連結会計の基礎と支配獲得日の資本連結

学習のポイント

① 支配している会社をまとめて見る

ある会社が別の会社の株式を過半数持ち、その会社を支配していることがあります。支配する側を親会社、支配される側を子会社といいます。

親会社と子会社は法律上は別の会社ですが、経済的には一体です。そこで、両社を1つの会社とみなした財務諸表を作ります。これを連結財務諸表といいます。

② 連結修正仕訳はどこに書くのか

ここで最も大切な点です。

連結修正仕訳は、親会社の帳簿にも子会社の帳簿にも記帳しません。

親会社と子会社は、それぞれ自分の帳簿を通常どおりつけています。連結財務諸表は、その2つを合算したうえで、別の用紙(連結ワークシート)の上で調整して作ります。連結修正仕訳は、この調整のための仕訳です。

何を どこに書くか
親会社が子会社株式を買った仕訳 親会社の帳簿に実際に記帳する
連結修正仕訳 連結ワークシート上の調整(帳簿には記帳しない)

③ 投資と資本の相殺消去

親会社の帳簿には、買った子会社株式が資産として載っています。

一方、子会社の帳簿には、資本金や繰越利益剰余金が純資産として載っています。

両社を1つの企業集団として見ると、親会社の「子会社株式」と、それに対応する子会社の資本は企業集団内部の投資と資本の関係です。これらをそのまま並べると、企業集団内部の関係が連結財務諸表に残ってしまいます。

そこで、親会社の投資(子会社株式)と子会社の資本を連結上で相殺します。 子会社資本は全額を消去し、親会社以外の株主に帰属する部分は非支配株主持分として改めて表示します。取得原価と親会社持分との差額が正であれば、のれんを認識します。これが支配獲得日の資本連結です。

④ 全部を持っていない場合

親会社が子会社株式を100%持っているとは限りません。80%だけ持っている場合、残りの20%は他の株主のものです。

子会社の資本のうち、

  • 親会社の分 → 相殺消去の対象
  • それ以外の株主の分 → 非支配株主持分

として、連結貸借対照表の純資産に表示します。

親会社持分 = 子会社資本 × 持分比率
非支配株主持分 = 子会社資本 × 非支配比率

子会社資本が5,000,000円で持分比率が80%なら、親会社持分4,000,000円、非支配株主持分1,000,000円です。

⑤ のれん

親会社が払った取得原価と、消える親会社持分は、必ずしも同じ額ではありません。

のれん = 子会社株式の取得原価 - 親会社持分

取得原価のほうが大きければ、その差額をのれんとして資産に計上します。子会社の純資産の額を超えて払ったのは、それだけの価値を認めたからだと考えます。

取得原価4,500,000円、親会社持分4,000,000円なら、のれんは500,000円です。

引く相手は親会社持分です。子会社資本の全額でも、非支配株主持分でもありません。

⑥ 支配獲得日の連結修正仕訳

以上をまとめると、支配獲得日の連結修正仕訳は次の形になります。

借方 貸方
資本金(子会社の全額) 子会社株式(取得原価)
繰越利益剰余金(子会社の全額) 非支配株主持分
のれん

借方の資本金と繰越利益剰余金は、子会社の全額です。親会社の持分だけを消すのではありません。全額を消したうえで、他の株主の分を非支配株主持分として貸方に立て直します。

次の例で確かめます。

借方 金額 貸方 金額
資本金 3,000,000 子会社株式 4,500,000
繰越利益剰余金 2,000,000 非支配株主持分 1,000,000
のれん 500,000
合計 5,500,000 合計 5,500,000

⑦ 100%持っている場合

100%取得なら、他の株主はいません。

  • 非支配株主持分 → 0
  • のれん → 取得原価と子会社資本が同額なら 0

このとき貸方は子会社株式だけになります。

借方 金額 貸方 金額
資本金 2,000,000 子会社株式 2,500,000
繰越利益剰余金 500,000
合計 2,500,000 合計 2,500,000

100%の場合を先に見ておくと、部分所有では非支配株主持分が貸方に加わるという違いが分かります。

⑧ 算定の手順

  1. 子会社資本を合計する(資本金+繰越利益剰余金)
  2. 持分比率を掛けて親会社持分を出す
  3. 非支配比率を掛けて非支配株主持分を出す
  4. 取得原価から親会社持分を引いてのれんを出す
  5. 仕訳に並べ、借方合計と貸方合計が一致することを確かめる

⑨ 検算

  • 親会社持分と非支配株主持分を足すと、子会社資本の合計になるか
  • のれんを引く相手が親会社持分になっているか
  • 借方合計と貸方合計が一致しているか

1つ目は、親会社持分と非支配株主持分の合計が子会社資本に戻るかを確認する検算です。ただし、80%と20%をそっくり入れ替えた場合は合計が変わらないため、この検算では見つかりません。比率を掛ける相手そのものを問題文で確認する必要があります。2つ目は、のれんの算式で取得原価と親会社持分の関係を確認するための検算です。

⑩ ここで扱わない範囲

  • 子会社の資産・負債を時価で評価し直す処理
  • 何回かに分けて株式を取得した場合の処理
  • 支配を獲得したあとに株式を買い足したり売ったりする場合の処理
  • 支配獲得日より後の期に行う処理(前期までの修正の引き継ぎ、のれんを毎期費用にしていく処理、子会社の利益を株主で分ける処理、子会社が配当した場合の処理)

これらは扱いません。ここでは支配獲得日の1本の仕訳だけを考えます。

のれんを何年で費用にしていくかは問題文に与えられますが、この単元では支配獲得日直後の資本連結を扱うため、その時点ではのれんの償却仕訳を行いません。 のれんの償却は支配獲得後の期間に対応する後続の処理で扱います。


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