収法の徴収金(2年)、健康保険の保険給付(2年)と併せて横断整理すると、5年となるのは労災の障害・遺族と、年金給付(厚年・国年)だけであることが分かる。【選択肢解説】障害補償給付・遺族補償給付の時効は5年であるから、本記述は正しい。
・E
【選択肢解説】未支給の保険給付は、受給権者の死亡当時その者と生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹が、自己の名で請求する(法11条)。
論点:総合
問10:労災保険法に定める不服申立てに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- A:保険給付に関する決定に不服がある者は、労働者災害補償保険審査官に対して審査請求をすることができる。
- B:審査請求をした日から3か月を経過しても決定がないときは、審査請求人は、審査請求が棄却されたものとみなすことができる。
- C:保険給付に関する決定の取消訴訟は、原則として審査請求に対する決定を経た後に提起するが、審査請求後3か月を経過しても決定がない場合等には、決定を経ずに提起できる。
- D:審査官の決定に不服がある者は、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができる。
- E:特別支給金の支給に関する決定に不服がある者は、労働者災害補償保険審査官に対して審査請求をすることができる。
【第10問:正解と解説】
正解:E
・A
正しい(=正解肢ではない)。【選択肢解説】法38条のとおりである。
・B
正しい(=正解肢ではない)。【選択肢解説】法38条2項のとおりである。
・C
正しい(=正解肢ではない)。【選択肢解説】労災保険法40条により審査請求前置が原則である。ただし、審査請求後3か月を経過しても決定がない場合、著しい損害を避けるため緊急の必要がある場合、その他決定を経ないことにつき正当な理由がある場合には、行政事件訴訟法8条2項により、決定を経ずに取消訴訟を提起できる。
・D
正しい(=正解肢ではない)。【選択肢解説】法38条1項のとおりである。
・E
【論点】特別支給金の法的性質と不服申立ての対象。【考え方】審査請求の対象となるのは「保険給付に関する決定」である。特別支給金は保険給付ではなく、社会復帰促進等事業(被災労働者等援護事業)として支給されるものであるから、その決定は審査請求の対象とならない。一方、労災就学援護費の支給・不支給の決定については、判例が行政処分に当たるとして抗告訴訟の対象となることを認めている点と区別して理解する必要がある。【選択肢解説】特別支給金の決定は保険給付に関する決定ではなく審査請求の対象とならないから、本記述は誤りであり、これが正解肢となる。

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