複数の履行義務を含む顧客との契約 仕訳問題 第1問〜第4問

問1

青森商事株式会社は、弘前商店と次の契約を締結し、本日、商品を引き渡した。保守サービスは翌月から1年間提供する。代金の全額を無条件に請求できるものとし、代金は掛けとする。本日の仕訳を示しなさい。

  • 取引価格 ¥880,000
  • 独立販売価格:商品 ¥800,000、保守サービス ¥300,000
  • 商品の引渡し:本日完了
  • 保守サービス:未提供

使用可能勘定科目

売掛金/売上/契約負債

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解答・解説

正答

借方科目 金額 貸方科目 金額
売掛金 880,000 売上 640,000
契約負債 240,000

計算過程

  • ①履行義務:商品の引渡し・保守サービスの提供の2つ
  • ②独立販売価格の合計 = ¥800,000 + ¥300,000 = ¥1,100,000
  • ③配分
  • 商品 = ¥880,000 × ¥800,000 ÷ ¥1,100,000 = ¥640,000
  • 保守 = ¥880,000 × ¥300,000 ÷ ¥1,100,000 = ¥240,000
  • ④商品は充足済 → 売上 ¥640,000/保守は未充足 → 契約負債 ¥240,000
  • 売掛金 = 取引価格 ¥880,000

検算

  • 配分額の合計 = ¥640,000 + ¥240,000 = ¥880,000 = 取引価格 ✓
  • 貸借:借方 880,000 = 貸方 640,000 + 240,000 = 880,000 ✓

解説

取引価格 ¥880,000 は独立販売価格の合計 ¥1,100,000 を下回っています。まとめ買いによる値引きがあるためです。

この値引きは両方の履行義務に比例して及びます。商品の配分額 ¥640,000 は独立販売価格 ¥800,000 を下回り、保守の配分額 ¥240,000 も ¥300,000 を下回ります。独立販売価格をそのまま計上すると、合計が取引価格を超えてしまいます。

売掛金は取引価格の総額 ¥880,000 です。請求する金額は配分によって変わりません。


問2

青森商事株式会社は、八戸商会と次の契約を締結し、本日、商品を引き渡した。保守サービスは翌月から1年間提供する。代金の全額を無条件に請求できるものとし、代金は掛けとする。本日の仕訳を示しなさい。

  • 取引価格 ¥1,050,000
  • 独立販売価格:商品 ¥900,000、保守サービス ¥300,000
  • 商品の引渡し:本日完了
  • 保守サービス:未提供

使用可能勘定科目

売掛金/売上/契約負債

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解答・解説

正答

借方科目 金額 貸方科目 金額
売掛金 1,050,000 売上 787,500
契約負債 262,500

計算過程

  • ①履行義務:2つ(商品の引渡し・保守サービスの提供)
  • ②独立販売価格の合計 = ¥900,000 + ¥300,000 = ¥1,200,000
  • ③配分
  • 商品 = ¥1,050,000 × ¥900,000 ÷ ¥1,200,000 = ¥787,500
  • 保守 = ¥1,050,000 × ¥300,000 ÷ ¥1,200,000 = ¥262,500
  • ④商品は充足済 → 売上/保守は未充足 → 契約負債

検算

  • 配分額の合計 = ¥787,500 + ¥262,500 = ¥1,050,000 = 取引価格 ✓
  • 貸借:借方 1,050,000 = 貸方 1,050,000 ✓

解説

配分の比は 900,000 : 300,000 = 3 : 1 です。取引価格 ¥1,050,000 を 3 : 1 に分けると ¥787,500 と ¥262,500 になります。

比が単純な場合は「取引価格 × 3/4」「取引価格 × 1/4」と計算しても同じ結果になります。どちらの方法でも、最後に配分額の合計が取引価格と一致するかを確かめてください。

保守サービスの ¥262,500 は、翌月からサービスを提供するにつれて売上へ振り替えられます。


問3

青森商事株式会社は、八戸商会との契約について、商品の引渡し時に契約負債 ¥262,500 を計上していた。本日、保守サービスの提供がすべて完了した。本日の仕訳を示しなさい。あわせて、この処理後の契約負債の残高を答えなさい。

使用可能勘定科目

売掛金/売上/契約負債

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解答・解説

正答

借方科目 金額 貸方科目 金額
契約負債 262,500 売上 262,500

処理後の契約負債の残高 = ¥0

計算過程

  • 保守サービスの履行義務を充足 → 配分額 ¥262,500 を売上へ振り替える
  • 契約負債を同額取り崩す

検算

  • 貸借:借方 262,500 = 貸方 262,500 ✓
  • 契約負債の残高 = ¥262,500 - ¥262,500 = ¥0 ✓

解説

JOURNAL-002の続きにあたる処理です。商品引渡し時に繰り延べていた保守サービス分を、サービス提供の完了により売上へ振り替えます。

売掛金は動きません。 代金は商品引渡し時にすでに全額を請求しており、この時点で新たに請求する金額はないためです。負債が収益に振り替わるだけです。

契約に含まれるすべての履行義務を充足したため、契約負債の残高はゼロになります。


問4

青森商事株式会社は、十和田産業と次の契約を締結した。代金の全額を無条件に請求できるものとし、代金は掛けとする。

  • 取引価格 ¥1,260,000
  • 独立販売価格:商品 ¥900,000、据付作業 ¥300,000、保守サービス ¥200,000

次の(1)(2)の各時点における仕訳を示しなさい。

(1) 本日、商品を引き渡し、据付作業も完了した。保守サービスは翌月から1年間提供する。
(2) 後日、保守サービスの提供がすべて完了した。

使用可能勘定科目

売掛金/売上/契約負債

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解答・解説

正答

(1) 商品引渡し・据付完了時

借方科目 金額 貸方科目 金額
売掛金 1,260,000 売上 1,080,000
契約負債 180,000

(2) 保守サービス完了時

借方科目 金額 貸方科目 金額
契約負債 180,000 売上 180,000

計算過程

  • ①履行義務:3つ(商品の引渡し・据付作業・保守サービスの提供)
  • ②独立販売価格の合計 = ¥900,000 + ¥300,000 + ¥200,000 = ¥1,400,000
  • ③配分
  • 商品 = ¥1,260,000 × ¥900,000 ÷ ¥1,400,000 = ¥810,000
  • 据付 = ¥1,260,000 × ¥300,000 ÷ ¥1,400,000 = ¥270,000
  • 保守 = ¥1,260,000 × ¥200,000 ÷ ¥1,400,000 = ¥180,000
  • ④(1)商品・据付は充足済 → 売上 ¥810,000 + ¥270,000 = ¥1,080,000/保守は未充足 → 契約負債 ¥180,000
  • (2)保守を充足 → 契約負債 ¥180,000 を売上へ振替

検算

  • 配分額の合計 = ¥810,000 + ¥270,000 + ¥180,000 = ¥1,260,000 = 取引価格 ✓
  • (1)貸借:1,260,000 = 1,080,000 + 180,000 ✓/(2)貸借:180,000 = 180,000 ✓
  • 最終的な契約負債残高 = ¥180,000 - ¥180,000 = ¥0 ✓
  • 売上の累計 = ¥1,080,000 + ¥180,000 = ¥1,260,000 = 取引価格 ✓

解説

履行義務が3つある場合の処理です。手順は2つの場合と変わりません。

(1)の要点は、充足済みの履行義務が2つあることです。商品 ¥810,000 と据付 ¥270,000 はいずれも充足済みなので、合計 ¥1,080,000 を売上として計上します。売上を2行に分けても構いませんが、同じ勘定なので合算して差し支えありません。

未充足の保守 ¥180,000 だけが契約負債です。3つのうち1つでも未充足なら全額を契約負債にする、という処理ではありません。

(2)で契約負債を全額取り崩します。 最終的に売上の累計が取引価格 ¥1,260,000 と一致することが検算になります。一致しない場合、配分額のどれかを計上し忘れています。


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