満期保有目的債券(償却原価法・定額法) 仕訳問題 第1問〜第5問

問1

青森商事株式会社は、2026年4月1日に額面総額 ¥2,000,000 の社債を満期まで保有する目的で ¥1,940,000 で取得し、代金は普通預金口座から支払った。この取引の仕訳を示しなさい。

使用可能勘定科目

満期保有目的債券/有価証券利息/普通預金

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解答・解説

正答

借方科目 金額 貸方科目 金額
満期保有目的債券 1,940,000 普通預金 1,940,000

判断

  • 保有目的:満期まで保有 → 満期保有目的債券
  • 取得時の計上額:実際に支払った取得価額 ¥1,940,000

検算:借方 1,940,000 = 貸方 1,940,000 ✓

解説

取得時は実際に支払った金額で計上します。額面総額 ¥2,000,000 で計上してはいけません。

額面との差額 ¥60,000 は、この時点では処理しません。決算時に償却原価法により期間配分していきます。

満期保有目的債券は貸借対照表では投資その他の資産に表示します(満期までの期間が1年以内となった場合は流動資産の有価証券として表示します)。


問2

青森商事株式会社は決算にあたり、保有する満期保有目的債券について償却原価法(定額法)により処理する。次の資料にもとづき、必要な仕訳を示しなさい。

資料

  • 額面総額 ¥2,000,000、取得価額 ¥1,940,000
  • 取得日 2026年4月1日、満期日 2029年3月31日
  • 決算日 2027年3月31日(会計期間は1年)

使用可能勘定科目

満期保有目的債券/有価証券利息/普通預金

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解答・解説

正答

借方科目 金額 貸方科目 金額
満期保有目的債券 20,000 有価証券利息 20,000

計算過程

①取得差額 = ¥2,000,000 - ¥1,940,000 = ¥60,000(取得価額が額面より低い)
②総月数 = 2026年4月1日〜2029年3月31日 = 36か月
③当期保有月数 = 2026年4月1日〜2027年3月31日 = 12か月
④当期償却額 = ¥60,000 ×(12 ÷ 36)= ¥20,000

検算

  • 借方 20,000 = 貸方 20,000 ✓
  • 月数:当期12か月 + 残存24か月 = 36か月 = 総月数 ✓
  • 償却後の帳簿価額 = ¥1,940,000 + ¥20,000 = ¥1,960,000 ✓

解説

取得価額が額面より低いため、帳簿価額を額面へ向けて増やします。借方は満期保有目的債券、貸方は有価証券利息です。

現金の動きはありません。 帳簿価額の調整と収益の計上のみです。

この処理を毎期繰り返すと、満期には帳簿価額が額面 ¥2,000,000 に一致します。


問3

青森商事株式会社は決算にあたり、保有する満期保有目的債券について償却原価法(定額法)により処理する。次の資料にもとづき、必要な仕訳を示しなさい。

資料

  • 額面総額 ¥3,000,000、取得価額 ¥3,036,000
  • 取得日 2026年4月1日、満期日 2029年3月31日
  • 決算日 2027年3月31日(会計期間は1年)

使用可能勘定科目

満期保有目的債券/有価証券利息/普通預金

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解答・解説

正答

借方科目 金額 貸方科目 金額
有価証券利息 12,000 満期保有目的債券 12,000

計算過程

①取得差額 = ¥3,036,000 - ¥3,000,000 = ¥36,000(取得価額が額面より高い)
②総月数 = 36か月
③当期保有月数 = 12か月
④当期償却額 = ¥36,000 ×(12 ÷ 36)= ¥12,000

検算

  • 借方 12,000 = 貸方 12,000 ✓
  • 月数:当期12か月 + 残存24か月 = 36か月 = 総月数 ✓
  • 償却後の帳簿価額 = ¥3,036,000 - ¥12,000 = ¥3,024,000 ✓

解説

取得価額が額面より高いため、帳簿価額を額面へ向けて減らします。前問とは貸借が逆になります。

場合 借方 貸方 帳簿価額
取得価額<額面 満期保有目的債券 有価証券利息 増える
取得価額>額面 有価証券利息 満期保有目的債券 減る

額面より高く取得した分は満期までに失われるため、有価証券利息を減額する方向になります。

満期には帳簿価額が額面 ¥3,000,000 まで下がります。


問4

青森商事株式会社について、次の(1)(2)それぞれの仕訳を示しなさい。

(1) 保有する満期保有目的債券について、クーポン利息 ¥15,000 が普通預金口座に入金された。
(2) 決算にあたり、償却原価法(定額法)により処理する。額面総額 ¥2,000,000、取得価額 ¥1,940,000、取得日 2026年4月1日、満期日 2029年3月31日、決算日 2027年3月31日(会計期間は1年)である。

使用可能勘定科目

満期保有目的債券/有価証券利息/普通預金

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解答・解説

正答

(1) クーポン利息の受取

借方科目 金額 貸方科目 金額
普通預金 15,000 有価証券利息 15,000

(2) 償却原価法による調整

借方科目 金額 貸方科目 金額
満期保有目的債券 20,000 有価証券利息 20,000

計算過程

(2) 取得差額 = ¥2,000,000 - ¥1,940,000 = ¥60,000
    総月数36か月/当期12か月
    当期償却額 = ¥60,000 ×(12 ÷ 36)= ¥20,000

検算

  • (1) 借方 15,000 = 貸方 15,000 ✓
  • (2) 借方 20,000 = 貸方 20,000 ✓
  • 月数:当期12か月 + 残存24か月 = 36か月 ✓
  • 当期の有価証券利息 = ¥15,000 + ¥20,000 = ¥35,000

解説

この2つは別の処理です。

処理 現金の動き 帳簿価額の変化
(1) クーポン利息の受取 あり(普通預金が増加) なし
(2) 償却原価法の調整 なし あり(増加)

(1)は債券に付された利息を実際に受け取ったものです。(2)は取得価額と額面の差額を期間配分したものです。性質は異なりますが、どちらも有価証券利息に集計されます。

クーポン利息を取得差額の計算に混ぜてはいけません。 (2)の計算に用いるのは額面総額と取得価額の差額のみです。


問5

青森商事株式会社について、次の資料にもとづき(1)〜(3)の仕訳を示しなさい。あわせて(4)満期時(2029年3月31日)の帳簿価額を答えなさい。

資料

  • 額面総額 ¥2,000,000、取得価額 ¥1,940,000
  • 取得日 2026年4月1日、満期日 2029年3月31日
  • 決算日は毎年3月31日(会計期間は1年)
  • 償却原価法(定額法)による

設問
(1) 2026年4月1日の取得(代金は普通預金口座から支払った)
(2) 2027年3月31日の決算における償却
(3) 2028年3月31日の決算における償却
(4) 満期時(2029年3月31日)の帳簿価額

使用可能勘定科目

満期保有目的債券/有価証券利息/普通預金

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解答・解説

正答

(1) 取得時

借方科目 金額 貸方科目 金額
満期保有目的債券 1,940,000 普通預金 1,940,000

(2) 1年目の決算

借方科目 金額 貸方科目 金額
満期保有目的債券 20,000 有価証券利息 20,000

(3) 2年目の決算

借方科目 金額 貸方科目 金額
満期保有目的債券 20,000 有価証券利息 20,000

(4) 満期時の帳簿価額 = ¥2,000,000

判断根拠

取得価額が額面より低いため、毎期帳簿価額を増やしていきます。 定額法では各期の償却額が同額になります。

取得差額 = ¥2,000,000 - ¥1,940,000 = ¥60,000
総月数 = 2026年4月1日〜2029年3月31日 = 36か月
毎期の償却額 = ¥60,000 ×(12 ÷ 36)= ¥20,000

帳簿価額の推移

時点 償却額 帳簿価額 経過月数 残存月数
取得時(2026/4/1) — 1,940,000 0 36
1年目末(2027/3/31) 20,000 1,960,000 12 24
2年目末(2028/3/31) 20,000 1,980,000 24 12
3年目末=満期(2029/3/31) 20,000 2,000,000 36 0

検算

  • 各仕訳の貸借:(1) 1,940,000=1,940,000/(2)(3) 20,000=20,000 ✓
  • 月数のクロスチェック:各時点で経過月数 + 残存月数 = 36か月 ✓
  • 累計償却額 = ¥20,000 × 3 = ¥60,000 = 取得差額 ✓
  • 満期時の帳簿価額 ¥1,940,000 + ¥60,000 = ¥2,000,000 = 額面総額 ✓

想定される誤り

第1に、(1)で額面総額 ¥2,000,000 を計上してしまう誤りです。取得時は実際に支払った ¥1,940,000 で計上します。額面で計上すると差額の配分が生じなくなり、償却原価法の処理自体が不要になってしまいます。

第2に、償却額を ¥60,000 ÷ 12 = ¥5,000 と計算してしまう誤りです。分母は取得日から満期日までの総月数36か月であり、1年の月数ではありません。この場合、3年間の累計が ¥15,000 にしかならず、満期に帳簿価額が額面へ到達しません。

第3に、(3)で帳簿価額を ¥1,940,000 + ¥20,000 = ¥1,960,000 としてしまう誤りです。2年目の償却は1年目末の帳簿価額 ¥1,960,000 に加算します。前期末の帳簿価額を起点とすることを確認してください。

満期時に帳簿価額が額面と一致するかを確認すると、これらの誤りに気づけます。


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