問6
2027年4月1日、P社はS社の発行済株式の80%を4,500,000円で取得し、支配を獲得した。同日のS社の資本は、資本金3,000,000円、繰越利益剰余金2,000,000円である。S社の資産・負債は帳簿価額と時価が一致しており、評価差額は生じていない。段階的な取得ではない。のれんは10年で償却する。S社の決算日は3月31日である。
第1年度(2027年4月1日〜2028年3月31日)のS社の当期純利益は600,000円、配当は200,000円であった。
2028年4月1日の開始仕訳を1本にまとめて示しなさい。
使用可能勘定科目
のれん/のれん償却/非支配株主持分/非支配株主持分当期首残高/非支配株主に帰属する当期純利益/利益剰余金当期首残高/繰越利益剰余金/受取配当金/子会社株式/資本金当期首残高
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解答・解説
正答
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 資本金当期首残高 | 3,000,000 | 子会社株式 | 4,500,000 |
| 利益剰余金当期首残高 | 2,130,000 | 非支配株主持分当期首残高 | 1,080,000 |
| のれん | 450,000 | ||
| 合計 | 5,580,000 | 合計 | 5,580,000 |
解説
判断根拠:開始仕訳は、支配獲得日の資本連結に前年度の修正3件を足し込んだものです。4つの部品に分けて組み立てます。
| 部品 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 支配獲得日の資本連結 | 資本金当期首残高3,000,000・利益剰余金当期首残高2,000,000・のれん500,000 | 子会社株式4,500,000・非支配株主持分当期首残高1,000,000 |
| 前年度のれん償却 | 利益剰余金当期首残高50,000 | のれん50,000 |
| 前年度の利益按分 | 利益剰余金当期首残高120,000 | 非支配株主持分当期首残高120,000 |
| 前年度の配当修正 | 非支配株主持分当期首残高40,000 | 利益剰余金当期首残高40,000 |
科目ごとに集計すると次のようになります。
| 科目 | 集計 | 金額 |
|---|---|---|
| 資本金当期首残高(借) | 3,000,000 | 3,000,000 |
| 利益剰余金当期首残高(借) | 2,000,000+50,000+120,000-40,000 | 2,130,000 |
| のれん(借) | 500,000-50,000 | 450,000 |
| 子会社株式(貸) | 4,500,000 | 4,500,000 |
| 非支配株主持分当期首残高(貸) | 1,000,000+120,000-40,000 | 1,080,000 |
前年度の損益項目(のれん償却・非支配株主に帰属する当期純利益・受取配当金)は、いずれも利益剰余金当期首残高に置き換わります。 配当修正だけは利益剰余金を増やす向きに働くため、借方から差し引く形になります。
検証
| 検証項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 借方合計 | 3,000,000+2,130,000+450,000 | 5,580,000 |
| 貸方合計 | 4,500,000+1,080,000 | 5,580,000 |
| 貸借の一致 | 5,580,000=5,580,000 | 一致 |
| のれんの残高 | 500,000-50,000 | 450,000 |
| 非支配株主持分の残高 | 1,000,000+120,000-40,000 | 1,080,000 |
貸借の一致だけでは足りません。 のれんと非支配株主持分については、支配獲得日の金額から前年度の増減をたどって残高そのものを確かめる必要があります。前年度の償却をのれんと利益剰余金当期首残高の両方から同時に落とすと、借方合計は5,580,000円のまま変わらず、貸借の一致では気づけないためです。
想定される誤り:ひとつは配当による非支配株主持分の減額40,000円を落とし、利益剰余金当期首残高2,170,000円・非支配株主持分当期首残高1,120,000円としてしまうことです。この場合は貸借合計が5,620,000円となり、正しい5,580,000円との違いは残高を追えば分かります。ふたつめは、前年度の修正を損益の科目名のまま開始仕訳に書いてしまうことで、のれん償却や非支配株主に帰属する当期純利益は当期首の残高としては存在しません。三つめは、資本金や利益剰余金を子会社資本の全額ではなく親会社持分だけ消してしまうことで、支配獲得日の資本連結と同じく借方には全額を置きます。
問7
2027年4月1日、P社はS社の発行済株式の80%を4,500,000円で取得し、支配を獲得した。同日のS社の資本は、資本金3,000,000円、繰越利益剰余金2,000,000円である。S社の資産・負債は帳簿価額と時価が一致しており、評価差額は生じていない。段階的な取得ではない。のれんは10年で償却する。S社の決算日は3月31日である。
第2年度(2028年4月1日〜2029年3月31日)のS社の当期純利益は800,000円、配当は300,000円であった。P社は持分に応じた配当を受け取り、受取配当金として処理している。
第2年度に行う連結修正仕訳を、(1)のれんの償却、(2)当期純利益の按分、(3)配当金の修正の順に、それぞれ示しなさい。
使用可能勘定科目
のれん/のれん償却/非支配株主持分/非支配株主持分当期首残高/非支配株主に帰属する当期純利益/利益剰余金当期首残高/繰越利益剰余金/受取配当金/子会社株式/資本金当期首残高
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解答・解説
正答
(1) のれんの償却
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| のれん償却 | 50,000 | のれん | 50,000 |
(2) 当期純利益の按分
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 非支配株主に帰属する当期純利益 | 160,000 | 非支配株主持分 | 160,000 |
(3) 配当金の修正
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 受取配当金 | 240,000 | 繰越利益剰余金 | 300,000 |
| 非支配株主持分 | 60,000 |
解説
判断根拠:当期の修正は3つあり、それぞれ独立した理由から生じます。(1)は支配獲得日に計上したのれんを期間配分するもので、500,000÷10=50,000円です。(2)は子会社が当期に稼いだ利益のうち親会社以外の株主に帰属する分を振り替えるもので、800,000×20%=160,000円です。(3)は子会社の配当のうち、親会社が受け取った240,000円を内部の取引として消し、外部へ出ていった60,000円だけ非支配株主持分を減らすものです。
これらはいずれも当期の増減なので、当期首残高 の付いた科目は使いません。 当期首残高を使うのは開始仕訳だけです。
(2)と(3)は、どちらも非支配株主持分を動かしますが向きが逆です。利益は非支配株主の取り分を増やし、配当は取り分を外へ払い出すので減らします。
検証
| 検証項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| (1)の貸借 | 50,000=50,000 | 一致 |
| (2)の貸借 | 160,000=160,000 | 一致 |
| (3)の貸借 | 240,000+60,000=300,000 | 一致 |
| のれんの期末残高 | 期首450,000-50,000 | 400,000 |
| 非支配株主持分の期末残高 | 期首1,080,000+160,000-60,000 | 1,180,000 |
期末残高は別の経路でも確かめられます。のれんは支配獲得日500,000円から2年分100,000円を引いて400,000円、非支配株主持分は支配獲得日1,000,000円に2年分の利益按分280,000円を加え2年分の配当減額100,000円を引いて1,180,000円です。
ただし、これらの検算では見つからない誤りがあります。 (2)や(3)で非支配比率20%と持分比率80%を取り違えても、借方と貸方が同じ金額になるため貸借は一致し、残高の追跡も誤った金額どうしで筋が通ってしまいます。どちらの株主の割合かを問題文で確かめる必要があります。
想定される誤り:ひとつは(2)で800,000×80%=640,000円としてしまうことです。振り替えるのは非支配株主の分です。ふたつめは(3)で配当総額300,000円の全額を受取配当金として消し、非支配株主持分を動かさないことです。この場合、外部へ出ていった配当が非支配株主持分に反映されません。三つめは、開始仕訳ですでに引き継いだ第1年度の利益按分120,000円や配当減額40,000円を当期の修正でもう一度計上してしまうことで、非支配株主持分が二重に動きます。
問8
2027年10月1日、P社はS社の発行済株式の75%を3,400,000円で取得し、支配を獲得した。同日のS社の資本は、資本金2,500,000円、繰越利益剰余金1,500,000円である。S社の資産・負債は帳簿価額と時価が一致しており、評価差額は生じていない。段階的な取得ではない。のれんは10年で償却する。S社の決算日は3月31日である。
第1年度(2027年10月1日〜2028年3月31日)のS社の支配獲得後の当期純利益は400,000円、配当は80,000円であった。
2028年4月1日の開始仕訳を1本にまとめて示しなさい。
使用可能勘定科目
のれん/のれん償却/非支配株主持分/非支配株主持分当期首残高/非支配株主に帰属する当期純利益/利益剰余金当期首残高/繰越利益剰余金/受取配当金/子会社株式/資本金当期首残高
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解答・解説
正答
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 資本金当期首残高 | 2,500,000 | 子会社株式 | 3,400,000 |
| 利益剰余金当期首残高 | 1,600,000 | 非支配株主持分当期首残高 | 1,080,000 |
| のれん | 380,000 | ||
| 合計 | 4,480,000 | 合計 | 4,480,000 |
解説
判断根拠:支配獲得日が期の途中である点が、前の設問との違いです。順に組み立てます。
| 順 | 算定 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 1 | 子会社資本の合計 | 2,500,000+1,500,000 | 4,000,000 |
| 2 | 親会社持分 | 4,000,000×75% | 3,000,000 |
| 3 | 支配獲得日の非支配株主持分 | 4,000,000×25% | 1,000,000 |
| 4 | 支配獲得日ののれん | 3,400,000-3,000,000 | 400,000 |
| 5 | 年間のれん償却額 | 400,000÷10 | 40,000 |
| 6 | 第1年度の償却額(6か月) | 40,000×6÷12 | 20,000 |
| 7 | 第1年度の利益按分 | 400,000×25% | 100,000 |
| 8 | 第1年度の配当減額 | 80,000×25% | 20,000 |
支配獲得日の2027年10月1日から決算日の2028年3月31日までは6か月なので、第1年度は年間償却額40,000円をそのまま計上せず、6か月分の20,000円を計上します。本問では、第1年度が支配獲得後6か月なので20,000円を月割計上し、第2年度(2028年4月1日〜2029年3月31日)は12か月なので40,000円を計上します。
開始仕訳に載せる金額は次のとおりです。
| 科目 | 集計 | 金額 |
|---|---|---|
| 資本金当期首残高(借) | 2,500,000 | 2,500,000 |
| 利益剰余金当期首残高(借) | 1,500,000+20,000+100,000-20,000 | 1,600,000 |
| のれん(借) | 400,000-20,000 | 380,000 |
| 子会社株式(貸) | 3,400,000 | 3,400,000 |
| 非支配株主持分当期首残高(貸) | 1,000,000+100,000-20,000 | 1,080,000 |
検証
| 検証項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 借方合計 | 2,500,000+1,600,000+380,000 | 4,480,000 |
| 貸方合計 | 3,400,000+1,080,000 | 4,480,000 |
| 貸借の一致 | 4,480,000=4,480,000 | 一致 |
| のれんの残高 | 400,000-20,000 | 380,000 |
| 非支配株主持分の残高 | 1,000,000+100,000-20,000 | 1,080,000 |
貸借の一致は、月割を誤った場合には手がかりになりません。 償却額を年間の40,000円としてしまうと、のれんは360,000円、利益剰余金当期首残高は1,620,000円となり、借方合計は4,480,000円のまま変わらないためです。支配獲得日から決算日までが何か月かを、日付から数えて確かめる必要があります。
想定される誤り:ひとつは第1年度の償却額を年額の40,000円としてしまうことです。ふたつめは配当による非支配株主持分の減額20,000円を落とし、非支配株主持分当期首残高を1,100,000円としてしまうことです。三つめは、利益按分に持分比率75%を掛けて300,000円としてしまうことで、振り替えるのは非支配株主の25%分です。