標準原価差異の分析と会計処理 一問一答 第1問〜第5問

問1 差異式の符号と有利・不利

問題
標準原価計算において、ある差異を「標準原価-実際原価」の向きで計算したところ、結果が正の値となった。この差異の性質と、差異勘定の残高が生じる側の組合せとして正しいものを選びなさい。

  • A. 不利差異であり、差異勘定は借方残高となる
  • B. 有利差異であり、差異勘定は貸方残高となる
  • C. 有利差異であり、差異勘定は借方残高となる
  • D. 不利差異であり、差異勘定は貸方残高となる
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正答:B

解説
「標準-実際」が正の値になるのは、実際原価が標準原価を下回った場合です。実際にかかった原価が少なかったので有利差異であり、有利差異は貸方に記帳されます。したがって差異勘定は貸方残高となります。

  • A:正の値は実際が標準を下回ったことを示すので不利差異ではありません。不利差異・借方残高となるのは負の値の場合です。
  • C:有利差異という判定は正しいものの、有利差異は貸方に記帳されるため、借方残高とはなりません。
  • D:不利差異と貸方残高の組合せは、符号の判定と記帳側の両方が逆になっています。

問2 材料価格差異に用いる数量

問題
直接材料費の価格差異は「(標準単価-実際単価)× 数量」で計算する。この算式の「数量」に用いるものとして正しいものを選びなさい。

  • A. 標準消費量
  • B. 標準消費量と実際消費量の差
  • C. 実際生産量(製品の個数)
  • D. 実際消費量
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正答:D

解説
価格差異は、単価の差(標準単価-実際単価)に実際消費量を掛けて計算します。実際に消費した数量について、単価がどれだけ標準から離れていたかを金額化するものです。数量差異の側で標準単価を用いるため、価格差異で実際消費量を用いることにより、2つの差異の合計が「標準原価-実際原価」と一致します。

  • A:標準消費量は数量差異の算式(標準単価×(標準消費量-実際消費量))に現れる要素であり、価格差異に掛ける数量ではありません。
  • B:標準消費量と実際消費量の差は数量差異の「数量の差」の部分です。価格差異は「単価の差」に掛ける数量を問うており、差ではなく実際消費量そのものを用います。
  • C:実際生産量(製品の個数)は標準消費量を求める際に「製品1個あたり標準消費量」に掛けるものであり、価格差異に直接掛ける数量ではありません。材料の消費量(kgなど)と製品の個数は別の量です。

問3 材料数量差異の計算

問題
当月の直接材料費に関する資料は次のとおりである。標準単価500円/kg、実際単価480円/kg、標準消費量2,000kg、実際消費量2,100kg。差異は「標準-実際」で計算する。このとき、数量差異の金額と有利・不利の組合せとして正しいものを選びなさい。

  • A. 50,000円の不利差異
  • B. 48,000円の不利差異
  • C. 42,000円の有利差異
  • D. 8,000円の不利差異
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正答:A

解説
数量差異 = 標準単価 ×(標準消費量-実際消費量)= 500円 ×(2,000kg-2,100kg)= -50,000円。負の値なので不利差異(借方)です。実際消費量が標準消費量を100kg上回った分を、標準単価で金額化しています。

  • B:48,000円は実際単価480円 ×(2,000kg-2,100kg)の絶対値です。数量差異は標準単価で計算するため、実際単価を用いた48,000円は誤りです。
  • C:42,000円の有利差異は価格差異((500円-480円)× 2,100kg = +42,000円)であり、数量差異ではありません。
  • D:8,000円の不利差異は価格差異と数量差異の合計(42,000円-50,000円 = -8,000円)、すなわち直接材料費差異の純額であり、数量差異単独の金額ではありません。

問4 直接労務費差異の分解

問題
直接労務費差異を賃率差異と作業時間差異に分解する場合、差異を「標準-実際」で計算するときの算式の組合せとして正しいものを選びなさい。

  • A. 賃率差異 =(標準賃率-実際賃率)× 標準作業時間、作業時間差異 = 実際賃率 ×(標準作業時間-実際作業時間)
  • B. 賃率差異 =(標準賃率-実際賃率)× 標準作業時間、作業時間差異 = 標準賃率 ×(標準作業時間-実際作業時間)
  • C. 賃率差異 =(標準賃率-実際賃率)× 実際直接作業時間、作業時間差異 = 標準賃率 ×(標準作業時間-実際作業時間)
  • D. 賃率差異 =(標準賃率-実際賃率)× 実際直接作業時間、作業時間差異 = 実際賃率 ×(標準作業時間-実際作業時間)
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正答:C

解説
賃率差異は「賃率の差 × 実際直接作業時間」、作業時間差異は「標準賃率 × 作業時間の差」で計算します。材料費の価格差異・数量差異と同じ構造で、率の差には実際量を、量の差には標準率を掛けます。この組合せにより、賃率差異と作業時間差異の合計が「標準原価-実際原価」と一致します。

  • A:賃率差異に標準作業時間を掛け、作業時間差異に実際賃率を掛けており、2つとも掛ける相手が逆になっています。
  • B:作業時間差異の算式は正しいものの、賃率差異に標準作業時間を掛けている点が誤りです。賃率差異は実際直接作業時間を用います。
  • D:賃率差異の算式は正しいものの、作業時間差異に実際賃率を掛けている点が誤りです。作業時間差異は標準賃率を用います。

問5 製造間接費の予算許容額

問題
製造間接費について公式法変動予算を採用している。変動費率は直接作業時間1時間あたり300円、固定費予算は月額200,000円(基準操業度1,000時間)である。当月の標準操業度は800時間、実際操業度は850時間であった。当月の予算許容額として正しいものを選びなさい。

  • A. 440,000円
  • B. 455,000円
  • C. 500,000円
  • D. 425,000円
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正答:B

解説
予算許容額 = 固定費予算 + 変動費率 × 実際操業度 = 200,000円 + 300円 × 850時間 = 455,000円。予算許容額は、実際の操業度のもとで認められる製造間接費の予算額であり、変動費部分を実際操業度で計算します。

  • A:440,000円は 200,000円 + 300円 × 800時間 であり、変動費部分を標準操業度で計算しています。予算許容額は実際操業度で計算します。
  • C:500,000円は(300円+200円)× 1,000時間 であり、基準操業度における予算総額です。当月の実際操業度850時間に対応する許容額ではありません。
  • D:425,000円は(300円+200円)× 850時間 であり、固定費を変動費と同様に操業度に比例させて計算しています。固定費は基準操業度で定めた予算額200,000円を操業度にかかわらず用います。

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