行政書士 民法 択一式(応用) 第23問〜第25問|債権総論

論点:債権総論

問23:債権者代位権および詐害行為取消権に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、妥当なものはどれか。

  • A:債権者は、被保全債権の期限が到来していない間であっても、裁判上の代位によれば、債務者に属する権利を行使することができる。
  • B:債権者が被代位権利を行使した場合であっても、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることを妨げられない。
  • C:債権者代位権の行使において、債権者は、金銭の支払を目的とする債務者の権利を行使する場合であっても、相手方に対し、自己への直接の支払を求めることはできない。
  • D:詐害行為取消請求は、裁判外において、受益者に対する意思表示によってすることができる。
  • E:詐害行為取消請求に係る訴えは、債務者が債権者を害することを知って行為をしたことを債権者が知った時から1年を経過したときは、提起することができない。
【第23問:正解と解説】

正解:B

・A
【選択肢解説】
妥当でない。裁判上の代位の制度は2017年改正(2020年施行)で廃止された。期限到来前に行使できるのは保存行為のみである(423条2項)。旧法知識のひっかけ。

・B
【論点】代位行使と債務者の処分権限(423条の5・2020年改正で明文化)

【考え方】
改正前の判例は代位行使の着手・通知後は債務者の処分権限が制限されるとしていたが、改正法はこれを転換し、代位行使されても債務者は自ら取立てその他の処分ができ、相手方も債務者への履行を妨げられないことを明文化した。

【選択肢解説】
本肢は423条の5のとおりであり、妥当である。改正による判例法理の変更点として最頻出。

【記述式連結】この論点は記述式モジュール(07_02_04)問7「債権者代位権の転用」で40字記述として再出する。択一で判別できた知識を、条文の要件・判例の規範として自分の言葉で書き出せるかまで仕上げること。

・C
【選択肢解説】
妥当でない。金銭の支払又は動産の引渡しを目的とする権利については、債権者は自己への直接の支払・引渡しを求めることができる(423条の3)。これにより事実上の優先弁済が可能となる。

・D
【選択肢解説】
妥当でない。詐害行為取消請求は、裁判所に請求する(訴えによる)ことが必要である(424条1項)。裁判外の意思表示では行使できない。

・E
【選択肢解説】
妥当でない。期間は債務者が債権者を害することを知って行為をしたことを債権者が知った時から「2年」、行為の時から10年である(426条)。1年は旧法の期間であり、数字のひっかけ。


論点:債権総論

問24:弁済に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  • A:弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができないが、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは、その弁済は有効である。
  • B:受領権者以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。
  • C:債務者のために弁済をした者は、債権者の承諾を得なければ、債権者に代位することができない。
  • D:弁済者が過失なく債権者を確知することができないときは、弁済者は、弁済の目的物を供託してその債務を免れることができる。
  • E:弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、原則として債務者の負担とする。
【第24問:正解と解説】

正解:C

・A
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。474条2項のとおり。

・B
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。478条のとおり(旧法の「債権の準占有者」概念を改めた現行の文言)。

・C
【論点】弁済による代位の当然代位化(499条・2020年改正)

【考え方】
改正前は、正当な利益を有しない任意代位者には「債権者の承諾」が必要とされていたが、改正によりこの要件は廃止され、債務者のために弁済をした者はすべて当然に債権者に代位する。ただし正当な利益を有しない者は、代位を債務者・第三者に対抗するために債権譲渡の対抗要件(467条)を要する(500条)。

【選択肢解説】
本肢は債権者の承諾を要求しており妥当でない。よって本問の正解である。旧法知識のひっかけの典型。

【記述式連結】この論点は記述式モジュール(07_02_04)問8「物上保証人による第三者弁済」で40字記述として再出する。択一で判別できた知識を、条文の要件・判例の規範として自分の言葉で書き出せるかまで仕上げること。

・D
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。債権者不確知による供託(494条2項)である。

・E
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。485条本文のとおり(債権者の住所移転等により増加した費用は債権者負担・同ただし書)。


論点:債権総論

問25:詐害行為取消権に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、妥当なものはどれか。

  • A:詐害行為取消請求は、受益者に対するものであっても裁判所に請求する方法によらなければならず、また、債権者は、その被保全債権が詐害行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、これを行使することができる。
  • B:詐害行為取消権は、債務者が債権者を害することを知って行為をしたことを要件とするから、受益者がその行為の時に債権者を害することを知らなかったときでも、債務者に詐害意思が認められる限り、債権者は詐害行為取消請求をすることができる。
  • C:詐害行為取消請求を認容する確定判決は、訴訟の当事者である債権者と受益者との間においてのみ効力を有し、訴訟の当事者とならなかった債務者に対しては効力を有しない。
  • D:詐害行為取消請求に係る訴えは、債務者が債権者を害することを知って行為をした時から2年を経過したときは、提起することができない。
  • E:転得者に対する詐害行為取消請求は、受益者に対して詐害行為取消請求をすることができる場合であれば、転得者が転得の当時に債権者を害することを知っていたかどうかにかかわらず、することができる。
【第25問:正解と解説】

正解:A

・A
【論点】詐害行為取消権の行使方法と被保全債権の要件(424条1項・3項)

【考え方】
詐害行為取消権は債務者の財産処分行為を否定する強力な権利であるため、必ず訴えによる行使が要求される(裁判上の行使)。また、詐害行為より後に生じた債権の債権者は、その行為によって害されたとはいえないため、被保全債権は詐害行為の前の原因に基づいて生じたものであることを要する(被保全債権の先行性)。

【選択肢解説】
本肢は424条1項本文および3項のとおりであり、妥当である。「裁判上の行使」と「被保全債権の先行性」は、記述式でも問われうる基本要件である。

【記述式連結】この論点は記述式モジュール(07_02_04)問4「詐害行為取消権の要件」で40字記述として再出する。択一で判別できた知識を、条文の要件・判例の規範として自分の言葉で書き出せるかまで仕上げること。

・B
【選択肢解説】
妥当でない。424条1項ただし書により、受益者がその行為の時に債権者を害することを知らなかったときは、詐害行為取消請求をすることができない。債務者の詐害意思に加えて受益者の悪意が必要である。

・C
【選択肢解説】
妥当でない。425条により、詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者およびその全ての債権者に対してもその効力を有する。改正民法は、旧法下の相対的取消しの構成を改め、判決効を債務者にも及ぼすこととした。

・D
【選択肢解説】
妥当でない。426条の期間制限は「債務者が債権者を害することを知って行為をしたことを債権者が知った時から2年」および「行為の時から10年」である。本肢は起算点を「行為をした時」に、期間を2年にすり替えており、条文と一致しない。

・E
【選択肢解説】
妥当でない。424条の5第1号により、受益者に対して詐害行為取消請求をすることができる場合において転得者に対して請求するには、転得者が転得の当時、債務者がした行為が債権者を害することを知っていたことが必要である。


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