問6
同一の資料についてパーシャル・プランとシングル・プランで記帳したときの比較として正しいものを1つ選びなさい。
A. 完成品標準原価はパーシャル・プランのほうが大きくなる
B. 期末仕掛品標準原価はシングル・プランのほうが小さくなる
C. 総差異の金額は2つのプランで異なる
D. 完成品標準原価・期末仕掛品標準原価・総差異の最終額は一致し、差異を把握する勘定の場所が異なる
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解答・解説
正答: D
正答理由:原価標準も生産データも実際原価も同じである以上、完成品標準原価・期末仕掛品標準原価・総差異の最終額は一致します。異なるのは、差異をどの勘定で把握するかという場所だけです。パーシャル・プランは仕掛品勘定、シングル・プランは費目勘定の側で把握します。
誤答理由
- A:完成品標準原価は
原価標準 × 完成品数量で求めます。記帳方法を変えても原価標準も完成品数量も変わりません。 - B:期末仕掛品標準原価も原価標準と換算量から求めます。記帳方法によって換算量は変わりません。
- C:総差異は
実際製造原価 - 当期標準製造原価です。どちらの値も記帳方法では変わらないため、総差異も変わりません。
問7
当期標準製造原価が940,000円、実際製造原価が920,000円であった。標準原価差異の金額と記入する側の組み合わせとして正しいものを1つ選びなさい。
A. 有利差異20,000円、貸方
B. 不利差異20,000円、借方
C. 有利差異20,000円、借方
D. 不利差異20,000円、貸方
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解答・解説
正答: A
正答理由:総差異 = 実際製造原価 - 当期標準製造原価 = 920,000 - 940,000 = △20,000円 です。標準原価が実際原価を上回っているので、目標より少ない原価で済んだことになり有利差異です。有利差異は貸方に記入します。
パーシャル・プランであれば、差異振替の仕訳は 仕掛品 20,000 / 標準原価差異 20,000 となります。
誤答理由
- B:金額の大小関係を逆に読んでいます。実際原価のほうが小さいので不利差異ではありません。
- C:有利差異という判断は正しいものの、記入する側が逆です。有利差異は貸方に記入します。
- D:不利差異という判断と記入する側の両方が正しくありません。不利差異は借方です。
判断根拠
3段階で判断します。
第1に、差の向きを式で確認します。実際 - 標準 で計算すると920,000-940,000=△20,000円です。負の値は実際原価のほうが小さいことを意味します。
第2に、有利・不利を判定します。目標である標準原価より実際原価が小さいので、有利差異です。金額の絶対値は20,000円です。
第3に、記入する側を決めます。不利差異は借方、有利差異は貸方です。ここでは有利差異なので貸方に記入します。パーシャル・プランでは、仕掛品勘定の借方(実際原価920,000円)が貸方(標準原価940,000円)より小さいため、貸借を合わせるには借方に20,000円を追加することになり、相手勘定である 標準原価差異 が貸方になります。
検証
| 検証項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 差異の調整 | 920,000+20,000 | 940,000=940,000 |
| 差異の向き | 実際920,000 と 標準940,000 | 実際が小さい(有利) |
| 記入する側 | 有利差異 | 貸方 |
この検証の限界:差異の調整の一致は、総差異を実際原価と標準原価の差として求めた以上、定義上必ず成立します。差異額を差額で求めて調整式を成立させただけでは、標準原価差異勘定の借貸表示まで確認したことにはなりません。また、仕訳の貸借合計は借方・貸方のどちらに差異を置いても一致します。貸借一致は差異の借貸を証明しません。 実際原価と標準原価のどちらが大きいかを、金額に戻って確かめる必要があります。
想定される誤り:ひとつは、標準 - 実際 の順で計算して符号の意味を取り違えることです。ふたつめは、有利差異と判定しながら借方に記入してしまうことです。三つめは、貸借が一致したことをもって差異の向きまで正しいと判断してしまうことです。
問8
標準原価計算の計算を終え、次の2つを確かめたところ、どちらも一致した。
- 標準フロー:完成品標準原価 + 期末仕掛品標準原価 = 当期標準製造原価
- 差異の調整:実際製造原価 = 当期標準製造原価 + 不利差異
このとき、この確認から言えることとして正しいものを1つ選びなさい。
A. 標準消費量と標準単価が問題文の指定どおりであることが確かめられる
B. パーシャル・プランとシングル・プランのうち指定された方法で記帳したことが確かめられる
C. 標準原価の内訳と実際原価・差異の金額関係が整合していることは確かめられるが、標準消費量、標準単価、実際数量、進捗度、記帳方法の選択は確かめられない
D. 期末仕掛品の加工進捗度を正しく読み取ったことが確かめられる
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解答・解説
正答: C
正答理由:2つの確認はいずれも金額の関係についてのものです。
標準フローの一致は、当期標準製造原価を完成品と期末仕掛品の合計として定義している以上、定義上必ず成立します。 原価標準や換算量が誤っていても、その誤った金額どうしで一致します。
差異の調整の一致も、総差異を実際原価と標準原価の差として求めた以上、定義上必ず成立します。
誤答理由
- A:標準消費量や標準単価を誤れば原価標準が変わり、標準原価も総差異も変わりますが、2つの確認はいずれも成立したままです。確かめられません。
- B:同じ資料であれば、どちらのプランで記帳しても完成品標準原価・期末仕掛品標準原価・総差異の最終額は一致します。金額の関係から記帳方法は判別できません。
- D:進捗度を誤れば期末仕掛品標準原価が変わりますが、その変わった金額で標準フローも差異の調整も成立します。確かめられません。
判断根拠
3段階で判断します。
第1に、標準フローがなぜ必ず成立するのかを見ます。期首仕掛品がない場合、当期標準製造原価は 完成品標準原価 + 期末仕掛品標準原価 として定義されます。移項すれば確認式そのものです。両辺は同じ式です。
第2に、差異の調整がなぜ必ず成立するのかを見ます。総差異は 実際製造原価 - 当期標準製造原価 として求めます。移項すれば 実際製造原価 = 当期標準製造原価 + 総差異 です。これも両辺が同じ式です。
第3に、金額を変えても関係が保たれるかを考えます。原価標準を誤れば標準原価が変わり、総差異も変わりますが、2つの式はその新しい金額どうしで成立します。記帳方法の選択に至っては、どちらを選んでも金額自体が変わりません。
検証
| 確認 | 確かめられること | 確かめられないこと |
|---|---|---|
| 標準フロー | 完成品と期末仕掛品の標準原価の合計が当期標準製造原価として整合している | 原価標準、換算量、進捗度 |
| 差異の調整 | 実際原価と標準原価と差異の金額関係が整合している | 実際数量、実際発生額の転記、記帳方法の選択 |
この検証の限界:ここで述べた内容そのものが限界です。加えて、2つの確認を両方行っても、標準消費量・標準単価・実際数量・進捗度・記帳方法の選択は確かめられません。これらは問題文の指定に戻って確かめる必要があります。
一方、ほかの記入が正しいという条件のもとでは、勘定残高の確認により、差異振替の漏れによる残高不一致を検出できます。パーシャル・プランで差異を振り替えないままだと、仕掛品残高が期末仕掛品標準原価と食い違います。ただし、残高一致だけでは、差異振替という手続の実施や、ほかの記入の正しさまでは証明できません。
想定される誤り:ひとつは、2つの確認が一致したことをもって計算全体が正しいと判断してしまうことです。ふたつめは、標準フローの一致を「定義上必ず成立する」ものではなく独立した確認だと考えてしまうことです。三つめは、金額が一致したことから記帳方法の選択まで確かめられたと考えてしまうことです。