支配獲得後の連結(開始仕訳・のれん償却・純利益と配当) 一問一答 第6問〜第8問

問6

2027年10月1日、P社はS社の発行済株式の75%を3,400,000円で取得し、支配を獲得した。同日のS社の資本は、資本金2,500,000円、繰越利益剰余金1,500,000円である。S社の資産・負債は帳簿価額と時価が一致しており、評価差額は生じていない。段階的な取得ではない。のれんは10年で償却する。S社の決算日は3月31日である。

第1年度(2027年10月1日〜2028年3月31日)のS社の支配獲得後の当期純利益は400,000円、配当は80,000円であった。

第1年度ののれん償却額と、2028年4月1日の非支配株主持分当期首残高の組合せとして正しいものを選びなさい。

A. のれん償却額40,000円/非支配株主持分当期首残高1,080,000円
B. のれん償却額40,000円/非支配株主持分当期首残高1,100,000円
C. のれん償却額20,000円/非支配株主持分当期首残高1,080,000円
D. のれん償却額20,000円/非支配株主持分当期首残高1,100,000円

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解答・解説

正答: C

正答理由:のれんは3,400,000-4,000,000×75%=400,000円、年間償却額は400,000÷10=40,000円です。支配獲得日から決算日までは6か月なので、第1年度の償却額は40,000×6÷12=20,000円です。非支配株主持分は、支配獲得日の4,000,000×25%=1,000,000円に、利益按分400,000×25%=100,000円を加え、配当減額80,000×25%=20,000円を差し引いて1,080,000円です。

誤答理由

  • A:のれん償却額に年間の40,000円を置いています。支配獲得日が期の途中なので、最初の年度は支配獲得後の6か月で月割します。
  • B:のれん償却額が年額のままである点に加え、非支配株主持分1,100,000円は配当による減額20,000円を差し引いていない金額です。
  • D:非支配株主持分に1,100,000円を置いています。配当減額20,000円が差し引かれていません。償却額20,000円は正しく求められています。

問7

2027年4月1日、P社はS社の発行済株式の80%を4,500,000円で取得し、支配を獲得した。同日のS社の資本は、資本金3,000,000円、繰越利益剰余金2,000,000円である。S社の資産・負債は帳簿価額と時価が一致しており、評価差額は生じていない。段階的な取得ではない。のれんは10年で償却する。S社の決算日は3月31日である。

第1年度(2027年4月1日〜2028年3月31日)のS社の当期純利益は600,000円、配当は200,000円であった。

2028年4月1日の開始仕訳として正しいものを選びなさい。

A. 借 資本金当期首残高3,000,000・利益剰余金当期首残高2,130,000・のれん450,000/貸 子会社株式4,500,000・非支配株主持分当期首残高1,080,000(貸借合計5,580,000)
B. 借 資本金当期首残高3,000,000・利益剰余金当期首残高2,000,000・のれん500,000/貸 子会社株式4,500,000・非支配株主持分当期首残高1,000,000(貸借合計5,500,000)
C. 借 資本金当期首残高3,000,000・利益剰余金当期首残高2,170,000・のれん450,000/貸 子会社株式4,500,000・非支配株主持分当期首残高1,120,000(貸借合計5,620,000)
D. 借 資本金当期首残高3,000,000・利益剰余金当期首残高2,080,000・のれん500,000/貸 子会社株式4,500,000・非支配株主持分当期首残高1,080,000(貸借合計5,580,000)

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解答・解説

正答: A

正答理由:支配獲得日の資本連結(資本金3,000,000・繰越利益剰余金2,000,000・のれん500,000/子会社株式4,500,000・非支配株主持分1,000,000)に、前年度の3つの修正を足し込みます。のれん償却50,000円と利益按分120,000円は利益剰余金当期首残高の借方を増やし、配当修正の正味40,000円は借方を減らします。利益剰余金当期首残高は2,000,000+50,000+120,000-40,000=2,130,000円、のれんは500,000-50,000=450,000円、非支配株主持分当期首残高は1,000,000+120,000-40,000=1,080,000円です。借方合計・貸方合計はともに5,580,000円になります。

誤答理由

  • B:支配獲得日の資本連結をそのまま置いており、前年度の修正がまったく反映されていません。開始仕訳は前年度末までの調整を引き継ぐものです。
  • C:利益剰余金当期首残高2,170,000円と非支配株主持分当期首残高1,120,000円は、いずれも配当による減額40,000円を落とした金額です。子会社の配当のうち非支配株主へ支払われた分は、非支配株主持分を減らし、利益剰余金当期首残高も同額だけ小さくなります。
  • D:のれんを500,000円のままとし、利益剰余金当期首残高からも前年度償却額50,000円を落としています。2か所を同じ額だけ落としているため借方合計は5,580,000円のままで、貸借の一致では気づけません。 のれんが前年度末の未償却残高になっているかを、償却額から直接確かめる必要があります。

判断根拠:3段階で判断します。第1に、開始仕訳の骨格は支配獲得日の資本連結と同じ5項目であること。第2に、前年度の損益項目(のれん償却・利益按分・受取配当金の消去)は利益剰余金当期首残高に置き換えること。第3に、資産・純資産であるのれんと非支配株主持分は、前年度末の残高で引き継ぐことです。配当修正だけは利益剰余金を減らす向きに働きます。 貸方の繰越利益剰余金200,000円と借方の受取配当金160,000円の差である40,000円が、正味の増加分として利益剰余金当期首残高の借方から差し引かれるためです。

検証:借方3,000,000+2,130,000+450,000=5,580,000円、貸方4,500,000+1,080,000=5,580,000円で一致します。あわせて、のれんが500,000-50,000=450,000円であること、非支配株主持分が1,000,000+120,000-40,000=1,080,000円であることを、残高の動きから個別に確かめます。貸借の一致だけでは選択肢Dのような誤りを見つけられないため、この2つの確認を省略できません。

想定される誤り:ひとつは配当による非支配株主持分の減額を落とすことで、この場合は利益剰余金当期首残高と非支配株主持分の両方が40,000円ずつ大きくなります。ふたつめは前年度ののれん償却を引き継がず、のれんを支配獲得日の金額のままにすることです。利益剰余金当期首残高からも同時に落とすと貸借は一致してしまいます。三つめは、前年度の損益項目をのれん償却や非支配株主に帰属する当期純利益の科目名のまま開始仕訳に書いてしまうことで、これらは当期首の残高としては存在しません。


問8

2027年4月1日、P社はS社の発行済株式の80%を4,500,000円で取得し、支配を獲得した。同日のS社の資本は、資本金3,000,000円、繰越利益剰余金2,000,000円である。S社の資産・負債は帳簿価額と時価が一致しており、評価差額は生じていない。段階的な取得ではない。のれんは10年で償却する。S社の決算日は3月31日である。

第1年度(2027年4月1日〜2028年3月31日)のS社の当期純利益は600,000円、配当は200,000円であった。第2年度(2028年4月1日〜2029年3月31日)のS社の当期純利益は800,000円、配当は300,000円であった。

第2年度の連結修正をすべて行ったあとの、のれんと非支配株主持分の組合せとして正しいものを選びなさい。

A. のれん450,000円/非支配株主持分1,180,000円
B. のれん400,000円/非支配株主持分1,180,000円
C. のれん400,000円/非支配株主持分1,240,000円
D. のれん400,000円/非支配株主持分1,080,000円

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解答・解説

正答: B

正答理由:第2年度の期首は、のれん450,000円・非支配株主持分1,080,000円です。当期の修正は、のれん償却50,000円、利益按分800,000×20%=160,000円、配当減額300,000×20%=60,000円の3つです。のれんは450,000-50,000=400,000円、非支配株主持分は1,080,000+160,000-60,000=1,180,000円になります。

誤答理由

  • A:のれんに450,000円を置いています。これは第2年度の期首残高であり、当期の償却額50,000円が引かれていません。
  • C:非支配株主持分に1,240,000円を置いています。これは利益按分160,000円は加えたものの、配当減額60,000円を差し引いていない金額です。
  • D:非支配株主持分に1,080,000円を置いています。これは第2年度の期首残高であり、当期の利益按分と配当減額がどちらも反映されていません。

判断根拠:期首残高から出発し、当期の増減を1つずつ加えます。のれんは償却によって減るだけです。非支配株主持分は、利益按分によって増え、配当によって減ります。増える要因と減る要因が同時にあるのは非支配株主持分だけなので、どちらか一方を落とす誤りが起きやすい箇所です。前年度と当期を区別することも必要で、第1年度の当期純利益600,000円と配当200,000円は開始仕訳ですでに反映済みであり、当期の修正には第2年度の800,000円と300,000円を使います。

検証:のれんは支配獲得日500,000円から2年分の償却100,000円を引いて400,000円となり、期首450,000円から50,000円を引いた結果と一致します。非支配株主持分は、支配獲得日1,000,000円に2年分の利益按分120,000+160,000=280,000円を加え、2年分の配当減額40,000+60,000=100,000円を引いて1,180,000円となり、期首1,080,000円から積み上げた結果と一致します。2つの経路で同じ値に到達することが確認の手がかりになります。 ただし、非支配比率を持分比率と取り違えた場合はどちらの経路も同じ誤った値になるため、この確認では見つかりません。20%が非支配株主の割合であることを問題文で確かめる必要があります。

想定される誤り:ひとつは当期ののれん償却を忘れ、期首残高450,000円のままにすることです。ふたつめは配当による減額を落とし、非支配株主持分を1,240,000円としてしまうことです。三つめは、開始仕訳で反映済みの第1年度の利益と配当を当期の修正でもう一度使ってしまうことで、この場合は非支配株主持分が二重に増減します。


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