問1 不利な価格差異の売上原価への振替
問題
当社は標準原価計算を採用している。月末における価格差異勘定の残高は借方30,000円(不利差異)であった。標準原価差異は売上原価加減法により売上原価勘定へ振り替える。この振替仕訳を示しなさい。
使用可能な勘定科目:売上原価、価格差異、数量差異、仕掛品、製品
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正答仕訳
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売上原価 | 30,000 | 価格差異 | 30,000 |
計算過程・根拠
- 価格差異勘定の残高:借方30,000円(不利差異)
- 振替:残高がある借方の反対側(貸方)に価格差異30,000円を記入し、残高をゼロにする。相手勘定は売上原価(借方)。
- 売上原価への影響:不利差異は売上原価に加算されるため、売上原価は30,000円増加する。
検証
- 貸借一致:借方30,000円 = 貸方30,000円 ✓
- 振替後の価格差異勘定の残高:借方30,000-貸方30,000 = 0 ✓
- 差異の側と売上原価の増減の整合:不利差異(借方残高)→ 売上原価増加(借方記入)✓
解説
不利差異は借方残高として現れます。売上原価加減法では、この借方残高を貸方に振り替えて消し、同額を売上原価の借方に記入します。結果として売上原価が差異の額だけ増加します。「不利差異は売上原価を増やす」という関係と、「差異勘定の残高の反対側に記入する」という手続きの両方を確認してください。
問2 有利な数量差異の売上原価への振替
問題
当社は標準原価計算を採用している。月末における数量差異勘定の残高は貸方12,000円(有利差異)であった。標準原価差異は売上原価加減法により売上原価勘定へ振り替える。この振替仕訳を示し、売上原価が増加するか減少するかを答えなさい。
使用可能な勘定科目:売上原価、価格差異、数量差異、仕掛品、製品
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正答仕訳
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 数量差異 | 12,000 | 売上原価 | 12,000 |
売上原価:12,000円減少
計算過程・根拠
- 数量差異勘定の残高:貸方12,000円(有利差異)
- 振替:残高がある貸方の反対側(借方)に数量差異12,000円を記入し、残高をゼロにする。相手勘定は売上原価(貸方)。
- 売上原価への影響:有利差異は売上原価から減算されるため、売上原価は12,000円減少する。
検証
- 貸借一致:借方12,000円 = 貸方12,000円 ✓
- 振替後の数量差異勘定の残高:貸方12,000-借方12,000 = 0 ✓
- 差異の側と売上原価の増減の整合:有利差異(貸方残高)→ 売上原価減少(貸方記入)✓
解説
有利差異は貸方残高として現れます。不利差異の場合と借方・貸方が逆になり、売上原価は貸方に記入されて減少します。「差異勘定が借方に来るか貸方に来るか」は残高の側で機械的に決まるので、有利・不利の判定を残高の側から読み取ってから仕訳を切ると誤りを防げます。
問3 材料費差異の個別振替
問題
当社は標準原価計算を採用している。月末における直接材料費に関する差異勘定の残高は、価格差異が借方30,000円(不利差異)、数量差異が貸方10,000円(有利差異)であった。標準原価差異は売上原価加減法により、差異勘定ごとに売上原価勘定へ振り替える。振替仕訳を示し、売上原価の純増減額を答えなさい。
使用可能な勘定科目:売上原価、価格差異、数量差異、仕掛品、製品
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正答仕訳
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売上原価 | 30,000 | 価格差異 | 30,000 |
| 数量差異 | 10,000 | 売上原価 | 10,000 |
売上原価の純増減:20,000円増加
計算過程・根拠
- 価格差異:借方残高30,000円(不利)→ 貸方に30,000円を記入して消し、売上原価30,000円を借方に記入(売上原価30,000円増加)
- 数量差異:貸方残高10,000円(有利)→ 借方に10,000円を記入して消し、売上原価10,000円を貸方に記入(売上原価10,000円減少)
- 純額:売上原価 +30,000円-10,000円 = 20,000円増加
検証
- 貸借一致:借方合計 30,000+10,000 = 40,000円、貸方合計 30,000+10,000 = 40,000円 ✓
- 振替後の各差異勘定の残高:価格差異 0、数量差異 0 ✓
- 売上原価勘定への記入:借方30,000円、貸方10,000円 → 差引借方20,000円(増加)✓
- 差異純額との整合:不利30,000円-有利10,000円 = 不利20,000円 → 売上原価20,000円増加 ✓
解説
複数の差異を振り替えるときは、差異ごとに1本ずつ仕訳を切り、それぞれの差異勘定の残高をゼロにします。売上原価は不利差異の分だけ借方に、有利差異の分だけ貸方に記入され、純額としては不利差異が有利差異を上回る20,000円の増加となります。2本の仕訳を合算して「売上原価20,000/価格差異20,000」のように1本にまとめると、各差異勘定に残高が残るため、個別振替の指示に従っていません。
問4 複数差異の売上原価加減
問題
当社は標準原価計算を採用している。月末における各差異勘定の残高は次のとおりであった。
| 差異勘定 | 残高 | 有利・不利 |
|---|---|---|
| 価格差異 | 借方 20,000円 | 不利差異 |
| 数量差異 | 貸方 8,000円 | 有利差異 |
| 賃率差異 | 借方 6,000円 | 不利差異 |
| 作業時間差異 | 貸方 4,000円 | 有利差異 |
| 予算差異 | 借方 5,000円 | 不利差異 |
| 能率差異 | 借方 3,000円 | 不利差異 |
| 操業度差異 | 貸方 2,000円 | 有利差異 |
標準原価差異は売上原価加減法により、差異勘定ごとに売上原価勘定へ振り替える。振替仕訳を示し、売上原価の純増減額と、仕訳全体の借方合計・貸方合計を答えなさい。
使用可能な勘定科目:売上原価、価格差異、数量差異、賃率差異、作業時間差異、予算差異、能率差異、操業度差異
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正答仕訳
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売上原価 | 20,000 | 価格差異 | 20,000 |
| 数量差異 | 8,000 | 売上原価 | 8,000 |
| 売上原価 | 6,000 | 賃率差異 | 6,000 |
| 作業時間差異 | 4,000 | 売上原価 | 4,000 |
| 売上原価 | 5,000 | 予算差異 | 5,000 |
| 売上原価 | 3,000 | 能率差異 | 3,000 |
| 操業度差異 | 2,000 | 売上原価 | 2,000 |
売上原価の純増減:20,000円増加
借方合計:48,000円 貸方合計:48,000円
判断根拠
- 各差異勘定について、残高がある側の反対側に同額を記入して残高をゼロにし、相手勘定を売上原価とする。
- 借方残高(不利差異)の差異は貸方に記入し、売上原価を借方へ:価格差異20,000、賃率差異6,000、予算差異5,000、能率差異3,000(不利合計34,000円)
- 貸方残高(有利差異)の差異は借方に記入し、売上原価を貸方へ:数量差異8,000、作業時間差異4,000、操業度差異2,000(有利合計14,000円)
- 売上原価の純増減:不利34,000円-有利14,000円 = 20,000円増加
検証
- 借方合計:売上原価(20,000+6,000+5,000+3,000)= 34,000円 + 数量差異8,000 + 作業時間差異4,000 + 操業度差異2,000 = 48,000円
- 貸方合計:価格差異20,000 + 賃率差異6,000 + 予算差異5,000 + 能率差異3,000 = 34,000円 + 売上原価(8,000+4,000+2,000)= 14,000円 → 48,000円
- 貸借一致:48,000円 = 48,000円 ✓
- 振替後の7つの差異勘定の残高:いずれも0 ✓
- 売上原価勘定:借方34,000円、貸方14,000円 → 差引借方20,000円(増加)✓
- 差異純額との整合:7つの差異の純額は「標準-実際」で -20,000円(不利)→ 売上原価20,000円増加 ✓
検証限界
借方合計と貸方合計の一致、および各差異勘定の残高がゼロになることは、記載された差異残高を反対側へ同額振り替える形式と貸借計算が整合していることを示します。ただし、実際に振替手続が行われたこと、振替前の各差異の金額(20,000円・8,000円など)、有利・不利の判定または勘定対応が正しいことを単独で証明するものではありません。
想定される誤り
- 残高がある側と同じ側に記入し、差異勘定の残高を消すのではなく倍にしてしまう。
- 有利差異と不利差異を区別せず、7つの差異をまとめて貸方に置いて売上原価48,000円増加としてしまう(有利差異14,000円を減算していない)。
- 不利差異と有利差異を相殺して「売上原価20,000/価格差異20,000」のように1本にまとめ、各差異勘定に残高を残してしまう。
- 能率差異・操業度差異を製造間接費勘定へ戻してしまい、売上原価への振替を行わない。
解説
差異の数が増えても手続きは同じです。差異勘定ごとに「残高の反対側に同額」を記入し、相手を売上原価にします。不利差異は売上原価の借方、有利差異は売上原価の貸方に集まり、その差額が売上原価の純増減になります。借方合計・貸方合計は、売上原価の借方34,000円と貸方14,000円をそれぞれ含めて48,000円ずつとなり、一致します。