等級別総合原価計算

学習のポイント

① 等級別総合原価計算とは

同じ工程から、同じ種類の製品でありながら大きさや品質の異なるものが生じることがあります。たとえば同じ製造ラインから大・中・小のサイズが出てくる場合です。

このような製品の区分を等級といい、等級ごとに原価を計算する方法を等級別総合原価計算といいます。A級製品・B級製品・C級製品のように呼びます。

等級製品は同じ工程から生じるため、どの等級にいくらかかったかを個別に把握することができません。そこで、完成品にかかった原価をまとめて把握し、それを各等級へ按分します。

② 等価係数

各等級の1個あたりの原価負担能力の比を表したものが等価係数です。

基準となる等級の等価係数を1.0とし、他の等級をその比で表します。たとえばA級の等価係数を1.0としたとき、B級が0.8であれば、B級1個はA級1個の0.8倍の原価を負担するという意味です。

等価係数は問題文で示されます。 解答者が別の係数に置き換えることはしません。

等価係数は加工の進み具合を表すものではありません。 期末仕掛品の加工進捗度とは別のものであり、混同しないようにします。

③ 積数

等価係数は1個あたりの比なので、等級全体が負担すべき原価の比を出すには完成品数量を掛けます。これを積数といいます。

積数 = 等級別完成品数量 × 等価係数

たとえばA級が600個で係数1.0なら積数は600、B級が400個で係数0.75なら積数は300です。積数は原価を分けるための物差しであり、個数そのものではありません。

④ 完成品総合原価を先に確定する

按分の対象は完成品にかかった原価です。期末仕掛品がある場合は、製造原価総額から期末仕掛品原価を先に差し引いて完成品総合原価を求め、その後に按分します。

完成品総合原価 = 製造原価総額 - 期末仕掛品原価

期末仕掛品に等価係数を掛けて等級別に按分することはしません。 期末仕掛品は完成品総合原価の等級別配分対象ではないためです。期末仕掛品原価は仕掛品勘定に残高として残ります。

⑤ 積数比による按分

完成品総合原価を、積数の比で各等級へ分けます。

各等級の配分額 = 完成品総合原価 × 当該等級の積数 ÷ 積数合計

⑥ 等級別単位原価

各等級の配分額を、その等級の完成品数量で割ります。積数で割るのではありません。

等級別単位原価 = 当該等級の配分額 ÷ 当該等級の完成品数量

⑦ 等価係数と単位原価の関係

基準等級の等価係数を1.0としたとき、端数が生じなければ、他の等級の単位原価は基準等級の単位原価に等価係数を掛けた金額になります。

たとえばA級の単位原価が1,000円で、B級の等価係数が0.75であれば、B級の単位原価は750円です。等価係数が1個あたりの原価負担能力の比である以上、単位原価もその比になるからです。

端数処理を行った場合は、この関係にわずかなずれが生じることがあります。

⑧ 等級別製品勘定

完成品は等級ごとの製品勘定へ振り替えます。A級製品・B級製品・C級製品 のように等級名を冠します。

借方 貸方
A級製品 仕掛品
B級製品
C級製品

借方は等級ごとに分け、貸方の 仕掛品 は完成品総合原価の1つの金額です。等級が複数あるときに借方を単一の 製品 にまとめることはしません。

期末仕掛品原価は 仕掛品 勘定に残高として残り、等級別製品へ振り替えず、別の仕訳も行いません。

⑨ 端数処理

積数の比で割り切れないときは端数が生じます。端数処理の方法は問題文で示されます。

端数処理の方法として、一部の等級を円未満で四捨五入し、残りの等級を残額とする指定があります。こうすると、配分額の合計が完成品総合原価とぴったり一致します。

単位原価についても、指示された位で四捨五入します。ただし、丸めた単位原価に数量を掛け戻すと、配分額と数円ずれることがあります。これは丸めによるもので、計算の誤りではありません。ずれが等級間で打ち消し合うこともあれば、残ることもあります。どちらになるかは資料の数値によります。

⑩ 確かめ方

3段階で確かめます。

  1. 等級配分:各等級の配分額の合計 = 完成品総合原価
  2. 全体:完成品総合原価 + 期末仕掛品原価 = 製造原価総額
  3. 単位原価:等級別単位原価 × 当該等級の完成品数量 = 当該等級の配分額(端数処理を行った場合は丸め差に注意)

⑪ 確かめ方の限界

按分の式で分けた以上、各等級の配分額の合計が完成品総合原価と一致することは定義上必ず成立します。 積数がどのような値でも、積数比で分けたものを足し戻せば元に戻るからです。

したがって次の誤りは、等級配分の確認を通過します。

  • 等価係数を取り違える:積数と配分額が変わりますが、合計は完成品総合原価のままです
  • 完成品数量の転記を誤る:同じく積数と配分額が変わるだけです
  • 単位原価を積数で割ってしまう:配分額そのものは変わりません

等級配分の一致は、等価係数、完成品数量、端数処理のいずれの正しさも証明しません。 問題文に戻って一つずつ確かめる必要があります。

一方、全体の確認は、完成品総合原価と期末仕掛品原価が製造原価総額の中で重複なく扱われているかを見ています。期末仕掛品原価を控除せずに製造原価総額をそのまま按分すると、配分額の合計は製造原価総額となり、期末仕掛品原価を足した金額が製造原価総額を超えます。この誤りは全体の確認で見つかります。

⑫ ほかの計算方法との区別

種類の異なる製品を区分し、区分ごとに直接把握できる原価と共通の原価に分けて計算する方法、工程ごとに前の工程の原価を引き継いで積み上げる方法、受注ごとの指図書単位で原価を集計する方法は、ここでは扱いません。

等級別総合原価計算では、同じ工程から生じる同種製品の等級を対象とし、等価係数と積数によって完成品の原価を按分します。

⑬ 年度注記

ここで学ぶ内容は、2026年度・2027年度のどちらにも共通して適用されます。工業簿記・原価計算の出題区分に年度による変更はありません。


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