電験三種(第三種電気主任技術者)「電力」のうち、揚水発電の問題です(大分類:水力発電・重要度A)。一問一答6問 → 五肢択一6問の順に解き、解答・解説は各問題の下を開いて確認してください。
一問一答(○×)
重要度:A 難易度:★☆☆
問1:揚水発電所は、電力需要の少ない時間帯に上部貯水池の水を下部貯水池へ流して発電し、電力需要の多い時間帯に揚水する。
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正解:×
逆です。電力に余裕のある(需要の少ない)時間帯に下部貯水池から上部貯水池へ揚水し、需要の多い時間帯に発電します。
重要度:A 難易度:★☆☆
問2:揚水発電所の総合効率は、損失落差を十分に小さくすれば100%を超えることがある。
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正解:×
揚水発電はエネルギーを貯えて取り出すだけなので、ポンプ・電動機・水車・発電機の変換損失と損失落差のために、総合効率は必ず100%未満になります。
重要度:A 難易度:★☆☆
問3:可逆式のポンプ水車と発電電動機を用いる揚水発電所では、揚水運転のときと発電運転のときで、回転の向きが逆になる。
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正解:○
1台の機械をポンプと水車の両方に使うため、揚水時は発電時と逆方向に回転させて水を送り上げます。
重要度:A 難易度:★★☆
問4:混合揚水式の揚水発電所は、上部貯水池に河川からの自然流入があり、揚水した水に加えて自然流量による発電も行う。
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正解:○
純揚水式は上部貯水池への河川の流入がほとんどなく、揚水した水だけで発電します。混合揚水式は自然流量による発電も行います。
重要度:A 難易度:★★☆
問5:揚水運転では、ポンプが必要とする全揚程は総落差に損失落差を加えたものとなり、発電運転では、有効落差は総落差から損失落差を差し引いたものとなる。
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正解:○
揚水時は損失の分だけ余分に持ち上げる必要があるのでH+h、発電時は損失の分だけ使える落差が減るのでH−hとなります(H:総落差、h:損失落差)。
重要度:A 難易度:★★☆
問6:揚水発電所の総合効率は、発電時の効率(水車効率×発電機効率)と揚水時の効率(ポンプ効率×電動機効率)の積だけで決まり、損失落差の影響は受けない。
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正解:×
総合効率=ηtηgηpηm×(H−h)/(H+h)です。損失落差hがあると発電時の落差が減り、揚水時の揚程が増えるため、総合効率は低くなります。
五肢択一
重要度:A 難易度:★☆☆
問7:総落差300m、損失落差10mの揚水発電所で、流量50m³/sで発電運転している。水車効率0.90、発電機効率0.98のとき、発電機出力〔MW〕の値として、最も近いものはどれか。
- 125.3
- 127.9
- 129.7
- 134.0
- 142.1
【第7問:正解と解説】
正解:1
正解は1です。
P=9.8Q(H−h)ηtηg=9.8×50×(300−10)×0.90×0.98≒125,332kW≒125.3MW
1:正しい。
2:誤り。水車効率だけを掛け、発電機効率を掛けていません。
3:誤り。損失落差を差し引いていません。
4:誤り。損失落差を総落差に加えています。発電時は差し引きます。
5:誤り。効率を掛けていません。
重要度:A 難易度:★★☆
問8:総落差300m、損失落差10mの揚水発電所で、揚水流量40m³/sで揚水運転している。ポンプ効率0.88、電動機効率0.98のとき、電動機入力〔MW〕の値として、最も近いものはどれか。
- 104.8
- 121.5
- 131.8
- 136.4
- 140.9
【第8問:正解と解説】
正解:5
正解は5です。
全揚程:H+h=300+10=310m
P=9.8Q(H+h)/(ηpηm)=9.8×40×310/(0.88×0.98)=121,520/0.8624≒140,909kW≒140.9MW
1:誤り。効率で割らずに掛けています。入力は出力より大きくなります。
2:誤り。効率を考えていません。
3:誤り。損失落差を差し引いています。揚水時は総落差に加えます。
4:誤り。損失落差を考えていません。
5:正しい。
重要度:A 難易度:★☆☆
問9:総落差200mの揚水発電所がある。損失落差は発電時・揚水時ともに4mとする。上部貯水池の有効貯水量は3.6×10⁶m³で、揚水流量は100m³/s、発電流量は125m³/sである。水車効率0.90、発電機効率0.98、ポンプ効率0.85、電動機効率0.98とし、いずれも運転状態によらず一定とする。
(a) 上部貯水池が空の状態から有効貯水量いっぱいまで揚水するのに要する時間〔h〕の値として、最も近いものはどれか。
- 8.0
- 10.0
- 12.5
- 600.0
- 36,000.0
【第9問:正解と解説】
正解:2
正解は2です。
揚水時間=有効貯水量÷揚水流量=3.6×10⁶/100=36,000s
36,000/3,600=10.0h
1:誤り。発電流量125m³/sで割っています。揚水流量100m³/sを使います。
2:正しい。
3:誤り。発電流量と揚水流量の比を掛けています。
4:誤り。秒を分に換算した値です。時間にするには3,600で割ります。
5:誤り。秒のまま答えています。
重要度:A 難易度:★★☆
問10:総落差200mの揚水発電所がある。損失落差は発電時・揚水時ともに4mとする。上部貯水池の有効貯水量は3.6×10⁶m³で、揚水流量は100m³/s、発電流量は125m³/sである。水車効率0.90、発電機効率0.98、ポンプ効率0.85、電動機効率0.98とし、いずれも運転状態によらず一定とする。
(b) この揚水発電所の総合効率〔%〕(発電電力量÷揚水に要した電力量)の値として、最も近いものはどれか。
- 67.8
- 70.6
- 72.0
- 73.5
- 76.5
【第10問:正解と解説】
正解:2
正解は2です。
同じ水量Vを揚水して発電するとき
発電電力量∝9.8V(H−h)ηtηg、揚水電力量∝9.8V(H+h)/(ηpηm)
総合効率=ηtηgηpηm×(H−h)/(H+h)
=0.90×0.98×0.85×0.98×196/204≒0.7347×0.9608≒0.706 → 70.6%
1:誤り。落差の比を2回掛けています。
2:正しい。
3:誤り。発電時の損失落差だけを考え、揚水時の損失落差を考えていません。
4:誤り。損失落差の影響((H−h)/(H+h))を考えていません。
5:誤り。落差の比を逆に掛けています。(H−h)/(H+h)=196/204です。
重要度:A 難易度:★☆☆
問11:次の文章の空欄(ア)〜(エ)に当てはまる語句の組み合わせとして、正しいものはどれか。
揚水発電所は、電力需要の(ア)時間帯に揚水し、(イ)時間帯に発電する。揚水時の全揚程は、総落差に損失落差を(ウ)ものとなる。揚水発電所の総合効率は必ず100%(エ)となる。
- (ア)多い (イ)少ない (ウ)加えた (エ)未満
- (ア)少ない (イ)多い (ウ)差し引いた (エ)未満
- (ア)少ない (イ)多い (ウ)加えた (エ)以上
- (ア)多い (イ)少ない (ウ)差し引いた (エ)以上
- (ア)少ない (イ)多い (ウ)加えた (エ)未満
【第11問:正解と解説】
正解:5
正解は5です。
1:誤り。(ア)と(イ)が逆です。電力に余裕のある需要の少ない時間帯に揚水します。
2:誤り。揚水時は損失落差の分だけ余分に持ち上げるので、総落差に損失落差を加えます。
3:誤り。変換損失と損失落差があるため、総合効率は100%未満です。
4:誤り。(ア)(イ)が逆で、(ウ)(エ)も誤りです。
5:正しい。
重要度:A 難易度:★☆☆
問12:ある揚水発電所で、電動機入力200MWで8時間揚水し、その水をすべて使って発電機出力240MWで5時間発電した。この揚水発電所の総合効率〔%〕の値として、最も近いものはどれか。
- 133.3
- 120.0
- 83.3
- 75.0
- 62.5
【第12問:正解と解説】
正解:4
正解は4です。
揚水に要した電力量:200×8=1,600MWh
発電電力量:240×5=1,200MWh
総合効率=1,200/1,600×100=75.0%
1:誤り。揚水電力量÷発電電力量と逆に計算しています。
2:誤り。電力の比だけをとり、時間を考えていません。
3:誤り。電力の比を逆にとり、時間を考えていません。
4:正しい。
5:誤り。運転時間の比だけをとっています。電力量(電力×時間)で比べます。
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